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2011年1月 INC2本会議 IPENの発言
「第11条 水及び土壌への放出」

IPEN マリアン・ロイド−スミス

オリジナル:IPEN Intervention
Article 11 releases to water and land
Mariann Lloyd-Smith
http://www.ipen.org/hgfree/documents/IPEN%20intervention%20on%20Article%2011.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年7月18日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC2_NGO_Intervention_jp/
IPEN/Article_11_releases_to_water_and_land_Mariann_Lloyd-Smith.html


 議長、ありがとうございます。

 私たちは、(私たちの前にすでに行なわれた多くのインターベンションと同様に、)水及び土壌への放出を含んで、水銀の全放出を管理することの重要性に目を向けるこの機会を感謝します。現在、ドラフト・エレメント・ペーパーは、Annex Fにリストされている限定された数の放出源からの水と土壌への水銀放出を管理するために、義務的措置を提案していません。私たちは、水俣の悲劇は水への直接的放出の結果もたらされたということを思い出す必要があります。

 水と土壌への放出に関し、IPENは、利用可能な最良の技術(BAT)の使用が全ての新規の放出源に求められるべきであり、BATは既存の放出源に時間枠をもって導入される必要があると考えます。このことは、Annex F だけでなく Annex E にリストされている汚染源から広範な水銀汚染された固体と液体が放出されるので、非常に重要なことです。

 議長、もし条約が、他の媒体ではなく、大気放出の管理のためにだけ締約国に義務的要求を課すなら、施設の操業者は、水銀による水と土壌の汚染を増やすことにより、水銀の大気放出を削減することを推奨され、ほめられさえするでしょう。

 このことに目を向け、明確にするために、私たちは、第10条と第11条を統合し、全ての重要な放出源をカバーするひとつの共通の Annexをもち、またこれらの放出源から大気、水、及び土壌への放出のための一式のBAT/BEP ガイドライン持つことを提案します。このアプローチは、ある施設がどのガイドラインを使用すべきなのかについての混乱を回避し、水銀の総放出量に対応するために適切な強調をするものです。

 現在、石炭やガスのような化石燃料の使用に関連する水及び土壌への水銀放出は、直接的には Annex F に含まれていません。私たちは、これらの放出源に関連する汚染防止措置の使用増大とともに、私たちは、例えば、石炭洗浄からの排水中や石炭灰の中に水銀汚染物質が増大することを経験するでしょう。POG 文書は、”石炭燃焼残渣中の高い水銀含有”と、石炭灰の農業用肥料としての再利用及び埋立処理がもたらす水銀漏洩の可能性及び水銀の媒体間の移動について認めています。これらは、地下水と地表水への漏洩を通じて、環境への明確な水銀曝露ルートをもたらすものです。人工の石膏壁材やセメント製品中での石炭灰の現在の使用もまた、労働者や消費者の職業的曝露をもたらすでしょう。

 結論として、IPENは、水銀汚染の影響は総放出の枠組みの中で対応する必要があると考え、水銀条約を成功させるために、私たちは、大気、水、土壌及び製品への放出に真剣に対応する全体論的なアプローチを必要とすると信じます。議長、そのようなアプローチを通じてのみ、私たちは真に環境レベルを削減し、ヒト健康を守り、再び魚が食べられるようにすることができます。

ご清聴ありがとうございました。



化学物質問題市民研究会
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