英国王立協会 プレスリリース 2006年5月4日
産業界はナノ安全性テストの方法を開示すべきである

情報源:The Royal Society Press Release 4 May 2006
Industry should disclose nano safety testing methods
http://www.royalsoc.ac.uk/news.asp?id=4639

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年6月7日

 本日、ナノ技術消費者製品の新たな目録がイギリスで発表されたことを受け、”産業界はナノ粒子を含む製品の安全テストをどのように行っているかを開示すべきである”−と英国王立協会は述べた(2006年5月4日)。

 アメリカを拠点とする組織、ウッドロー・ウィルソン国際学術センターによって作成されたこの目録(訳注1)はナノ技術を使用する200以上の消費者製品を含み、それらのうちのいくつかはイギリスでも販売されている。それらには、老化防止クリームや日焼け止めのような化粧品をはじめ、ラップトップ・コンピュータ、防汚布などが含まれる。

 英国王立協会・王立工学アカデミー議長のアン・ドーリング教授はナノ技術についての報告書の中で次のように述べた。”我々はこの目録から、ナノ科学は広大な適用分野と我々の日々の暮らしを改善するためのわくわくするような可能性持を持っていることを見ることができる。”

 2004年、英国王立協会・王立工学アカデミーの主要な調査報告書(訳注2)は、ほとんどのナノ技術は新たなリスクを及ぼさないと結論付けているが、自由ナノ粒子が健康と環境に及ぼす潜在的な影響について光を当てている。

 ドーリング教授は次のように述べた。”いくつかの化粧品のように自由ナノ粒子を含む製品は安全性についてのある不確実性が存在する特定の領域のひとつなので、産業界はそれらの安全をテストするために用いている方法を公開することを要求する。”

 ”ナノ粒子は、同一の成分であっもサイズが大きな物質とは非常に異なる作用を示すことがあり、多くの製造者がナノ粒子に長所を求めるまさにその特質である。しかし、これらの新しい特性はまた、あるナノ粒子は特定のテストを実施する必要があるかもしれないことを意味する。そして、公衆がこれらの物質に信頼を置くことができるよう、産業界はそのテスト手法の詳細を公開すべきである。”

 ”増大する透明性はまた、一貫した合意できるテスト手法を開発するために、産業界研究者と学界科学者の間の協調を促進するのに役立つ。”

 ”この目録はまた、ナノ粒子の健康と環境への影響の調査は、責任ある開発を可能とするために、この科学分野の急速な進歩に遅れないようにする必要がある。我々は、また、規制を支えるために必要とされる研究を特定し実行するために国際的な合意と協力が必要であると考える。”


訳注1
ウィルソン・センターのナノ技術消費者製品目録(当研究会訳)

訳注2
ナノ科学、ナノ技術:機会と不確実性−要約と勧告/英国王立協会・王立工学アカデミー報告 2004年7月29日 (当研究会訳)



化学物質問題市民研究会
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