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2011年1月 INC2本会議 IPENの発言
「第10条 大気への水銀放出」

IPEN オルガ・スペランスカヤ

オリジナル:IPEN Intervention
Article 10 atmospheric mercury emissions
Olga Speranskaya
http://www.ipen.org/hgfree/documents/IPEN%20intervention%20on%20Article%2010,%20atmospheric%20mercury%20emissions.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2011年7月18日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC2_NGO_Intervention_jp/
IPEN/Article_10_atmospheric_mercury_emissions_Olga_Speranskaya.html


 議長、ありがとうございます。
 IPENは、利用可能な最善の手法(BAT)の使用を求め推進する義務が、大気への水銀放出源に対応することを目指す条約の措置の中心となるべきとするドラフト・エレメント・ペーパーに同意します。

 私たちは、詳細なBATガイドラインを条約テキスト自体に織り込もうとする試みは非常に複雑になり、従って詳細なBATガイドラインは締約国会議(COP)による最終採択とともに専門家グループに委ねる必要があるであろうということに同意します。

 しかし、水銀放出の管理に適用されるときに、”利用可能な最善の手法”という言葉が何を意味するのかについて国際的に受け入れられている定義は現在、存在していません。さらに、BATガイドラインの開発は、新規施設とともに既存の施設についても全ライフサイクルを通じて実施されるべきです。従って、第10.4条は新規及び既存の施設の両方について、全ライフサイクルを通じてのBATを定義するよう修正する必要があります。
 また、BATガイドラインが取り込むべき目的、指針原則、及び政策の枠組みについての明白な記述を含むよう修正する必要があります。IPENは、新たに特定される追加的な放出源を含めるとともに、新たに開発される技術を含める柔軟性を持つ、生きたガイドラインを推奨します。新規及び既存の両方の放出源について、BATは監視と報告の要求を含めなくてはなりません。放出、削減、及び管理技術の効率を検証することのできる先端的な技術が存在します。締約国会議(COP)による将来の決定は、その報告に基づくべきこと及び、提供される情報により正当化される活動を求めるでしょう。

 これらの修正について提案されるテキストは、INCにおけるコンタクト・グループによって策定されるべきであり、それは、専門家グループが準備するBATガイドラインが水銀放出の実際の削減を達成するのに適切であることを確実にするのに役立つよう、専門家グループに十分に明白な指針を提供すべきです。

 私たちが第11章を議論するときに、IPENは、大気放出と水及び土壌への水銀放出に同等の重要性を与えるというコメントをします。

 IPENはまた、第10.5条を修正して、”著しい総合水銀放出”を行なっている相対的に少数の(大きな、高度に工業化された)締約国は詳細な遵守義務の対象となるが、一方、他の締約国は、第10条の放出源に対応することを目指す国家行動計画を策定し実施することを求められないという二段階のアプローチを削除することを提案します。この条項は、各締約国に対し、その大気水銀放出を削減し廃絶するための国家目標を採択すること、これらの放出を削減し、可能なら廃絶するための国家計画を策定すること、そしてその計画を実施することを求めるよう修正されるべきです。

 この二段階アプローチは、比較的少数の国だけが、第10条の放出源に対応するために財政的メカニズムからの著しい支援を受けることを示唆するものです。他の諸国については、これらの放出源に対応するための国家の取り組みがほとんど自主的なものになり、支援されないことになります。IPENは、このようなアプローチでは意図された目標を達成できないことを懸念しています。私たちは、もし条約を成功させようとするなら、全ての地域の全ての関心を持つ政府が完全に参加するよう鼓舞する必要があるでしょう。

ありがとうございました。



化学物質問題市民研究会
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