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2011年1月 INC2本会議 ZMWGの発言
「第9条 小規模金採鉱」

ケビン・テルマー(Kevin Telmer from Artisanal Gold Council)

オリジナル:Zero Mercury Working Group Article 9 Intervention
Kevin Telmer (Artisanal Gold Council in Canada)
http://www.zeromercury.org/UNEP_developments/
Intervention%20Article%209%20by%20ZMWG%20-%20final.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年5月17日
このページへのリンク:
"http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/
INC2_NGO_Intervention_jp/ZMWG/Art_9_Kevin_Telmer.html


 私は、小規模金採鉱協議会(Artisanal Gold Council) のケビン・テルマーです。
 ゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループとして発言します。

 議長、各国政府代表者の皆様、小規模金採鉱(ASGM)について話す機会を私に与えていただき、ありがとうございます。私たちは、各国毎にASGMにおける水銀使用を削減することが問題解決であるとすることが共通の理解になりつつあるということを強調したいと思います。顕著な水銀使用の削減をもたらし、より広範なプログラムのモデルとなるような既存の成功があります。それらの多くは、2010年12月にマニラで開催されたASGMに関するUNEPの世界フォーラムで詳しく述べられ、文書化され、合意されました。それらの成功は、ASGMの社会的・経済的側面の考慮を含んでいます。

 例えば、2007年にインドネシアで実施されたひとつのプログラムで、低価格で手ごろな排気フードの使用により、水銀放出が6ヶ月で80%減少しました。重要なことは、これらの排気フードは現在に至るまで外部の助けなしに使用され続けており、それは成功と持続可能性の証左です。同様に、直接精錬(direct smelting)技術が開発されており、ガーナでは採鉱者により採用され、該当装置中での水銀使用を完全に置き換えています。これらは水銀使用を止める永久的で持続可能な移行です。

 ASGMにおける水銀の問題は解決可能ですが、条約は、この分野における水銀使用の削減を進めるために必要な世界の注目を得るために重要な手段となるでしょう。INC会議だけでも、すでにこの問題について、かつて政府内で又は国際的に得たことのなかったレベルにまで知らしめました。私たちは、あなた方を称賛し、この弾みと進展を促進するよう励まします。

 条約がASGM分野に対応する可能性を実現するために、ASGMをもつ締約国は、ASGM分野からの水銀使用と放出を削減するために措置をとる義務的な責任を持たなくてはならないという基本的な前提をもって取り組むということは野心的なことに違いありません。簡単に言えば、ドラフト・エレメント・ペーパーは単に締約国は措置をとることを考慮するよう勧告しているだけですが、私たちは、義務的な行動が必要であると信じます。

 私たちは、現在、世界最大の水銀需要のあるASGMに対応するために、条約が義務的な責任を求める条項を作ることが本質的に重要であると信じます。義務的な責任がもし適切に構築されるなら、条約の供給削減戦略を補完するために必要な調整された需要削減戦略をもたらすであろうという理由のために、それは大きな進捗をもたらす手段となるでしょう。彼らは、仕事をするために必要とする資金を入手することが可能となり、成功が認められ、繰り返し行なえるよう、お金がどこにどれだけ使用されたかについての説明責任を持つでしょう。そのようなアプローチが、採鉱コミュニティの健康と福祉を、そして世界の環境を適切に守るために求められます。

我々が求めるこれらの義務的責任の特性とはどのようなものか?

 私たちは、エレメント・ペーパーに取り入れられた柔軟なアプローチが現実的に削減を実現するために必要であることに同意し、各国は、締約国がASGMでの水銀使用を削減し、可能な場合には廃絶するために用いることを意図する特定の戦略を記述する各国特有の行動計画を策定すべきであるということに同意します。しかし、私たちは、そのような計画の策定と実施は義務的であるべきと信じます。さらに、ZMWGが提出した資料の中に、私たちは、プロセスと大気放出をカバーする同様なAnnexes にならってモデル化された新たなAnnex G を開発しました。それは、いつ、どのように、最悪の水銀使用の実施を排除するか、ASGMにおける水銀使用を廃絶するための長期的目標ひどく汚染されたサイトを特定し対応するためのメカニズム、そして貧困の軽減のために活動する人々を含む利害関係者の関与の機会などの、計画の重要な要素からなっています。鉱石一括アマルガム化、アマルガムのオープン・バーニング、シアン化合物の使用などの最悪の実施の廃絶は、地域及び世界での水銀使用と放出を大きく削減するであろうことに留意してください。もし行動計画のこのひとつの要素が広く達成されるなら、世界のASGMにおける水銀放出を90%削減することを実現できるでしょう。

 私たちは、締約国がこのASGMの取り組みの一部として計画を準備し実施するのを支援するために、ガイダンスとその他の資料が必要であろうと考えています。計画の策定と実施が可能な限り早急に開始することができるよう、今後5年間をカバーする暫定的な資金調達計画が緊急に必要です。

 終わりに、私たちは、条約がASGMの義務的な条項を作ることが本質的に重要であり、もしそれらが適切に構築されるなら、それらの条項はSGMにおける水銀の使用削減に大きな進展をもたらすための手段となることができ、採鉱コミュニティの健康と福祉、そして世界の環境を守ることができると信じています。


訳注:参考情報
ZMWG 2011年1月 INC2 ドラフト・エレメント・ペーパーに対するゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループ(ZMWG)の意見と勧告


化学物質問題市民研究会
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