ナノ形状物質の登録文書一式を準備している会社に助言を提供する二つのガイダンス文書が更新された。それらの文書は、登録者が 2020年1月1日から適用されるナノ物質のための新たな法的要求を満たすのに役立てるものである。
【ヘルシンキ 2019年12月3日】 「登録と物質同定に関するガイダンス(Guidance on Registration and Substance Identification)」にナノ形状物質のための新たな付属書が追加された。それは 2020年1月1日から適用されるナノ物質のための修正された REACH 付属文書に ECHA のガイダンスを合致させるためになされた。その文書は、ナノ形状物質という用語を説明し、ナノ形状物質一式をどのように構築し、どのように妥当性を示すか、そしてどのような特性情報が報告されるべきかを説明している。
上述のガイダンスの助言を反映するために「 QSARs 及び化学物質の分類に関するガイダンス(Guidance on QSARs and Grouping of Chemicals)」に適用されるナノ形状物質のための付属書が更新された。その更新はまた、ナノ形状物質一式を生成することと、異なるナノ形状物質の有害性データの使用を正当化するリードアクロス(訳注1)との間の相違を明確にしている。
ECHA は、2020年中、人間の健康と環境情報要求のための既存のガイダンスの更新を続けるであろう。登録を考えている者が新たな情報要求を満たせるよう支援するための、利用可能なテストガイドラインとその他の認められている手法及び標準の更新された概要は、欧州連合ナノ物質観測所(European Union Observatory for Nanomaterials (EUON))(訳注2)で入手可能である。
背景
会社は、2020年1月1日までに、REACH 規則の下、EU/EEA (欧州連合/欧州経済領域)市場にあるナノ物質に関する追加的な情報を提供しなくてはならない。その新たな情報要求は、REACH 規則の下に登録の対象となるナノ形状物質を製造又は輸入する会社に関係する。ナノ形状物質とは、ナノ物質の定義のための欧州委員会の勧告を満たす物質(訳注3)である。
更なる情報
訳注1:リードアクロス
- 構造活性相関に関する用語集/製品評価技術基盤機構(NITE)
リードアクロスとは、カテゴリーアプローチやアナログアプローチにおいて、有害性の類似性に基づきデータギャップ補完を行う方法。未試験物質の有害性は試験データのある類似物質と同程度と推定される。我が国では「類推」と呼ばれる。
- 予測方法の概要/化学物質評価研究機構(CERI)
(Q)SAR とは、構造的に類似した物質の既知の活性に基づいて、試験を実施することなく評価対象物質の活性を予測すること
Read-acrossとは、予測を行いたい物質(ターゲット物質)に対して類似性のある物質(ソース物質)のデータを用いて、予測を行いたい物質の毒性等のエンドポイントのデータギャップの穴埋めを行う方法
訳注2:EUON
訳注3:ナノ物質定義
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