Nanowerk Spotlight 2008年8月20日記事の概要紹介
日焼けによる皮膚のダメージは
ナノ粒子の皮膚浸透のリスクを増大させる

マイケル・バーガー

情報源:Nanowerk Spotlight, August 20, 2008
Sunburn increases risk of nanoparticle skin penetration
By Michael Berger
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=6838.php

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年8月21日


  • イリノイ大学公衆衛生シカゴ校環境職業医学名誉教授サムエル S. エプスタインは、米食品医薬品局(FDA)は潜在的に危険な日焼け止めを適切に規制していないと主張した。(FDA remains asleep at the wheel on dangers of sunscreens, besides other cosmetics and personal care products

  • 地球の友は、Nanomaterials, Sunscreens and Cosmetics: Small Ingredients, Big Risks(ナノ物質、日焼け止め、化粧品;小さな成分、大きなリスク)の中で、ナノテクノロジーの工業ナノ粒子やその他の応用に対して予防原則の適用を求めている。その基本的な考えは、製造者は製品が上市される前にそれが有害ではないことを規制当局に立証しなくてはならないということである(参照 Spotlight: "Late lessons from early warnings for nanotechnology ")(訳注1)。

  • 現在、ナノテクノロジー製品は表示なしに販売でき、FDAは日焼け止めについて、紫外線保護係数(SPF)だけにもとづいて規制している。化粧品製造者らは彼らの製品はナノ粒子ベースの日焼け止めを含んでも無害であると主張している。

  • それらが安全ではないと実証した人はいないが、それらが完全に安全であるという反対の証明も同じく存在しない。

  • 生体での実験は、ナノ粒子が健康な上層皮膚バリアを浸透できるかどうかの疑問にはほとん答えておらず、日焼けで損傷を受けた皮膚を浸透するかどうかの確認はなされていない。

  • ロチェスター大学医学センター皮膚病学・生物医学部準教授デルイスらの新たな研究は、in vivo(生体)モデル・システムを用いて、正常及び損傷を受けた皮膚のナノ粒子の浸透影響を初めて検討した。

  • デルイスらは、マウス モデルでクオンタム・ドット・ナノ粒子の浸透に影響を与える皮膚の状態の重要性を実証し論文を、ナノ・レターの2008年8月8日オンライン版に発表した。("In Vivo Skin Penetration of Quantum Dot Nanoparticles in the Murine Model: The Effect of UVR")。

  • この研究の結果は、商業的に入手可能なクオンタムドット・ナノ粒子は、健康な肌に比べて、紫外線でダメージを受けた肌で、より容易に浸透するということである。

  • 浸透した微量のナノ粒子が、状況、ナノ粒子の生体内での溶解性、及び排出ルートに依存して、有害影響を引き起こすことがあるということは想像できる。

  • 日焼け止めに使用されている二酸化チタン及び酸化亜鉛の有害副作用影響はまだ報告されていない(訳注2)。

  • 研究者らがクオンタムドットを使用した理由は、皮膚中で直接的な蛍光画像を可能としたからである。

  • クオンタムドットの効率的な紫外線吸収と蛍光特性は、様々なバイオテクノロジー、軍事、セキュリティーの分野での用途が急速に拡大し、化粧品や紫外線遮断応用分野での用途が検討されている。

  • これらの物質は、潜在的な長期的有害健康リスクを避けるために、皮膚浸透を防ぐよう設計されることが必須である。

  • ロチェスター大学の科学者らの研究目標は、浸透のメカニズムと程度に与えるナノ物質表面化学とサイズの影響を完全に特性化することである。

マイケル・バーガー

訳注1
SAFENANO Blogs アンドリュー・メイナード 2008年7月20日 早期警告からの遅ればせの教訓

訳注2
ES&T 2006年6月7日/TiO2 ナノ粒子 脳細胞にダメージを与える可能性 米EPA研究者らの報告/消費者製品で広く使用されている二酸化チタン・ナノ粒子



化学物質問題市民研究会
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