EWG プロジェクト 2008年5月
子ども安全化学物質法−概要

情報源:EWG Project, May 2008
Kid-Safe Chemicals Act
http://www.ewg.org/kidsafe

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2008年8月3日


”生れる前から汚染した赤ちゃんで結構などと言わせないでください。”
ジュリー・ディアドルフ、シカゴ・トリビューン、2005年

子ども安全化学物質法をなぜ我々は必要とするのか?

アメリカの有害化学物質規制法である有害物質規正法(TSCA)は、抜本的な改正が必要である。1976年に成立して以来改正されておらず、TSCAは今日施行されている全ての主要な環境法の中で最も無力な法律であると広くみなされている。

 制定時、同法は既に市場にあった約 62,000種の化学物質は安全であると宣言したが、この政策を支えるデータはほとんど又は全く存在しなかった。その時以来、新たに20,000種の化学物質がアメリカの市場に投入されたが、同じくそれらの安全性を担保するデータはほとんど又は全く存在していない。

 人類は現在、その結果についてほとんど又は全く理解せずに数百の産業化学物質で汚染されている。赤ちゃんは、この世に出てくるときに体内に300種程の産業化学物質で既に汚染されている。エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)によるテストは、人々の体内に455種の化学物質を特定したが、やはり誰にもこれらの暴露が安全であるかどうかわからない。

 我々は、ヒトへの汚染が、小児がんから自閉症、注意欠陥多動症(ADHD)、学習障害、不妊症、出生障害にいたるまで、広い範囲にわたる深刻な疾病と状態にますます関連しているという状況の真っ只中にいる。化学物質暴露と人の疾病との関係についての我々の知識が増大しているにもかかわらず、政府は市場に出ている最も有害な化学物質から人々を守るための権限をほとんど持っていない。

キャンペーン:子ども安全化学物質法の成立を!

 人々のこの汚染は、化学物質が市場に出される前に又は既に出ているものについて安全性を確認することを求めない法律の直接的な結果である。現状の威力のない法律の下には、EPAは化学物質のリスクを評価するために必要な情報を要求する権限を持っておらず、製造者もEPAも、使用条件における化学物質の安全性を証明することを求められていない。

 子ども安全化学物質法は、アメリカの化学物質規正法を根本的に改造することにより、これらのこと全てを変えるであろう。特に子ども安全化学物質法は下記を求めている。

  • 産業化学物質は、幼児、子ども、その他脆弱なグループにとって安全であることを求める。
  • 新規化学物質は、販売される前に安全性テストを実施されることを求める。
  • 化学物質製造者は、いまだかつてテストされたことのない既に市場にある62,000種の化学物質が市場に残るために、それらをテストして安全であることを証明することを求める。
  • EPAは、ヒトの体内で見出される化学物質について実施スケジュールに関して優先順位を見直すことを求める。
  • どのような化学物質がどのような量でヒトの体内に存在するのかを調べるために、定期的なバイオモニアリングを実施することを求める。
  • 健康と安全データを定期的に更新し、EPAに追加情報とテストを製造者に求める明確な権限を与えることを求める。
  • 健康の有害性をさらに削減するためのインセンティブを製造者に与えることを求める。
  • EPAはより安全な代替品と動物テストの代替を促進することを求める。
  • 州と地方の権利を守ることを求める・
  • この情報を公衆が入手できることを求める。
 子ども安全化学物質法を通じて、我々は我々の子どもたちにより安全で健康的な将来を与えることができる。

子ども安全化学物質法関連文書
訳注:関連記事



化学物質問題市民研究会
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