米上院委員会 POPs条約等の批准を可能にする法案を承認
民主党、環境グループは
この法案ではPOPs管理はできないと反対


情報源:Chemical & Engineering News, May 19, 2006
House Panel OKs Measure On POPs
Bill on chemical treaties crosses first legislative hurdle
http://pubs.acs.org/cen/news/84/i21/8421pops.html

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年5月21日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/congress/House_Panel_OKs_POPs.html


 2006年5月19日の C&E News によれば、5月18日、米下院の小委員会は、ストックホルム条約(POPs条約(訳注1))、第2 POP条約(北米とヨーロッパだけに適用)、ロッテルダム条約(PIC条約)(訳注2)批准に必要な米国内措置をとる法案を承認した。

 民主党と環境グループは上院の”環境と有害物質に関するエネルギー及び商業小委員会”が採択した法案 H.R.4591 に強硬に反対したが、同小委員会は15対10で採択した。

 この法案は、アメリカが上記国際条約を批准するために必要な国内法の整備として、新たに加えられるPOPs (残留性有機汚染物質)を規制する権限を EPA に与えるために、有害物質規制法(TSCA)を改正することを骨子とするものである。

 小委員会の議長で法案 H.R.4591の提案者であるポール・E. ギルモア(共和党オハイオ州)は、これらの国際条約批准を遅らせていた障害が取り除かれたことは重要なことであると述べ、また米国化学工業協会のミカエル・ P. ウォールスは喜ばしいことだと述べた。

 しかし、ヒルダ・ソリス(民主党カリフォルニア州)に率いられた民主党は、ギルモアの H.R.4591 のいくつかの条項に反対している。彼らは、たとえ不可能ではないとしても、EPA がストックホルム条約に加えられる化学物質を規制することは難しいと主張している。

 例えば、この法案は、”社会的、環境的、及び経済的なコストと便益の合理的なバランスを達成する” という場合にのみ EPA が POPs(残留性有機汚染物質)を規制することができるとしている。民主党は、EPA は POPs の規制にかかわるコストを考慮すべきではあるが、EPA の適用ルールは人の健康を守ることを第一義にすべきであるとしている。

 ギルモアの法案は将来、新たな POPsを規制するのを妨げるものであると、 H.R.4591 に反対しているダリル・ディッツ(国際環境法センター)は述べている。
 米州11の司法長官らもまた、H.R.4591 は、州が EPA の規制より厳しく化学物質を管理することを妨げるものとして懸念している。(訳注3

 この法案は今後、小委員会が属する上位の”エネルギー及び商業委員会”に諮られるが、その議長はこの法案を支持するジョー・バートン(共和党テキサス州)である。


訳注1(参考資料):
「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」の発効について/経済産業省

訳注2(参考資料):
PIC条約 概要と本文/環境省

訳注3(参考資料):
曇天に青空のチャンスはあるか? アメリカの化学物質政策の改革の予測/ダリル・ディッツ、国際環境法センター(当研究会訳)


化学物質問題市民研究会
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