環境健康NGOs 2006年2月21日 プレスリリース
装置測定用水銀:不必要な水銀リスク
欧州州委員会の消費者用と医師用の体温計の
水銀廃止提案だけでは不十分


情報源:Mercury in measuring equipment: unnecessary health risk!
Press Release: Environmental and health NGOs, Brussels, 21 February 2006
http://www.noharm.org/details.cfm?ID=1250&type=document

抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年3月7日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_06/06_02/EU_Mercury_060221.html


[2006年2月21日ブリュッセル] 環境健康NGOs[1]は、本日の欧州委員会の提案”ある種の測定及び制御用装置での水銀の市場への出荷と使用の制限のための指令の修正”を歓迎する。これは、2005年1月に採択されたEUの水銀戦略で提案されている措置に速やかに対応したものである。

 ”しかし、我々の2005年6月の要求にもかかわらず、欧州委員会の提案はEU水銀戦略[2]の予測された措置よりも範囲が狭いことに失望した”−と欧州環境事務局(EEB)のゼロ水銀キャンペーンプロジェクトのコーディネータであるエレーナ・リンベリディセッチモは指摘した。

 ”結局、水銀使用は、消費者のための測定器具と医師と獣医師のための体温計が排除されただけである”−とヘルスケア・ウイズアウト・ハームの有毒物質政策アドバイザー、リゼッタ・ファン・ブリエ は述べた。”室内又は装置用温度計など専門家用の他の全ての測定及び制御器具は、入手可能な代替物があるにもかかわらず、水銀フリーではない。例えば、病院は水銀を含んだ血圧計及び胃腸チューブを使い続けることができる。”

 水銀を含む器具は壊れやすいので、使用中も使用済み後も人の健康と環境にリスクを及ぼす。それらは使用後は廃棄物として収集され、埋め立てられるか焼却される。この水銀の大部分は、最終的には環境に放出されて空気、水、そして土壌を汚染し、ある種の魚に安全ではないレベルで蓄積し、特に子どもや妊娠可能な年代の女性に許容できない健康リスクを及ぼす。

 消費者用及び専門家用の全ての測定及び制御用装置(特に家庭、ヘルスケア施設、及び学校)での水銀の使用とそれらを市場に出すことに関し一般的制限がなされるべきである。この制限は、適切な代替がまだ入手できない場合にのみ期間限定の猶予が与えられるべきである。個々のEU加盟国[3]及びいくつかの病院関連[4]では、適切な代替がまだ存在しない場合にいくつかの例外を認めているが、専門家用のものを含んで、水銀を含むそのような製品の使用を禁止又は制限する措置が既にとられている[5,6,7,8]。  ”これらの器具の多くは、既に広範に分析されている。水銀を使用しない代替物は商業的に入手可能であり、価格も同等である”−と欧州公衆健康連合環境ネットワークの代表ジェノン・ジェンセンは述べた。”代替物がなくて、この有毒化学物質をまだ使うことを望む製造者らは、特別の許可を求められるべきである[4,5,6,7]。”

 ”水銀測定器具と計器はEU及び世界で広く使用されているので、それに対する行動が必要である”−と水銀禁止ワーギング・グループ北部コーディネータ、ミカエル・ベンダーは述べた。”測定及び制御用器具で使用される年間消費量の見積り166トンは、世界の水銀需要を下げるためのよい機会である。水銀はそのように有毒なので、現在、 RoHS 指令に基づいて電気電子機器で使用されているもっと微量の水銀が排除されつつあるのに、水銀を使用しない代替品と容易に置き換えることができる、そのように多くの測定用器具と計器がそのままにされているということは不合理である。”

 我々は欧州議会と理事会が欧州委員会の提案を強化するよう要求する。

 詳細は下記の立場表明を参照ください。
http://www.zeromercury.org/position_papers/050603_NGOs_comments_WD_measuring_equipment_directive.pdf

Contact :
Elena Lymberidi, European Environmental Bureau (EEB), http://www.eeb.org, elena.lymberidi@eeb.org
T: +32 2 289 1301.
Genon K. Jensen, EPHA Environment Network (EEN), http://www.env-health.org, genon@env-health.org
T: +32 2 233 3875.
Lisette van Vliet, Health Care Without Harm Europe, http://www.noharm.org, lisette@env-health.org
T: +32 2 233 3877.
Michael Bender, Ban Mercury Working Group, htpp://www.ban.org/Ban-Hg-Wg/, mercurypolicy@aol.com
T: +1 802 223 9000.

[1] 環境健康 NGOS は下記団体からなる:

 欧州環境事務局(European Environmental Bureau (EEB), http://www.eeb.org)は、欧州加盟国、加盟予定国、及び周辺諸国を拠点とする145の環境市民団体の連合である。その組織は地方や国レベルのものからヨーロッパ及び国際的なものまでの範囲に存在する。EEB の目指すところはヨーロッパ人の環境を保護し改善し、ヨーロッパ市民がこの目標を達成するためにその役割を果たせるようにすることである。

 水銀禁止ワーギング・グループ(Ban Mercury Working Group, http://www.ban.org/Ban-Hg-Wg/)は、アメリカに拠点を置くNGOであるバーゼル・アクション・ネットワーク (Basel Action Network, http://www.ban.org)と有毒金属水銀による汚染をとめるために活動している水銀政策プロジェクト( Mercury Policy Project, http://www.Mercurypolicy.org)によって2002年に結成された世界中の28の公益非政府組織の国際的な連合である。

 欧州公衆健康連合環境ネットワーク(European Public Health Alliance Environment Network (EEN), http://www.env-health.org/ )は、健康と福祉を改善するための手段として環境保護を主張する国際的な非政府組織である。主要な団体と組織は、健康、環境、女性、健康専門家、その他を代表している。このグループは、非政府組織、医師団体、看護師及びその他の医療関係者、大学・研究機関、及びその他の非営利組織を含む、41の多様な会員団体(6国際組織、11欧州ネットワーク、及び24国/地方組織)を擁する。

 ヘルスケア・ウイズアウト・ハーム・ヨーロッパ(Health Care Without Harm Europe (HCWH), http://www.noharm.org)は、病院とヘルスケア機関、医療及び看護専門家、地域団体、健康被害者、労働組合、環境及び宗教組織の国際的な連合である。HCWH は、環境的に持続可能であり、最早、公衆の健康と環境に対する危害の源とならないようにするために、患者の安全と介護に関し妥協することなく世界中で医療産業を変革することにささげている。

さらに、アメリカ(NRDC)、インド(Toxics Link)、中国(Global Village of Beijing)、ブラジル(Association for Combats against the POPS)、及び南アフリカ(groundWork)の NGOs から支援をうけている。

[2] Action 7: ”欧州委員会は、消費者用又はヘルスケア専門家用の水銀を含む非電子的又は電子的測定制御装置の上市を制限するために、指令”76/769/EECの修正を2005年に提案するつもりである。”

[3] Countries such as Denmark, France, the Netherlands, Sweden and Norway.

[4] http://www.cleanmed.org/europe/2004/english/docs/press/press_vienna_declaration.pdf

[5] http://europa.eu.int/comm/environment/chemicals/mercury/pdf/norway.pdf

[6] http://europa.eu.int/comm/environment/chemicals/mercury/pdf/sweden.pdf

[7] http://www.eeb.org/activities/mercury/Petra%20Hagstrom%20presentation%20Hg%20Madrid%20042205.pdf

[8] French response to Consultation document Development of an EU Mercury Strategy Invitation to Comment,
http://europa.eu.int/comm/environment/chemicals/mercury/pdf/france_en.pdf

[9] See a detailed comparison of mercury and non-mercury measuring devices and instruments performed for the Maine Department of Environmental Protection at http://www.maine.gov/dep/mercury/lcspfinal.pdf and the proposed strategy based on that report at http://www.maine.gov/dep/mercury/productsweb.pdf. Following the submission of this strategy, the Maine Legislature enacted a prohibition on the sale of most mercury measuring devices and instruments effective July 2006. Appendix B to the report contains some examples of substantial cleanup expenditures resulting from measuring instrument breakage.

[10] Global Mercury Assessment, UNEP, December 2002, p.141

[11] http://www.informinc.org/fsmercalts.pdf and http://www.informinc.org/fsmerchealth.pdf

[12] Nordic Council of Ministers, "Mercury - a global pollutant requiring global initiatives", Copenhagen 2002
http://www.norden.org/pub/miljo/miljo/sk/2002-516.pdf


参照:環境健康NGOs 2006年3月14日 プレスリリース/欧州議会:EUの水銀戦略はなんと力強いことか! (当研究会訳)



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