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2011年1月 INC2本会議 ZMWGの発言
「第7条 水銀添加製品」

ナジ.コデイ(Naji Kodeih from IndyACT in Lebanon)

オリジナル:Zero Mercury Working Group Article 7 Intervention
Naji Kodeih (IndyACT in Lebanon in Lebanon) http://www.zeromercury.org/UNEP_developments/Intervention%20Article%207%20by%20ZMWG%20-%20final.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年5月14日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC2_NGO_Intervention_jp/ZMWG/Art_7_Naji_Kodeih.html


 議長、ありがとうございます。
 私は、レバノンの IndyACT in Lebanon のナジ.コデイです。
 ゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループとして発言します。

  1. ZMWGは、製品中での水銀使用の廃止にたいし、ネガティブ・リスト・アプローチを支持します。新たな用途を抑制し安全であることの立証責任を水銀使用者に求めるという長所があるからです。

  2. しかし、ここではポジティブ・リスト・アプローチが採用されるという前提の下に、私たちはこのインターベンションを第7条とAnnex C に対する必要な修正に向けます。

  3. 私たちは、Annex C に、4つの製品カテゴリーを追加することを求めます。石けんと化粧品(すなわち、美白効果クリーム)がひとつのカテゴリーです。これらは、その製品を通じての水銀使用の有害影響が報告されており、水銀を使用しない代替製品が容易に入手できるので、リストに追加されるべきです。残りの3つのカテゴリーには、様々な殺生物剤があり、より広い殺生物剤リストの中に別に掲載することができるはずです。これらの殺生物剤の用途は、マーキュロクロムのような局所消毒であり、直接的な皮膚曝露を通じて人を不必要に曝露させます。さらに歴史的に水銀が非常に多用された塗料と農薬があります。どの程度、そして実際に水銀農薬と塗料製造が現在も行なわれているのかかどうかは、特に途上国の世界では明らかではありません。しかし、そのような使用が、比較的少量であっても、それらを Annex C に含めることは、遵守を達成するのにほとんど努力の要らない逆戻り防止条項であるとみなすことができます。さらに、農薬の場合には、最近の北極評議会(Arctic Council)の報告書は、販売又は輸出に当てることができる推定500-1,000トンの水銀が一カ国に保管されていると報告しています。

  4. ランプについていえば、私たちは、完全な製造禁止ではなく、むしろ水銀含有量の制限値を設定するプロセスを提案します。そのような禁止アプローチは、この分野において短期間に消費される水銀の量を最小化することなく包括的な例外的使用のための免除をもたらす結果となるからです。私たちの提案するアプローチの下に、締約国会議(COP)は、ランプ製造に水銀をまだ必要とする場合には最大含有基準を、そして水銀を使用しない代替品が利用可能、又は特定のタイプのランプが廃れた場合には水銀使用の禁止(含有基準をゼロとする)を、定めることができるはずです。

  5. 少なくとも、いくつかの優先度の高い種類のランプについては、私たちは、新たに確立された基準、EUのRoHS指令に基づいて、INCが新たに含有制限を規定することができると信じています。これらの新たな基準は、専門家のレビューと利害関係者が関与する多年のプロセスの中で開発されたものです。第2回締約国会議までに、締約国会議(COP)は、これらの含有制限を修正し、残りの全ての種類のランプについても制限を設定するようにすべきです。追加的修正もまたランプ技術の進歩とともに修正されるべきです。意義深いことには、ランプの水銀含有量の追加と修正のプロセスは、第28章で議論されるように Annex の修正のために合理化されたアプローチが求められるので、重要です。今後10〜20年の間にランプ製造技術は著しく進歩することが期待されるので、条約の Annex は、水銀使用が最小化され、最終的には廃絶されるよう、技術的進歩とともに進展しなくてはなりません。

  6. エレメント・ペーパーは非締約国との貿易に関して特に弱く、明瞭さに欠けるので、この点に対応するために4つの変更が必要です。
     第一に、条約は制限された水銀製品の非締約国への輸出を許してはなりません。この制限は、政府が締約国になることを促進し、制限される水銀製品は条約の例外手続きに従い、寿命が終われば適切に処理される場合にのみ、使用することができることを確実にするために必要です。
     第二に、条約は、制限された製品を製造するために用いられる工場機器の非締約国への輸出又は財政的支援を防ぐべきです。この修正は、非締約国が第7条の世界の削減要求目標を損ねることができないようにするために必要です
     第三に、条約は、締約国が非締約国から制限された製品を輸入するために、締約国に許容される使用の免除を得るよう求めるべきです。この追加なしには、制限される製品の非締約国からの輸入は容易になり、したがって非締約国に締約国との貿易を促進させることになります。さらに、許容される使用免除プロセスは、水銀を使用しない代替品のレビューを見越しており、国際貿易が関わる場合には、輸入国の地域の状況が代替分析にとって最も関連性があります。
     第四に、締約国は、ポリ塩化ビニルや塩素のように本条約の下に禁止されている水銀プロセスを使用して作られた製品の輸入を禁じられていますが、締約国会議(COP)は禁止された水銀プロセスを使用する製品や工場を特定することができるでしょう。そのような情報は、締約国会議(COP)によって、水銀ベースのプロセスを使用している設備がしばしば特定されている貿易ジャーナルやその他の産業情報の中で見出されるでしょう。締約国が最早使用することができないプロセスの使用で、非締約国が経済的な利益を得ることは許されるべきではありません。

  7. ポジティブ・リスト・アプローチの下に、新たな製品カテゴリーを導入することを制限することは、ひとつのケースが生じるための多くの異なる状況を予測する必要があるので、非常に困難なことです。私たちは、もし水銀化合物の使用でがんが治療できるなら、その使用を妨げることを望みませんが、一方、代替製品がよく機能している分野で新たな水銀使用の探求を促進することを望みません。したがって、私たちは、条約の下に承認される前に、許容使用免除レビューと認可プロセスにかけることを求めることによって、新たな製品のカテゴリーを抑制することを提案します。COPレビューのためのこの機会により、必要な技術的評価と締約国からの情報提供が可能となるでしょう。私たちは、このようなプロセス・アプローチにより、予測できない状況に対応することができ、新たな水銀使用はほとんどないであろうことを確実にするために必要な透明性をもたらすことができます。

  8. 最後に、水銀製品の範囲に関し条約に著しいギャップがないかどうか、新たな技術又は情報により以前には目を向けていなかった製品に管理措置が必要となっていないかかどうか、又はランプに新たな水銀含有基準が必要となっていないかどうかを調べるために、定期的な Annex C のレビューが必要です。もし、Annex が修正されるなら、締約国会議(COP)は、以前に議論されたように、Annex の修正のための手続きの合理化に役立つでしょう。


訳注:参考情報
ZMWG 2011年1月 INC2 ドラフト・エレメント・ペーパーに対するゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループ(ZMWG)の意見と勧告


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