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内分泌学会 プレスリリース 2015年3月5日
内分泌かく乱化学物質の推定費用 EU で年間 1,500億ユーロを越える 情報源：Endocrine Society, Press Release, March 05, 2015 Estimated Costs of Endocrine-Disrupting Chemical Exposure Exceed EUR 150 Billion Annually in EU https://www.endocrine.org/news-room/press-release-archives/2015/ estimated-costs-of-endocrine-disrupting-chemical-exposure-exceed-150-billion-annually-in-eu 訳：安間 武（化学物質問題市民研究会） http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日：2015年3月18日 このページへのリンク： http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/EU/ 150305_ENDO_Estimated_Costs_of_EDC_Exposure_in_EU.html 化学物質は、IQ の低下、男性の不妊、糖尿病、肥満などの健康異常をもたらす。 【サンディエゴ /カリフォルニア、ブリュッセル/ベルギー】 内分泌学会のジャーナル『臨床内分泌学及び新陳代謝（Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism）』に発表された新たな一連の研究（訳注1）によれば、新たな経済分析が内分泌かく乱化学物質への暴露は、欧州連合における実際の医療費用及び仕事の機会損失で年間1,570億ユーロ（2,090億ドル）（約24兆円）の経済的負担となる。 著者らはこの発見を、内分泌学会のサンディエゴにおける第97回年次総会及びエクスポ（ ENDO 2015）において、及びベルギーのブリュッセルにおいて同時発表を本日行った。 この分野における世界の専門家らは、不妊と男性の生殖機能障害、先天異常、肥満、糖尿病、心血管系疾病、及び神経行動及び学習障害は、ある程度、内分泌かく乱化学物質（EDCs）への暴露に起因する病気である。1,570億ユーロという見積もりは控え目であり、ヨーロッパの国内総生産（GDP）の1.23％にあたる。これらの費用は実際には、2,700億ユーロ（3,590億ドル）（約35兆円）で、GDP の2％に達するかもしれない。 ”この分析は、広範囲に及ぶ内分泌かく乱化学物質への暴露が社会に及ぼす費用がいかに驚異的であるかを示している”と、ニューヨーク大学ランゴン医療センターの小児科・環境医学・公衆衛生学の准教授であり、この画期的な取り組みで8か国からの18人の科学者からなるチームを率いたレオナルド・トラサンデ博士（MD, MPP）は述べた。”この研究は、EU における内分泌かく乱化学物質の実験室及び地域住民に基づいた30年以上の調査を明確にした”。 EDCsは、体のホルモンを模倣し、妨げ、又は干渉する。 EDCs は、レジスターからの領収書や食品缶詰の内面ライニング中で見いだされるビスフェノールＡ（BPA）、プラスチック製品や化粧品中に見い出されるある種のフタル酸エステル類、及び難燃剤やクロルピリホスのような農薬などに含まれる。内分泌学会と IPEN による『内分泌かく乱化学物質（EDCs）入門』（訳注2）によれば、ほとんど100％の人々が体内に検出可能な量のEDCsを持っている。 EDCs 曝露の経済的負荷を評価するために科学者のグループは、EDCs の推定コスト負荷を計算するために病気を引き起こす環境的要因の寄与を評価する米国医学研究所（ Institute of Medicine）の1981年アプローチによりながら、既存の環境健康コストモデルを改造して適合させるために、世界のEDC専門家の委員会を召集した。確立された多くの文献に基づき研究者らは、EDCs が様々な医学的健康状態と機能不全に寄与する可能性を評価したが、最も強い科学的証拠を伴う疾病の分析に限定した。 その分析は、入院、医師治療、在宅介護、及びその他の医療の直接費を含む。研究者らはまた、労働者生産性損出、早期死亡及び身体障害のような間接費の見積りを計算した。 ”この分析は欧州連合（EU）に限定されたが、疾病と暴露の費用負荷は、アメリカ及び世界の他のどこでも同じ程度であろう”とトラサンデは述べた。 欧州連合（EU）では、研究者らは最大のコスト要因は、有機リンを含む農薬への出生前暴露により引き起こされる IQ 低下と知的障害であることを発見した。この研究は、出生前の子どもたちに加えられる危害は、年間 468 億ユーロ（約6兆円）から 1,950 億ユーロ（25兆円）の間の金額を社会に費やさせると見積もった。毎年失われたIQ 約 1,300万 ポイント、及び 追加的に増大した59,300 件の知的障害は有機リンへの暴露のためと言えるであろう。 フタル酸エステル類に関連した成人の肥満は、総額が二番目に高い年間156億ユーロ（約2兆円）という費用が見積もらる。 ”我々の発見は、最も一般的で有害な内分泌かく乱化学物質への暴露を制限することは、著しい経済的利益を産み出すらしいことを示している”と、この研究の著者の一人で、南デンマーク大学環境医学教授であり、またハーバード大学 T.H. チャン公衆衛生校の客員教授でもあるフィリッピ・グランジャン博士（MD, PhD）は述べた。”このアプローチは、環境健康分野における意思決定を伝える可能性を持っている。我々は、これらの有害化学物質をどのように規制するかを熟考している政策策定者に最新の内分泌科学をもたらすことを望んでいる”。 この研究の他の著者: R. Thomas Zoeller of the University of Massachusetts in Amherst, MA; Ulla Hass of the National Food Institute at the Technical University of Denmark in Soborg, Denmark; Andreas Kortenkamp of Brunel University in Uxbridge, Middlesex, United Kingdom; John Peterson Myers of Environmental Health Services in Charlottesville, VA; Joseph DiGangi of IPEN in Gothenburg, Sweden; Martine Bellanger of EHESP School of Public Health in Paris, France; Russ Hauser of T.H. Chan Harvard School of Public Health in Boston, MA; Juliette Legler of VU University in Amsterdam, the Netherlands; Niels Skakkebaek, Anna Maria Andersson and Anders Juul of Rigshospitalet, EDMaRC and University of Copenhagen in Copenhagen, Denmark; Jerrold J. Heindel of National Institute of Environmental Health Sciences in Research Triangle Park, NC; Tony Fletcher of the London School of Hygiene and Tropical Medicine in London, UK; Eva Govarts of the Flemish Institute for Technological Research (VITO) in Mol, Belgium; Miquel Porta of the Universitat Autonoma de Barcelona, Hospital del Mar Institute of Medical Research and CIBERESP in Barcelona, Spain; Bruce Blumberg of the University of California, Irvine; Jorma Toppari of the University of Turku in Turku, Finland; and Barbara Demeneix of the National Center for Scientific Research (CRNS) at Museum National d'Histoire Naturelle de Paris in Paris, France. この研究は下記4つの論文からなる（訳注1）。
訳注1: Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism に発表された4つの論文
JCEM Early Release 訳注2 内分泌学会−IPEN 共同イニシアティブ 2014年12月 内分泌かく乱化学物質（EDCs）入門： 公益団体と政策立案者のためのガイド 訳注：関連情報
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