C&EN 2008年6月31日
フタル酸エステル禁止立法
子どものおもちゃに焦点
消費者製品安全委員会の権限を強化

情報源:Chemical & Engineering News, June 31, 2008
Legislation Bans Phthalates
David Hanson
Bill focuses on children's toys, boosts power of consumer protection agency
http://pubs.acs.org/cen/news/86/i31/8631notw2.html

掲載日:2008年11月7日
化学物質問題市民研究会
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_08/08_06/080631_C&EN_Bans_Phthalates.html


 議会は、消費者製品安全委員会(CPSC)に、もっと多くの金を出し新たな権限を付与する法案をいつでも採択できる用意ができている。しかし、この法案で最も議論の的となるのは子ども用製品中の6種のフタル酸エステルの使用を禁止する条項である。

 この法案は7月29日に、フタル酸エステル条項についての数週間にわたる討議の後に、上下院議会委員会によって承認された。上院議員ダイアン・ファインステイン(民主−カリフォルニア)により提案されたこの法案は、昨年カリフォルニア州で承認されたおもちゃの中のフタル酸エステル類の禁止を反映している。”これは、我々の子どもたちを有害な化学物質から確実に保護することに役立つ”とファインステインは述べている。

 この法案は12歳以下の子ども用の製品中の3種類のフタル酸エステルの永久的禁止を課することになる。フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジブチル(DBP)、及びフタル酸ベンジルブチル(BBP)である。他の3種、フタル酸ジイソニル、フタル酸ジイソデシル、及びフタル酸ジnオクチルはさらなる18ヶ月安全調査中の暫定的な禁止となる。化学物質産業界は、フタル酸エステル禁止は不必要であるとして抵抗した。アメリカ化学工業協会(ACC)副代表シャロン・クネイスは次のように述べている。”ACCは、消費者製品安全委員会(CPSC)によってこれらの製品での使用は安全であるとみなされているときに、子ども製品からフタル酸エステルを制限することは子どもの健康を保護することにならないとACCは信じる”。アメリカ化学工業協会(ACC)はアメリカの最大の化学物質製造者を代表する協会である。

 アメリカは年間14億ドル(1,400億円)のフタル酸エステルを製造し、そのうち5%以下が子ども用製品に使われるとACCは言っている。

 この法案のその他のいくつかの条項は、消費者製品安全委員会(CPSC)の権限を強化する。過去数年間数多くのおもちゃがリコールされたことに鑑み、同委員会は子どものおもちゃの中の極めて低いあるレベル以上の鉛を禁止したが、同委員会は第三者機関に鉛またはその他の有害物質テストを要請することになる。同法案は、2015会計年度までに消費者製品安全委員会(CPSC)に追加予算を1億5,600万ドル(約160億円)を限度として認めている。CPSCは2008年に8,000万ドル(約80億円)を受領した。

 同法案はまた、製品に関連する事故またはリスクのオンライン・データベース及び報告書の作成を義務付ける。他の条項は、州司法長官が会社を裁判にかける権限を強化し、製品に関する問題を提起する内部告発者を保護する条項ができた。

 大統領ジョージW.ブッシュはこの法案のある部分には反対であると述べたが、彼が拒否権を行使するとは言わなかった。


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