ニュージランドEPA メディアリリース 2012年6月29日
化粧品規制更新:ナノ成分表示要求


情報源:New Zealand EPA Media Release, June 29, 2012
Cosmetic products regulations updated
http://www.epa.govt.nz/news/erma-media-releases/Pages/
Cosmetic-Products-regulations-updated.aspx


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年7月28日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/NZ/120629_NZ_EPA_cosmetic_nano.html


 ニュージランド環境保護庁(EPA)は、化粧品グループ基準( Cosmetic Products Group Standard)の修正を承認した。グループ基準は、同類の特性、タイプ、又は用途の有害物質のグループの承認に関するものであり、このグループ基準は欧州連合(EU)の規則に密接に関連している。

 ニュージランドでは、EPAは化粧品中で見出される有害かもしれない成分を規制している。化粧品は、トイレタリー、日焼け止め、口腔衛生用品、その他の身体手入れ用品を含む。

 この修正は、いくつかの化粧品の定義をEUの規則に合わせること、及びリコール(回収)時に製品の特定に役立つ詳細情報(batch and source code information)を化粧品ラベル上に表示することを製造者に求めている。

 さらにオルト‐アミノフェノール(o-Aminophenol)は、安全性に関する入手可能な情報が欠如しているので、ヘアダイでの使用が禁止された。この製品の廃止のために12ヶ月の実施(免除)期間が与えられる。

 もうひとつの修正は、2015年から、ニュージランドで入手可能な化粧品中に存在するナノ物質はラベル上で特定(表示)されなくてはならない。ナノ物質は自然界で又は意図的な製造で生じ、1〜100ナノメートルのスケールで、溶解性又は生物蓄積性の粒子である。そのような微小物質の有害影響は定かでない。

関連情報として「decision and other supporting information」を参照せよ。

備考:

 化粧品グループ基準は、2013年から発効する欧州連合の化粧品指令(Cosmetics Directive)及び化粧品規則(Cosmetic Products Regulation )と密接に関連している。

 欧州委員会は、化粧品中のナノ物質に関連する規則は定期的に見直され、ナノ物質の目録は2014年から公的に利用可能となることを提案した。この(ニュージランドの)要求を実施するための決定は有害物質及び新規有機物質法(Hazardous Substances and New Organisms Act)と一貫しているが、この法律は有害影響についての科学的及び技術的不確実性がある場合には有害影響の管理に注意が必要であると述べている。EUの化粧品規則は、ナノ物質に関連するリスクに関して利用可能な情報が不十分であるということを明らかにしている。

 当局はまた、申請者により指摘されたグループ基準で使用されている用語の不一致への対応のための修正を採択した。したがって、グループ基準中の”ナノ粒子(nanoparticle)”という用語は、EUの規則に合わせるために、”ナノ物質(anomaterial)”という用語に置き換えられた。


訳注:EU化粧品規則:2013年7月11日から発効
2009年11月30日欧州議会及び理事会 化粧品に関する規則(EC) No 1223/2009
ナノ関連抜粋

第13条:届出
1. 化粧品を市場に出す前に、責任者は、電子媒体で次の情報を欧州委員会に提出しなくてはならない。
(f) ナノ物質の形状で存在する物質:
 (i) 化学物質名(IUPAC)を含むナノ物質の身元(identification)と、「Annexes II to VIのPreamble(序文)(2)」に示されるdescriptors(訳注:CAS, EINECS, ELINCS など)
 (ii) 合理的に予知できる暴露条件

第16条:ナノ物質
1. ナノ物質を含むどのような化粧品も高いレベルのヒト健康の保護が確保されなくてはならない。

2. 本条の規定は、明示的に特定されない限り、第14条の下に規制されている(regulated)着色剤、UVフィルター、又は保存剤として使用されるナノ物質には適用しない。

3. 第13条の下における届出に加えて、ナノ物質を含む化粧品は上市6ヶ月前までに責任者により電子媒体で欧州委員会に届出なくてはならないが、2013年1月11日以前に同じ責任者により上市されている場合を除く。後者の場合、第13条に加えて、上市されているナノ物質を含んでいる化粧品は2013年1月11日から同年7月11日の間に電子媒体で責任者によって州委員会に届出なくてはならない。第1項及び第2項は、Annex III(訳注:制限)に規定される要求に従っているナノ物質を含む化粧品には適用されない。欧州委員会に届出る情報は少なくとも下記を含まなくてはならない。

  1. 化学物質名(IUPAC)を含むナノ物質の身元(identification)と、Annexes II to VIのPreamble(序文)(2)に示される記述
  2. 粒子のサイズ、物理的及び化学的特性を含むナノ物質の仕様
  3. 市場に出す意図のある化粧品中に含まれるナノ物質の年間当り見積もり量
  4. ナノ物質の毒性学的プロフィール
  5. 化粧品のカテゴリーに関連する製品中で使用されているナノ物質の安全性データ
  6. 合理的に予知できる暴露条件

第19条: 表示(Labelling)
1. (g) ・・・(略)。
 成分のリスト。この情報は包装だけに表示されてもよい。このリストは”成分”という語で示されなくてはならない。
 ・・・(略)。
 ナノ物質の形状の全ての成分は成分リスト中に明確に示されなくてはならない。そのような成分の名前は、かっこの中に”ナノ”(nano)と示さなくてはならない。



化学物質問題市民研究会
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