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Chemical Brain Drain - News 2015年3月5日 化学的脳汚染による莫大なコスト 情報源:Chemical Brain Drain Website - News 5 March 2015 Huge costs from chemical brain drain By Philippe Grandjean, MD http://braindrain.dk/2015/03/huge-costs-from-chemical-brain-drain/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2015年3月22日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Huge_costs_from_chemical_brain_drain.html
第一に、内分泌かく乱に関連するコストは莫大であり、その総額は年間 1,500億ユーロ(2,000億ドル)(約24兆円) になる。この額はヨーロッパの国内総生産(GDP)の1.23%にあたるが、それでも過小評価された値のようである。 第二に、これらの莫大なコストに寄与している主要なものは化学的脳汚染である。ホルモン系を阻害する化学物質のあるものは脳発達に極めて重要なホルモンに影響を及ぼし、それらのうちのひとつは甲状腺ホルモンである。もし、胎児の脳発達の期間に甲状腺ホルモンが不十分であれば、その結果は、精神遅延、自閉症、その他の深刻な障害をもたらし得る。アメリカにおける一連の動物実験と3つの住民調査は、有機リン農薬は甲状腺機能を抑制し、これらの化合物に出生前に暴露した子どもたちに知能指数の低下を引き起こすことを示している。 それでは、これらのコストはどのように計算されたのであろうか? 研究者らは、人的資本評価と呼ばれる経済学の標準手法に従ったが、それは入院、医師治療、在宅介護、及びその他の医療の直接費を含む。研究者らはまた、労働者生産性損出、早期死亡及び身体障害のような間接費の見積りを計算した。しかし、痛みや生活の質の低下のような無形のコストは含まれていない。これらの手法は、EUにおける水銀暴露によるコスト計算に用いられた手法に似ている。しかし、有機リン系農薬やその他の内分泌かく乱物質に関連するコストは水銀暴露によるコストより10倍以上である。 この報告書は、計算されたコストは内分泌かく乱化学物質の規制についての意思決定に考慮されるべきであると結論付けている。それはまた、化学的脳汚染の規制がなぜ必要でコスト効果があるのかを報告している。 訳注1 内分泌学会 プレスリリース 2015年3月5日 内分泌かく乱化学物質の推定費用 EU で年間 1,500億ユーロを越える |