EPA 2008年1月28日
ナノスケール物質スチュワードシップ・プログラム

情報源:EPA January 28, 2008
Nanoscale Materials Stewardship Program
http://www.epa.gov/oppt/nano/stewardship.htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年7月22日
更新日:2009年1月17日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/epa/epa_080128_NMSP.html


このページの内容:

 2008年1月28日、EPAはナノスケール物質スチュワードシップ・プログラム(NMSP)を立ち上げた。このNMSPは、ナノスケール物質のためのリスク管理の実施を含む情報の提出と開発を推奨することにより、規制決定のためのより確かな科学的基盤を提供するのに役立つであろう。TSCA化学物質目録上の物質状況により決定される新規又は既存のどちらかの化学物質であるナノスケール物質がこのプログラムの対象となることができる。TSCA化学物質目録−一般的アプローチ 2008年1月28日(PDF)を参照のこと。NMSPは基本及び詳細プログラムを含む。

基本プログラム

  • 参加者は製造し、輸入し、処理し、又は使用する工業ナノスケール物質(engineered nanoscale materials )に関する入手可能な情報を自主的に報告するよう求められている。
  • EPAは参加者がこの情報の報告に役立たせるために任意データ提出フォーム(PDF)及びワークシート(PDF)を使用することを推奨する。
  • ある参加者はこのデータフォームを用いるのが最善であると考えるであろうが、参加者は入手可能なデータをどのような様式で提供してもよい。
  • EPAは参加者が追加的データを開発することを要求しておらず、参加者は既存のデータを提出することだけを求めている。

詳細プログラム

  • 参加者は、もっと長期にわたってテスト実施を含むデータを自主的に開発することになる。
  • 特定のナノスケール物質のためのデータ開発に関心を持つ企業やコンソーシアムはEPAに通知すべきである。
  • 潜在的な参加者が特定されたなら、EPAはデータ開発にいたるプロセスを推奨するであろう。
 EPAは参加することに関心を持つかもしれない者との議論や彼らからの質問を歓迎する。
 連絡先:Jim Alwood, of EPA's Chemical Control Division, at alwood.jim@epa.gov or 202-564-8974.

基本プログラム詳細

 EPAは基本プログラムの参加者は2008年7月28日までに既存データを提出することを推奨する。提出されるべきデータのタイプは下記で見つけることができる。:  これらのデータは、物質特性、ハザード、用途、潜在的暴露、リスク管理実施に関する情報を含む。参加者は彼らの特定のナノスケール物質に関連する入手可能なデータのみを提出する。

 EPAは、基本プログラムの各参加者が製造、輸入、処理、又は使用するナノスケール物質のリスク管理実施に関する入手可能なデータを提出するよう要請する。既にリスク管理計画を開発した参加者は、その計画を基本プログラム下の提出書類の一部として含めることを要請される。EPAは、まだリスク管理計画を持たない参加者はその開発と基本提出に含めることを検討することを推奨する。

詳細プログラム詳細

 暫定的プログラム評価からのインプットを含んで、基本プログラムによって生成されたデータと経験は、開発が必要な詳細データのタイプを特徴づけるのに役立つ。詳細データは、特定のナノスケール物質のデータ開発の取り組みのスポンサーになることに同意する参加者によって指定された代表的ナノスケール物質に対して開発されることになるであろう。EPAとスポンサーはデータ開発計画を案出する。ある場合には特定のスポンサーは計画のひとつあるいはそれ以上の側面を実施することを選択してもよい。あるいは、スポンサーのコンソーシアム及び他の利害関係者は計画の諸相を共同で実施してもよい。完成時にはEPAとスポンサーは、利害関係者からのンプットを検討しつつ、集められた情報を再びレビューし、最終的評価を実施し、更なる行動を検討するであろう。

 詳細プログラムでの取り組みは、経済協力開発機構(OECD)工業ナノ材料作業部会の下で行われている作業に関連するかもしれない。ナノ物質に関する国際協力(International Cooperation on Nanomaterials)を参照のこと。

プログラム参加者

 商業的目的でナノスケール物質を製造、輸入、処理、又は使用する会社は、下記を含んで NMSPに参加することを要請される。
  • 工業ナノスケール物質を製造又は輸入する者
  • 工業ナノスケール物質を物理的又は化学的に変更する又は処理する者
  • 工業ナノスケール物質を製造するために非ナノスケール物質を物理的又は化学的に変更する又は処理する者
  • 製品製造において工業ナノスケール物質を使用する者
 工業ナノスケール物質を開発又は研究する研究者を含むその他の者もまた、参加することを要請される。このプログラムへのどのような参加も自主的なものである。

Annex A of the NMSP concept paper (PDF) (21 pp, 165K) (see pages 8-12)は、誰が参加するか及びプログラムに含まれるべき物質のタイプについてさらに議論している。

現在の NMSP 参加者(2008年11月26日現在)

基本プラグラムの下で提出者(28」組織、122種以上のナノスケール物質)
Altairnano
Ahwanee
Arkema
BASF Corporation
Bayer Material Science
Dow Chemical
DuPont
Evonik/Degussa
General Electric
International Carbon Black Association
Nano-C
Nanofilm
Nanophase Technologies Corporation
Nantero
Office ZPI
PPG Industries
Pressure Chemical
Quantum Sphere
Sabic Plastic Innovations
Sasol North America
SouthWest NanoTechnologies, Inc.
Showa Denko KK
Strem Chemicals
Swan Chemicals Inc.
Synthetic Amorphous Silica and Silicate Industry Association
Unidym
Two companies claimed as Confidential Business Information

基本プラグラム下で情報提出を約束者(7社)
Angstron Materials
eSpin Technologies
Evident Technologies
Luna Nanoworks
MicroTechNano
Nanocyl North America
One company claimed as Confidential Business Information

詳細プログラムのもとでの提出者(3社)
SouthWest NanoTechnologies, Inc.
Swan Chemicals Inc.
Unidym

評価

 EPAは、2009年1月28日のプログラム立上げから約1年後にプログラムに関する暫定的報告書を発表する。もっと詳細な報告書とプログラム評価は約2年後に発表される。2年報告書発表時に、EPAは、基本報告段階と詳細データ開発段階の双方の将来方向を決定するつもりであるが、もし十分な経験が得られるなら、もっと早い時点に将来の方策に関する調整と決定がなされるであろう。これはまた、TSCAの下における規制権限の使用の検討を含む。

プログラムへの参加

 基本プログラムの提出、詳細プログラムへの参加要求、又はこのプログラムに関するどのようなインプットでも下記宛てに送付すること。

Mail:
Document Control Office (7407M)
Office of Pollution Prevention and Toxics (OPPT)
Environmental Protection Agency
1200 Pennsylvania Ave., NW
Washington, DC 20460-0001
ATTN: Nanoscale Materials Stewardship Program

 メールの安全対策として、メールをスキャンするために用いられる装置がディスク又はCD-ROMを壊すかもしれないので、EPAはディスク又はCD-ROMの郵送は推奨しない。

手渡し:
OPPT Document Control Office (DCO)
EPA East Bldg., Rm. 6428
1201 Constitution Ave., NW
Washington, DC

 DCOは休日を除く月曜日から金曜日まで午前8時から午後4時まで開いている。DCOの電話番号は(202) 564-8930である。そのような引渡しはDCOの通常業務時間内に限られる。箱詰めの情報の引渡しには特別のアレンジが必要である。

企業秘密情報(CBI)に対する指示

 どのような文書もナノスケール物質スチュワードシップ・プログラムに関連するものとして明確に示すこと。企業秘密情報(CBI)あるいは開示が法により制限される情報であると主張するなら、明確に企業秘密(CBI)とラベルを貼ること。もし報告書様式を使用するなら、報告書様式に関する指示に従うこと。もし情報が機密であると主張するなら、添付を含んでsanitized versionを用意すること。(以下日本語訳省略)

背景
 2006年10月にEPAはこのスチュワードシップ・プログラムを設計し開発するために共同公開プロセスを立ち上げた。2007年7月12日、EPAは下記についてパブリック・コメントの用意ができたことを告知した。
2007年8月2日にEPAは、NMSP及び関連文書に関する追加的インプットを得るために公聴会を開催した。EPAは書面によるパブリクコメント、公聴会で受けたたコメント、及び2006年10月のリスク管理実施に関する、及び2007年9月の物質特性化に関する科学的ピア・コンサルテーションに基づく NMSP の設計と書式を最終的なものにした。2008年1月28日、EPAは最終的 NMSP を発表し、関心ある団体がこのプログラムに参加するよう要請した。


訳注:関連記事

 C&EN 2008年7月16日 ナノ産業団体 ナノ物質スチュワードシップを促進 もっと多くの会社が参加しないとEPAの自主的プログラムは強制的なものになると恐れる人もいる



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