憂慮する科学者同盟(UCS)プレスリリース 2006年7月20日
FDA の科学者らに研究結果の除外、変更の圧力
科学者らは安全性の懸念を述べることによる報復を恐れている

FDAと議会の指導なしには公衆の健康と安全が脅かされる

情報源:Union of Concerned Scientists (UCS), July 20, 2006
FDA Scientists Pressured to Exclude, Alter Findings;
Scientists Fear Retaliation for Voicing Safety Concerns
Public Health and Safety Will Suffer without Leadership from FDA and Congress
http://www.ucsusa.org/news/press_release/fda-scientists-pressured.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年7月26日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_06/06_07/060720_ucs_FDA_scientists.html


 【ワシントンDC】 憂慮する科学者同盟合(UCS)は本日、米食品医薬品局(FDA)において科学への危険な政治的影響が広まっていることを示す調査結果を発表した。この調査に回答した997人の科学者らのうち、ほとんど5分の1(18.4%)が、”非科学的な理由で FDA の科学文書の中で科学的情報や彼らの結論を不適切にも除外又は変更するよう要求されたことがある”−と述べた。これは、USC が連邦政府機関において科学への不適切な介入を検証するために実施した三回目の調査である。

 ”科学は FDA における意思決定のための推進力でなくてはならない。このような不穏当な調査結果は、不適切な介入が人々に害をもたらしていることを明確に示している”−と USC の科学の健全性プログラム(Scientific Integrity Program)の上席科学者であり、ディレクターであるフランセスカ・グリフォ博士は述べた。”FDA の指導者は透明性と説明責任を改善するために今、行動を起こすべきであり、FDA における科学の独立性の尊厳を復活させるべきである。”

 環境に責任ある公務員(PEER)と共同で実施された UCS の調査では、5,918 人の FDA 科学者に調査票が送られた。回答者の40%は、安全性に関する懸念を外部に公表することへの報復を恐れている。この恐れには、公衆の健康と安全を守る FDA の能力へ妥協することを求める圧力も含まれている。回答者の3分の1以上は FDA の内部においてすら安全性の懸念を述べることができるとは感じていない。

 ”このことは、FDA 内部の官僚主義的問題以上のことである”−と夫を危険な抗うつ剤の副作用で亡くした WoodyMatters.com のキム・ウィザックは述べた。”それは壊滅的な人災である。私の夫は FDA の説明責任の欠如のために、この上ない対価を払った。”

 この調査は他にも抗しがたい懸念を明らかにした。
  • 回答者の61%は、”FDA の決定又は行動にあたり、保健福祉省又は FDA の政治任用(Political Appointee)が不適切に行われた”ケースを知っていた。
  • わずか47%だけが、”FDA は日常的に完全で正確な情報を公衆に提供している”と考えた。
  • 81%が、”もし FDA の上市後の安全監視システムの独立性と権限がが強化されれば、公衆はもっとよいサービスを受けることができる”ということに同意した。
  • 70%が、”公衆の健康を守り、彼らの健康を改善するための医薬品と食品を使用するために必要とする正確な科学ベースの情報を得ることを支援する”という FDA の使命を効果的に果たすための十分なリソースを持っているという記述に同意しなかった。
 ”FDA は、食品、医薬品、ワクチン、及び医療機器を含むアメリカ人の健康にきわめて重要な製品を規制している。公衆の健康と安全を十分に守るために、FDA は入手可能な独立した科学的データを持たなくてはならない”−とグリフォは述べた。

 FDA の科学者らが提起した懸念に対応するために、UCS は下記を勧告する。
  • 説明責任:FDA 指導者らは、もし彼らが商業権益又は政治権益に味方し、アメリカ国民に味方しないなら、その結果に責任を取らなくてはならない。
  • 透明性:科学的研究とレビューは、どのような不当なごまかしも直ぐに明らかになるよう公開されるべきである。
  • 保護:意見を述べる全ての政府科学者らは保護されねばならない。
 我々が FDA に見るものは、劇的で恐ろしいことであるが、多くの政府機関に全て共通なことである”−とグリフォは述べた。”全ての連邦政府科学者は彼らの科学が細工されていると知った時にそれを遠慮なく言えるよう保護を必要としており、全ての連邦政府機関は独立の諮問委員会を十分に機能させることを必要としている。FDA の指導者らは科学の独立性を理解し支援しなくてはならず、その説明責任は議会にも及ぶ。”


訳注(参考資料):
UCSのウェブページ: Scientific Integrity
USC 報告書サマリー:Voice of Scientists at FDFA(PDFファイル)
PEER プレスリリース 2006年5月25日/EPA の科学者らが係争中の農薬承認に反対−容認できない子どもたちへのリスク及び科学者らへの政治的圧力を非難 (当研究会訳)



化学物質問題市民研究会
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