PEER プレスリリース 2006年5月25日
EPA の科学者らが係争中の農薬承認に反対 容認できない子どもたちへのリスク及び科学者らへの政治的圧力を非難 情報源:Public Employees for Environmental Responsibility (PEER) , May 25, 2006 EPA Scientists Protest Pending Pesticide Approvals Unacceptable Risk to Children and Political Pressure on Scientists Decried http://www.peer.org/news/news_id.php?row_id=691 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年5月28日 このページへのリンク http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_06/06_05/060525_peer_epa_pesticide_approval.html 【ワシントン DC】 アメリカの環境関連部門に従事する公務員の団体である ”環境に責任ある公務員(PEER)” によって本日、発表された米EPA長官宛の書簡によれば、前例のない行動として、EPAの数千人の科学者の代表らが、議論ある20種の農薬についてのEPAの差し迫った承認に対して公然と反対した。科学者らは、EPA指導部がこれらの農薬が胎児、幼児、そして子どもたちの発達中の神経系を損傷するということを無視しようとしている”動かぬ証拠”を引き合いに出している。 2006年8月3日に、EPAは20種の有機リン系及びカルバミン酸エステル系の農薬の最終的な残留許容値承認(tolerance approval)の決定を下さなくてはならない(訳注1)。2006年5月24日付けの米EPA長官宛書簡の中で、9,000人の科学者、リスク管理者、及びその他の専門家を代表して、3つの組合(全米公務員連合、全米財務公務員組合、カリフォルニア州技師科学者組合)の指導者らは、EPA長官ステファン・ジョンソンに、これらの農薬暴露に対する最大の保護措置を採用するか、又はそれらを市場から排除することを要求した。 訳注1 ![]() (EPAは、1996年8月に発効した食品品質保護法(Food Quality Protection Act)の要求に基づき、同法発効以前に登録されていた全ての食品用農薬の残留許容値の見直しを2006年8月3日までに完了しなくてはならない。) 第二次世界大戦中に開発された神経系毒性を持つ有機リン系農薬は、イギリス、スウェーデン、及びデンマークで禁止されている。1990年代に、全米科学アカデミーは、EPAのこれらの農薬の規制を批判した。クリントン政権はこれらの農薬の禁止に向けて動いたが、ブッシュ政権はその動きを変えた。過去数ヶ月、ブッシュ政権のアプローチは、EPA自身の科学諮問委員会及び監査官室によってすら非難された。 書簡の中で、EPAの科学者たちは、”リスク評価は、胎児、幼児、及び子どもたちの神経系発達に有害影響を与える又は与えない農薬暴露の程度を確信を持って明言することはできない”−と非難した。さらに科学者らは次のように主張している:
PEERの代表ジェフ・ラッチは商業目的のために人間を農薬や化学物質のテスト対象にすることをEPAが受け入れようと急いだ点を指摘しつつ、”我々の政府科学者の上層部はブッシュ政権の化学産業界との協力関係によって倫理的にも職業的にも妥協させられている”−と述べた。”このような書簡が送付されたということ自体が不名誉なことであるが、もしこの警告が、公衆の健康と環境を保護することになっている機関(EPA)によって無視されることになれば、もっと不名誉なことである。” 参照 ![]() (公務員組合3団体からEPA長官への手紙 2006年5月24日付) ![]() 米EPA 2006年5月3日/有機リン系農薬の残留再評価と再登録 (当研究会訳) ![]() (子どもの神経毒性を評価することの無力さに関するEPA監査官室の報告) ![]() (EPA研究調査における増大する企業の役割を追う) ![]() (人をテスト対象とすることを推進するEPA) ![]() (係争中の農薬承認 EPA科学者を悩ませる) |