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2011年1月 INC2本会議 IPENの発言
「第8条 水銀が使用されている製造プロセス」

IPEN  エレーナ・バシリエバ

オリジナル:IPEN Intervention
Article 8: Manufacturing processes in which mercury is used
Elena Vasilieva
http://www.ipen.org/hgfree/documents/IPEN%20intervention%20on%20article%208.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年7月23日
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"http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC2_NGO_Intervention_jp/
IPEN/Article_8_processes_Elena_Vasilieva.html


 議長、
 IPENは、第8条は水銀使用製造プロセスの廃止のための世界的な工程表を確立するための条項を含んでいないということについて懸念を表明します。それは、例えば、比較的早い水銀電極塩素アルカリ・プラントの世界的な廃止を達成するために、そのような手続きは非常に有用であるにも関わらずです。

 条約の下に管理の対象となる全ての水銀使用プロセスをリストしている Annex D は、二つのプロセスだけしかリストしていません。塩素アルカリ製造と塩ビ・モノマー(VCM)製造です。  それは、水銀化合物を触媒として使用する他の化学物質製造プロセスもリストするよう拡張すべきです。これは特に、アセトアルデヒド製造とポリウレタン製造を含むべきでしょう。
 第8条は、Annex D にリストされている製造プロセスで水銀を使用するひとつ又はそれ以上の施設をもつ各約国は、そのようなプロセスでの水銀の使用を削減し廃止するための国家行動計画を作成することを求めています。しかし、第8条は、これらの締約国が作成した計画を実施するための、どのような義務についても、どこでも述べていません。

 第8条で要求されている国家行動計画は、Annex D の Part II にリストされている要素を含めることを求められています。Part II は、年間の水銀使用量の見積りを含めて、その計画が製造プロセス中で水銀を使用する施設の数とタイプの目録を含むよう適切に求めています。しかし、Part II はそれらの施設化の水銀排出又は水銀放出の測定又は見積りを求めていません。このデータは本質的に重要です。

 ドラフト第8.2 条は、この条約の発効日時点において、その支配領域内で使用されていない又は存在しない Annex D にリストされている水銀を使用しているプロセス又は施設の導入を禁止しています。この条項は、二つの重大な問題を抱えています。第一に、現在、そのような施設が存在している締約国に対し、上限なしにそれらの数とサイズを拡張することを許す認可をを与えることになるということです。第二に、それは将来、そのような施設を建設して操業したいと望むかもしれない締約国が条約が発効する前に急いでそのようなプラントを建設することを推奨することになるということです。この方法は、条約発効前の期間に望むだけの多くの施設を建設するために無制限に認可を発行することになります。

 私たちは、この種の新たな施設の建設と既存施設の拡張に関し、明確な限界と制限を置くようこの条項を修正することを提案します。もし、既存の施設を持つ国に継続して操業することを許すための締め切り期日が必要なら、使用すべき期日は、条約の発効日ではなく、条約を採択する外交会議の日とすべきです。



化学物質問題市民研究会
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