■はじめに
国際連合環境計画(UNEP)は、水銀管理に関する自主的取組の促進の一環として、UNEP水銀パートナーシッププログラム(UNEP Global Mercury Partnership)を推進しています。このプログラムは次の7つの分野からなります。
このうち、水銀廃棄物管理については日本がリード(担当)として推進しており、このページでは、この水銀廃棄物管理分野のパートナーシップ活動を紹介します。
尚、水銀供給と保管については、別途リード国が決まるという前提で、水銀に関する国際NGOネットワークであるゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループ(ZMWG)が暫定的リードを務めています。
第1回廃棄物管理分野会合は2009年3月12-13日に東京で開催されていますが、この会議の資料としてははUNEPのウェブサイトに掲載されている下記議長サマリーがあります。
UNEP Global Mercury Partnership Waste Management Partnership Area Meeting Chair’s Summary
13 March 2009
■概要 (環境省報道発表資料より)
- 日時:平成22年3月9日(火)、10日(水)
- 場所:ベルサール九段(東京)
- 使用言語:英語
- 参加者:米国、ドイツ、中国、インド等12カ国の政府担当者、国際機関、NGO及び専門家
- 議題(予定):
- 各パートナーによる廃棄物管理からの水銀排出量の低減に関する取組について
- 水銀廃棄物管理に関するBAT/BEPガイダンス文書素案について
- 廃棄物管理分野パートナーシップの活動の現状と今後の方向性について
■プログラム及び参加者
■発表/討議の概要
- Session 1: Activities for the Reduction of Mercury Releases from Waste Management
(1) Activities at the International Level
(2) Activities at the National/Regional Level
◆概要
- 国際レベルの活動についてUNEPとバーゼル条約事務局からの紹介。
- 続いて廃棄物管理に関する各国及びNGOの活動の紹介。キルバス、中国、シリア、カンボジア、キルギスタン、米国、タイ、フィリピン、ナイジェリア、ドイツ、及びNGO。
- ドイツのGRS社は岩塩廃坑を利用した廃棄物保管を紹介。
- パナマのNGOからはバッテリーの回収キャンペーンの紹介。
- Session 2: Draft BAT/BEP Guidance Document on Reduction of Mercury Releases from Waste Management
- Draft BAT/BEP main text
- Draft BAT/BEP Annex-1
- Draft BAT/BEP Annex-2
(後日、全Draft BAT/BEP 文書がUNEPのウェブに掲載されるとのこと)
◆概要
日本政府から水銀廃棄物管理に関するドラフトBAT/BEPガイダンス文書の紹介と説明提案があり、参加者がそれらについて、下記を含むコメントをしました。
- テークバック・プログラムの確立
- 製造者だけでなく、輸入者、小売業者、自治体を含む全ステークホールダーの関与が重要
- 埋め立て(Lndfills)や長期保管(Long-term sorage)などの定義の明確化が必要
- 医療施設における測定機器のためのBAT/BEPが必要。
- 他の関連ある様々なBAT/BEPをドラフト・ガイドラインに含めるべき。
- 他分野との連携、特に上流/下流の観点から製品パートナーシップと廃棄物パートナーシップの連携を強調。
- Session 3: Current Status and Future Directions of Activities under the Waste Management Partnership
(1) Mercury-Containing Product Partnership Area
(2) Supply and Storage Area by Dr. Desiree M. Narvaez, UNEP Chemicals
(3) Other Areas
Dr. Narvaez の発表
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■水銀供給・保管分野の発表
セッション 3 では水銀廃棄物管理パートナーシップにおける他のパートナーシップとの連携に関する3人の発表があり、UNEPのDr. Narvaez は水銀供給・保管分野の暫定リードであるゼロ・マーキュリー・ワーキング・グループ(ZMWG)の活動を紹介しました。
Mercury Storage-Supply for the Zero Mercury Working Group
Dr. Narvaez と安間武
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また、Dr. Narvaezの発表に続き、当研究会の安間武がZMWGとしてのコメントを述べました。
オリジナル英語版:ZMWG Statement by Mr. Takeshi Yasuma
日本語訳版:水銀の供給と保管に関するZMWG 発言
発言の概要
- 水銀供給削減の主要な措置は下記である。
- 新た一次水銀採鉱の禁止及び既存水銀鉱山の廃止
- 水銀輸出禁止
- 余剰水銀の長期保管
- 余剰水銀は主に水銀を含有する産業及び製品廃棄物中の水銀リサイクルに由来するので、水銀保管は水銀廃棄物管理と密接に関連する。
- 例えば、日本は年間100トン以上の水銀を輸出しているが、それらは主に北海道にある水銀回収施設で回収された水銀である。
- 日本は水俣の悲劇を経験した国として、欧州連合及び米国に続いて世界の3番目の水銀輸出禁止大国となるべきである。
- 余剰水銀は輸出されるきではなく、世界の市場から隔離されるべきである。したがって水銀輸出禁止には長期余剰水銀保管が必須である。
- 長期保管には様々な解決すべき課題がある。すなわち社会的政治的受容、保管方法、収集と輸送、場所の選定、施設建設と操業のコスト負担と責任などである。
- これらの要素は、余剰水銀を多く保有する国にとって非常に重要である。
- ZMWGは、日本政府の保管と廃棄物のパートナーシップを前進させることに対する貢献に感謝する。
■ビジネス・プラン
UNEP Global Mercury Partnership Business Plan of the Mercury Waste Management Partnership Area- 13 March 2009 -
第1回廃棄物管理分野会合(2009年3月13日)で準備されたビジネス・プラン/ドラフトのレビューが行われた。
- ビジネス・プランにリストされた活動(activities)を確立する。
- 必要なら、進捗を評価する指標を加える。
- この会議で発表されたプロジェクトを含める。
- プロジェクトをアップデートする。
- 他の分野との連携。
■議長サマリーと発表資料の公開
■蛍光灯リサイクル工場見学
- 訪問先:JFE 環境株式会社(横浜市鶴見区)
- 見学施設:蛍光灯リサイクル(水銀回収)設備
- 設備:直管処理(2ライン)、丸型処理(1ライン)、コンパクト管(1ライン)、水銀真空蒸留(1ライン)、酸洗浄乾燥処理(1ライン)
- 処理能力:年間5,000トン
- 蛍光灯1本の処理コストは約40円。
- 日本の蛍光灯処理は全量の30%であり、残りの70%は埋め立てされている。
- 回収水銀:国内では用途がないので輸出されている。
(以上)
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