欧州議会プレスリリース 2020年10月8日
議会は、子どもたちにおそらく有害な
食品に関する立法に反対する


情報源:European Parliamen News / Press Release, 08-10-2020
Parliament objects to legislation on food products
that might be harmful to kids
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20201002IPR88447/
parliament-objects-to-legislation-on-food-products-that-might-be-harmful-to-kids


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2020年10月22日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/eu/201008_Parliament_objects_to_
legislation_on_food_products_that_might_be_harmful_to_kids.html

  • 政策は予防原則に基づかなければならない。
  • 最も暴露している子どもたちが保護されなくてはならない。

 欧州議会議員らは、ヨーロッパの消費者、特に子どもたちの健康を保護するために、二酸化チタンとアクリルアミドを含む食品に関する欧州委員会の二つの提案そ否決した。

 一番目の異議は、二酸化チタン(E171)に関する食品添加物の仕様を定めた法律に対して欧州委員会により提案された改正に関するものである。その異議は 443 対 118、棄権 135 で承認された。

 欧州議会は欧州委員会に対し、予防原則を適用し、現在主に菓子、パンやパン菓子、チューインガム、キャンディー、チョコレート、アイスクリームなどの着色に使用されている許可された食品添加物の EUリストから E171を削除するよう求めている。これらの製品は子どもたちが大好きなので、子どもたちがその添加物に大いに暴露する可能性が高いことを議員らは特に懸念している。彼らは、フランスが 2020年1月1日をもって二酸化チタンを含む食品の販売を禁止したこと、そしてヨーロッパ中の 85,000人の市民がフランスの禁止を支持する請願書に署名したことを強調している。

 二番目の異議、すなわち乳幼児及び小さな子どもたち向けの特定の食品に含まれるアクリルアミドの許容上限を設定する規則を修正するという欧州委員会の提案に対する異議も、469 対 137、棄権 90で承認された。

 欧州食品安全機関(EFSA)は以前、一部の食品が加熱されると自然に発生する加工汚染物質であるアクリルアミドが、すべての年令層でがんを発症するリスクを高める可能性があることを確認していた。 決議では、議員らは、体重当たり最も暴露しているため、乳幼児にしばしば与えられる 2つの食品に許可される最大レベルを下げるよう欧州委員会に要求している。 彼らはまた、特に乳幼児向けに製造されているわけではないが、しばしば彼らに与えられたり、彼ら向けに販売されたりするビスケットやラスクは、同様に厳しい要求とすべきと強調している。

次の段階

 欧州議会がこれらの 2つの異議を採択したため、欧州委員会は提案を承認することができず、現在、それらを修正するか又は撤回する義務がある。


訳注:補足記事

  Lynn L. Bergeson & Carla N. Hutton / NOECT は 2020年10月8日のブログ、European Parliament Calls on EC to Ban Titanium Dioxide (E171) in Foodで以下の様に報じている。

 欧州議会(EP)は、2020年10月8日に、食品での二酸化チタン(E171)の使用に関する仕様を修正するという欧州委員会(EC)の提案に反対したと発表した
 議会は、二酸化チタン(E171)の量を減らすという欧州委員会の提案を拒否し、代わりに「予防原則を適用し、現在主に菓子、パンやパン菓子、チューインガム、キャンディー、チョコレート、アイスクリームなどの着色に使用されている許可された食品添加物の EUリストから E171 を削除するよう 欧州委員会 に求めた。
 採択された決議は、二酸化チタン(E171)を”部分的にナノ粒子からなる食品添加物”と説明し、”ほとんどの加盟国は現在までの所、食品中にナノ粒子が含まれていることを示すにラベルを付けるという要求を実施するのに苦労してきた”と述べた。
 一方、スペイン、ベルギー、イタリア、ドイツで実施された消費者グループによるテストでは、[ナノ製品の定義である]50%を超える二酸化チタン(E 171)のナノ粒子が見つかったが、菓子、チューインガム、ケーキなど、子どもやその他の脆弱な人々が頻繁に消費する食品を含め、添加物に”ナノ”のラベルはついていなかった。
 欧州議会は、フランスが 2020年1月1日をもって二酸化チタンを含む食品の販売を禁止し、85,000人のヨーロッパ市民がフランスの禁止を支持する請願書に署名したと述べている。 欧州委員会は提案された修正を進めることができず、今すぐ修正または撤回する必要がある。
訳注:関連情報
INRAE(仏・国立農学食品環境研究所)2020年10月7日 二酸化チタンナノ粒子:E171 は胎盤関門を通過する


化学物質問題市民研究会
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