グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2014年2月26日
化学的脳汚染への批判

情報源:Chemical Brain Drain Website - News
Critique of chemical brain drain, 26 February 2014
By Philippe Grandjean, MD
http://braindrain.dk/2014/02/critique-of-chemical-brain-drain/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2014年3月27日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Critique_of_chemical_brain_drain.html

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【2014年2月26日】 このサイトにおける投稿は、一般的に化学的脳汚染、その原因とその関わり合いについて考察している。しかし批判は非常に少なく、読者により投稿されるコメントは一般的に支持を示すものである。それは多分、予測できることである。しかし批判が全くなかったというと、もちろんそうではない。時には既得権益側が、私の結論は歓迎できないということ以外はその批判が何に関連するのか不明確であるが、”その結論には科学的正当性がない”というような言い方でコメントするであろう。

 最近の Lancet Neurology の記事は、イギリスの同僚たち(訳注:専門家ら)がこの科学的レビューにどのように反応するかを見る機会を与えてくれた。現在までのところ8人の同僚が反応してきたが、メディアの注目は、実際の記事よりもメディアの表現を反映しつつ、主に批判的なコメントにある程度向けられたかもしれない。したがってコメントのあるものは誤解のようにも見えるが、そうではないかもしれない。提起されたコメントの一部には下記のようなものがあった。

 ”私は、Lancet Neurology がこの論文を発表することを選んだことに驚かされた。証拠を体系的にそして批判的にレビューしよとする試みがない。例えば、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥多動障害の流行の傾向は、その症状を確認する診断手法と完全性が変化する可能性があるので、確定することは困難である。そして知能指数(IQ)のような結果への環境的神経毒素の小さな影響を識別することは、暴露の定量化の不確実性と認識発達への他の影響による交絡の可能性により複雑となる。この論文は厳格性に欠けるので、その多くが推論的な著者らの主張を評価することは不可能である”。

 ”このレビューが調べた疫学的研究は、合成化学物質の毒性と脳発達の差異との間の関連を報告している。しかし、これらの研究は、ほとんど、因果関係というよりむしろ関連性を特定している。相変わらず、’天然由来’の数千の化学物質は検討されていない”。

 ”新たなデータを引用する時に、著者らは、なぜそのようにすることができるのかの説明なしに、交絡因子をさっさと捨て去る。毒性が明らかな高レベル暴露から、著者らにより特定されたことを今知った”新たな”有毒物質のあるものへの非常に低レベルの暴露へ外挿したいとする意図がみえる”。

 ”これらの化合物のあるものは、例えば、難燃剤のように現実の便益があり、またしばしば批判されるフタル酸エステル類は、廃棄可能なカテーテ(医療用チューブ)等の正しい物理的特性を確実にするために必要である。”

 ”全ての年代で化学物質への暴露を抑制することは適切であるが、多くの化合物の使用の極めて明白な便益は、有害性の可能性と同様に考慮されなくてはならない”。

追記:いくつかの支持的なコメントもあった。


訳注:関連情報



化学物質問題市民研究会
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