EurActiv 2009年11月24日
欧州連合:化粧品のナノ表示を求める新たな規制を採択
ドイツは化粧品の”ナノ”表示に反対


情報源:EurActiv 24/11/2009
Germany opposed 'nano' label for cosmetics
http://www.euractiv.com/en/enterprise-jobs/germany-opposed-nano-label-cosmetics/article-187583

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年12月5日


 化粧品がナノ物質を含んでいる時には消費者に知らせるよう製造者に求めるEU各国政府の取り組みにドイツ政府が反対していることが判明した。

 先週(11月20日)、EU加盟国は、既存の55の指令を一本の規則(regulation)にした化粧品の上市と安全に関する新たな規則(rules)を採択した。

 新たに統合された法律の主要な要素のひとつは、サイズが100ナノメートル以下のどのような成分についても括弧の中に”nano”という言葉を表示するよう会社に求める条項である。新たな法によれば、”ナノ物質の形状で存在する全ての成分は成分リスト中に明確に示されなくてはならない”。

 しかし、ドイツはナノ物質を含む製品は消費者により警告として見られる可能性があるという事実をハイライトする見解を示した(訳注1)。

 ドイツ当局は、ナノスケール物質が含まれていることは追加的な精査を行うことを正当化すべきではないということを示唆しつつ、EUで販売されている化粧品は既に厳格なテストを受けているに違いないと言及した。

 議会のグリーンズと環境ロビー・グループはナノテクノロジーに対して”ノーデータ・ノーマケット”原則を適用するよう圧力をかけている(EurActiv 02/04/09)(訳注2)。

 産業界はこれはナノ物質がどのような追加的なリスクをも有していないことを証明するために産業側にその証明責任を課すこと−それは数百の製品を市場から撤去する可能性をもたらすプロセス−になるであろうことを恐れている。

 ドイツの立場はナノスケール物質に関する情報は、その粒子サイズが特性を変更する結果をもたらす場合には消費者にとって重要かも知れないというものである。これは、ナノテクノロジーをサイズではなくて機能に基づいて定義するとする産業側の立場に近い。

 新たなこの規則は、EU27加盟国全てにで適用され、今までバラバラであったこの法律を調和させることになる。その変更はコスト削減と安全規則の合理化に役立つべきである。

 この法によれば、ナノ物質の定義は、”外部の1次元又はそれ以上の次元、又は内部構造が1〜100ナノメートルである非溶解性又は生物残留性があり意図的に製造された物質 (an insoluble or biopersistant and intentionally manufactured material with one or more external dimensions, or an internal structure, on the scale from 1 to 100 nm")”である。

Source: Euractiv

訳注1
Brussels, 17 November 2009
ADDENDUM TO "I/A" ITEM NOTE Proposal for a Regulation of the European Parliament and of the Council on cosmetic products (recast) [first reading]-Adoption of the legislative act (LA + D)
Statements
http://register.consilium.europa.eu/pdf/en/09/st12/st12682-ad01re01.en09.pdf

化粧品に関するヨーロッパ議会及び理事会の規則のための提案に関するドイツ連邦共和国による議事録のための声明

 化粧品中のナノ粒子のラベル表示の導入に関し(Article 19(1)(g))、ドイツの見解では、”ナノ”という言葉を用いて化粧品中のナノスケール物質をラベル上に一般的に記載することは消費により警告であると誤解されることを免れることはできない。化粧品の一般的安全要求があるのだからどのような場合にも市場に出すことが許されるのは安全な製品だけである。このことはナノテクノロジーを利用して製造されている化粧品にも適用される。ドイツはナノスケール物質に関する情報は、その粒子サイズが特性を変更する場合には、消費者にとって重要かもしれない。

訳注2
Nanotechnology Law Blog 2009年4月3日 欧州議会委員会報告書 ナノ物質についてノーデータ・ノーマーケット原則を要求



化学物質問題市民研究会
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