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2012年6月28日 INC4本会議 IPENの発言
「排出と放出」
ギルバート・クエポウオ(CREPD/カメルーン)
日本語pdf版

オリジナル:IPEN Intervention on Emissions and Releases
Dr. Gilbert Kuepouo, CREPD, Cameroon
http://ipen.org/hgfree/wp-content/uploads/2012/06/
IPEN_Emissions-and-releases-intervention-Final-English.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年7月16日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC4_NGO_Intervention/IPEN/
Emissions_and_Releases_jp.html


議長、ありがとうございます。

 私は、国連の5地域、116カ国、700以上のNGOsのネットワークであるIPENを代表してお話をします。

 私は、次の4つの点を指摘したいと思います。

1. 将来の条約は全ての媒体への排出と放出を管理することが重要

 大気放出管理だけに焦点を当てる条約は、大気への排出を水や陸地への放出にシフトさせ、水銀汚染を増加させるだけの結果となります。大気にひとつ、水にひとつ、陸地にひとつの合計3つのBAT文書を持つのではなく、効率的にするために単一のBATガイドラインがひとつの源から全ての媒体への放出に対応すべきです。

2. 水銀条約で大規模採鉱からの放出を削減し、廃絶することが重要

 北極評議会行動計画によれば、大規模採鉱は非常に大きな水銀排出源であり、それらの90%以上は陸地へ放出されます。大規模採鉱の真のコストは相当な額となります。大規模採鉱は地域社会や人々を汚染し、水の供給を汚染し、農業に立脚する経済を破壊し、先住民を立ち退かせ、食物と文化に影響を及ぼします。大規模採鉱からの汚染は長期間続きます。アメリカのカリフォルニア州には、150年以上前に起きたゴールドラッシュ時代から存在する47,000以上の汚染サイトがまだあります。それらからの大きな排出に加えて、大規模採鉱活動はまた、ひとつの水銀供給源でもあります。金属と共に採鉱される水銀は、最終的にはブラックマーケットで売られています。この水銀はしばしば、ASGMでの使用に向けられ、したがって膨大な水銀排出に寄与しています。

3. 条約は水銀を放出しない代替の持続可能なエネルギーの形態を促進すべき

 現在までのところ、条約の中での管理措置に関する重点は、石炭火力のための事後解決(end of the pipe solutions)に置かれています。しかし私達は、条約は水銀排出をともなう化石燃料に頼らない代替エネルギー製造のための技術を含む広範な選択肢のメニューを促進すべきであると信じます。私達は、化石燃料燃焼からの水銀排出は施設の寿命の全期間にわたるということに留意しています。しかし、代替エネルギー源については、はじめはコストがかかりますが、操業全期間にわたって水銀排出又は管理に関連する懸念がありません。

4. 条約は採掘産業からの水銀排出に目を向けるべき

 利用可能な情報に基づき、石油と天然ガスにおける水銀のレベルは一般的には高くはないが、製造され、精製され、使用される石油とガスの量は多いので著しい量の排出と放出となります。石油と天然ガスの製造と処理からの水銀の放出のための特別な管理措置がこの条約の中で勧告され、含まれるべきです。私達は、フラッキング(訳注)又は炭層ガス(coal seamgas)における新たな技術の利用に注意を向けたいと思います。それらはプロセス中で水銀を含む数百の化学物質が関与するのです。

よろしくご配慮をお願いいたします。


訳注:参考情報/フラッキング(水圧破砕法)
http://www.nygreenfashion.com/html/learn/hydrofracking.html



化学物質問題市民研究会
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