ETC Group 2016年2月4日
合併してシノ・ジェンタか? そうなれば、すぐに上位3社の支配となる 妻妾3人同居に向かう6人の楽しみ 情報源:ETC Group, 04 February 2016 Sino-Genta? And soon there will be three. Joy of six heads towards a “menage a trois” http://www.etcgroup.org/content/sino-genta 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2016年2月11日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_16/160204_ETC_Sino-Genta.html
過去十年間、多国籍企業 6社が世界のハイテク種子及び農薬ビジネスの75%を支配してきた。昨年の暮れ、ダウとデュポンが合併することに合意したばかりであり、今また、国営の中国化工集団(ケムチャイナ(ChemChina))がシンジェンタを430億ドル(約5兆1,000億円)で買収しようとしている。このことは、モンサントがゲームを続けるためには合併が必要であることを意味する。あるいは、ゲームを中止しようとしているのか? もし規制当局がこれら二つの合併を許すなら、確実ではないが、巨大 6社はデブの 5社になるであろう。デュポンの農業ビジネスのスピンオフ(訳注:スピンオフ:既存の企業や組織の一部を分離し、独立した別の企業や組織とすること(ウィキペディア))は、世界の農薬分野で第7位のケムチャイナと、農薬で第1位、種子で第3位のシンジェンタによる新たな連合(シノ・ジェンタ(Sino-genta))をもたらすであろう。それはモンサントをしてバイエル及び BASF を引きずって第3位にあらしめる。モンサントの合併提案はシンジェンタにより繰り返し断られたが、モンサントは農薬ゲームを推進するためにそれを必死になって求めている。バイエルと BASF の両方、又はそのどちらかがその農業権益をモンサントにスピンオフするかもしれないし、又はドイツの巨人(バイエルと BASF )のどちらかがモンサントを吸収して モンサントの苦難を救うかもしれない。もう一つの可能性は、農業機械の 3大会社のひとつが、最もありそうなのはディア・アンド・カンパニーであるが、巨大データ及び農業技術を求めてどっと入ってきて、モンサントを穴から堀り出す(デモンサント)ことである。従来通りの企業活動に選択肢はない。 国家の規制当局は、世界的な民間企業の農業研究の 75%が 5社又はそれ以下の企業の足下にあることを監視するのを避けている。多分彼らは3番目の靴が脱ぎ落されようとしていることを認識していない。ダウとデュポンの結婚は、大陸の両側ですでに大きな反響を引き起こしている。ケムチャイナとシンジェンタのあいびきは、中国の会社は農業分野で比較的小さな足跡しか残していないので、おそらく間違いなく、大きな懸念とはならない。しかし、これらの取引が認められることになれば、モンサントは、彼らは合併するか一人で行くかしかないと主張して、政治的な証拠を挙げ、彼らの足跡をたどることに賛成するかもしれない。最初の二つの巨大な合併を許すと、反合併の規制当局は三番目を受け入れなくてはならないと感じるかもしれない。 アメリカとヨーロッパの規制当局は、金持ち企業の弁護士らに劣らない能力を有することを求められるが、近視眼的で、低能で、無気力であるともっぱらの評判である。しかし、最近、米司法省は二つの大食品会社の合併に断固とした態度をとり、ドイツでも規制当局が 2〜3 の合併をつまづかせた。株式保有者らはその取引がうまくいくということに確信をもっていなかった。 ダウ・デュポンの合併又はモンサントが関わる他のもうひとつの合併が、中国、ブラジル、インド、及びアルゼンチンにおける重要な新規出現の全ての市場で十分に活躍するということはありそうにない。これら4か国は近頃実際に成長している世界の農薬市場の一部であり、その3分の1を占めている。中国は、自国のチャンピオンが関与する合併を拒絶しないであろうが、最近コカ・コーラの計画を阻止しており、ロシアの会社が関わる肥料案件に厳しい制約を課した。さらに重要なことは、中国、ブラジル、そしてインドは国の旗艦会社(チャンピオン)−準国営又は民間−を持っており、いつか世界の舞台に出たいと望んでいることである。種子及び化学物質における売り手寡占(oligopoly)を強化しようとする5社又は3社の多国籍企業を許すことは、コストを増大させ、農民の選択を狭めるだけで、これらの大望を妨げることになる。 ケムチャイナの子会社 ADAMA (訳注:イスラエル)は、世界で第7位の農薬会社であるが、特許期限切れ農薬については世界最大の販売会社である(2014年に30億ドル/3,600億円相当以上)。また、シンジェンタ・ケムチャイナとダウ・デュポンの 2社だけで、2014年の売り上げに基けば、世界の農薬販売の半分以上(51.4%)を占めることに留意する必要がある。
更なる情報: Pat Mooney - Executive Director - etc@etcgroup.org - Tel: 613-241-22-67, Cell: 613-240-00-45 Neth Dano - neth@etcroup.org Veronica Villa (Spanish) - veronica@etcgroup.org Joelle Deschambault (French) - joelle@etcgroup.org Joana Chelo (Portuguese, German) - joana@etcgroup.org 背景:妻妾3人同居になる6人の楽しみ? 世界の6大農業関連企業(モンサント、デュポン、シンジェンタ、バイエル、BASF、ダウ)は、20年前にGM作物が導入されて以来、少なくとも 200の種子会社又は農薬会社を取得しており[2]、現在の合併の話以前にこれらの6社は全ての民間分の農業研究開発(R&D)の 75%を占め、農薬販売額の 75%、種子販売額の 63%を占めていた。そして合併前には、3社(モンサント、デュポン、バイエル)は商業種子販売の 55%、及び農薬販売の 51%を支配していた(シンジェンタ、BASF、バイエル)[3] 。 最近の規制当局の食品及び農業関連企業の合併に対する干渉の事例
[1] ETC Group, “Breaking Bad: BigAg Mega-Mergers in Play Dow+Dupont in the Pocket? Next: Demonsanto?” Communique 115, December 2015. http://www.etcgroup.org/sites/www.etcgroup.org/files/files/etc_breakbad_... [2] Anonymous, "Agricultural suppliers ? Controversial hybrids", The Economist, electronic edition, August 27, 2015. [3] ETC Group, “Mega-Mergers in the Global Agricultural Inputs Sector: Threats to Food Security & Climate Resilience”, September 2015 p.6. [to be published] [4] Sundeep Tucker, Peter Smith and Jamil Anderlini, “China blocks Coca-Cola bid for Huiyuan”, Financial Times, March 19, 2009. http://www.ft.com/intl/cms/s/0/5c645830-1391-11de-9e32-0000779fd2ac.html#axzz3z7jm531Z [5] Maria Kolesnikova and Ilya Khrennikov, “Uralkali Agrees on $7.8 Billion Takeover of Silvinit”, Bloomberg Business, December 20, 2010. http://www.bloomberg.com/news/articles/2010-12-20/uralkali-offers-to-buy-silvinit- to-become-second-largest-potash-producer [6] Davis Polk & Wardwell LLP, “China Anti-Trust Review 2011”, Davis Polk & Wardwell LLP, February 1, 2012: http://www.davispolk.com/sites/default/files/files/Publication/96100535-04cf-491a-8e3d- 9392f4d09164/Preview/PublicationAttachment/f7ab9474-d68a-4919-8ded-95c3e186632a /020112_China.Antitrust.Review.2011.pdf [7] Reuters and CNBC, “Thai Union Group scraps $1.5 billion plan to buy Bumble Bee”, CNBC, - Mergers and Acquisitions, December 4, 2015. http://www.cnbc.com/2015/12/04/chicken-of-the-sea-and-bumble-bee-foods-ditch- merger-on-doj-concerns.html [8] Anonymous, “ Mergers and antitrust in America: Pushing the limits”, The Economist, December 12, 2015. http://www.economist.com/news/business/21679810-frenzy-deals-awakening-a... [9] Anonymous, “Germany: Federal Cartel Office bans food retail giant EDEKA from squeezing suppliers Edeka goes to Court”, Eversheds, August 12, 2014. http://www.eversheds.com/global/en/what/articles/index.page?ArticleID=en/Competition_EU_and_ Regulatory/Germany_Federal_Cartel_Office_bans_food_retail_giant_from_squeezing_suppliers [10] Dana Heide and Christopher Cermak, “EDEKA Gets Surprise Takevoer Boost”, Handelsblatt, No344, January 12, 2015. https://global.handelsblatt.com/edition/344/ressort/companies-markets/article/edeka-gets- surprise-takeover-boost 訳注1 ETC Group 2015年12月15日 プレスリリース 世界的な農業ビジネスの合併は既成の事実ではない 訳注2:化学業界の話題/ロシアの2大肥料会社が合併へ ・・・世界の8社のカリ・メーカーが市場を支配し、合法的ながら事実上のカルテル組織で、毎年、輸入国(中国が1位でインド、ブラジルがそれに続く)と秘密裏に交渉してきた・・・ |