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2011年1月 INC2本会議 IPENの発言
「貿易と小島嶼開発途上国(SIDS)」

IPEN イモゲン・イングラム

オリジナル:IPEN Intervention
Trade ‐ SIDS
Imogen Ingram
http://www.ipen.org/hgfree/documents/Intervention%20on%20Arts%205,6%20Trade.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年7月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC2_NGO_Intervention_jp/
IPEN/Trade_SIDS_Imogen_Ingram.html


 議長、私の名前はイモゲン・イングラムといい、IPENに参加する700以上の団体のひとつ、アイランド・サステイナビリティ・アライアンス(CISInc.,)の者です。これは私の最初の発言なので、このすばらしい会議を主催し、スムースな運営を行なう日本政府に対し、感謝の言葉を申し上げます。

 私は小島嶼開発途上国(SIDS)に関連する貿易について発言したいと思います。SIDS は水銀を採鉱していませんし、製造プロセスで水銀を使用しているわけではなく、私たちは先進国の会社から水銀を含む製品を輸入しています。私たちの湿度の高い塩気の多い海洋環境では、それらは一般的に3〜5年以内に危険な水銀含有廃棄物になります。これらの製品の現在の処分方法は、埋立であり、それらは私たちの水路や海岸に移動する漏洩物を生成します。私たちの生態系は、これらの有害物質の水への放出により影響を受けます。私たちは魚介類に依存しているので、それは、SIDSにおける脆弱な集団にとって、水銀への主要な曝露経路です。

 そのような曝露から市民を守るために、SIDSの政府は水銀を含む製品の輸入に対してライフサイクル・アプローチをとる必要があります。最初のステップは、購入政策を確立することであり、それは水銀を含んでいないことを示すラベルを添付した製品、又は水銀含有を最小にするための最も厳格な基準に合致した製品のみ、輸入が許されるというものです。これはロッテルダム条約の貿易における事前同意手続と一致するものです。このことに関し、提案される法的に拘束力のある条約がSIDSを支援することができる最も効果的な方法は、ネガティブリスト・アプローチ、すなわち、免除されるとしてAnnexにリストされたものを除いて、全ての水銀含有製品を禁止することです。現在のドラフト条項は、輸入される水銀の最終的使用のために責任が求められないので、濫用の原因になるかもしれません。例えば、私たちの懸念は、小国は許可された用途ではあるがその後不法な用途に転用することができる大量の水銀を輸入することができるということです。今朝もたれたASGM問題への言及は、責任あるプロセスこそが水銀の不法な取引を管理するために役立つということを強調しています。

 第二に、他の開発途上国と同様に、我々は製品の輸入時点から廃棄物に至るまでの製品の流れを追跡するリソースがまだありません。世界的に調和の取れた通関システムの導入は、この適切な流れを達成するために、技術的及び財政的援助を必要とします。私たちは輸入された製品を分析するための専門性とリソースが十分ではないので、我々にとってネガティブ・リストがより現実的です。私たちの限定された資源は、免除が与えられる前に条約の専門家委員会によって検討された水銀含有製品をどのように扱うかについて向けられるでしょう。SIDSの住民を保護するもうひとつの方法は、製造者が適切な処分を行なうために、彼等が製品を持ち帰ることを確実にする拡大生産者責任に頼ることです。このことは、製造者に水銀を廃絶する及び/又はより安全な水銀の代替品を使用するために製品を再設計することによって、彼等の義務を低減するための重要な動機を与えるものです。

 大気、土壌、及び特に水に放出する世界的な問題を扱うために国際的な法律が求められます。それは私たちが毎日食べる回遊魚が摂取する水銀は国際的な廃棄物の中にあるからです。SIDS参加国は、水銀含有製品又は廃棄物による地域の汚染を最小にするために、水銀条約を国家の法律に反映することができます。私たちはハリケーンや津波のような自然災害に脆弱なので、SIDSには、水銀含有廃棄物を適切な施設で適切に処分するために再輸出することができることが必要です。そのような水銀含有廃棄物の収集及び輸送に資するための地域の協定が望ましいでしょう。

 結論として、私たちは、今週、水俣の被害者等が話しをした、ひどい健康影響から私たち自身を守りたいと望みます。私たちは水銀含有製品を輸入しているので、私たちの懸念は、大気、土壌、そして水への水銀放出により、私たちの主食が汚染されるということから生じるものです。したがって、私たちの主要な関心は、輸入製品中及び食料供給中の水銀を廃絶することです。

ありがとうございました。



化学物質問題市民研究会
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