Beveridge & Diamond 2018年10月11日
カリフォルニア州は
広範な難燃剤の使用を禁止する法を制定する


情報源:Beveridge & Diamond, October 11, 2018
California Enacts Broad Prohibitions on Flame Retardant Use
Lauren Hopkins, Mark Duvall, Kate Tipple, Aminah Famili
https://www.bdlaw.com/publications/
california-enacts-broad-prohibitions-on-flame-retardant-use/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2018年11月2日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/cal/181011_BD_
California_Enacts_Broad_Prohibitions_on_Flame_Retardant_Use.html

 カリフォルニア州知事ジェリー・ブラウンは、難燃剤含有の子ども用品と家具の販売を制限する州議会法案("A.B.") 2998 に署名した。2020年1月1日に発効する A.B. 2998 は、何人も、指定された難燃剤を 1,000 ppm 以上のレベルで含有する新品の子ども向け製品(幼児及び12歳以下の子どもによって使用される製品)、マットレス、及び布又は皮張り家具を販売又は流通させることを禁じている。2020年1月1日から施行される同法はまた、家具屋が布・革張り家具を指定された難燃剤を 1,000 ppm 以上含有する材料を使用して張替換え又は修理することも禁止している。

 法案 A.B. 2998 は、広範囲の難燃剤を法の制限対象として指定している。それは、”対象となる難燃剤”という用語の定義を、耐火性又は防火性を持たせるために使用される次の分類のひとつに当てはまる全ての化学物質、又は耐火性又は防火性を持たせるために使用される化学物質の協力剤を意味するとしている。
  1. ハロゲン系、有機リン系、有機窒素系、又はナノスケール系化学物質;
  2. カリフォルニア州環境汚染バイオモニタリング・プログラム(Environmental Contaminant Biomonitoring Program)の下に、”指定された化学物質(designated chemicals)”として定義された化学物質、又は
  3. リストに含めるための理論的根拠の中にある難燃剤又は難燃協力剤として定義されているワシントン州環境局の子どもにとって高い懸念がある化学物質リスト上の化学物質
 同法は、とりわけ規制されている製品の電子部品(及びそれらのケース)、その他の家具構成要素、発泡体以外の大人用マットレスの構成要素、マットレス構成要素を縫いとじるために使用される糸又は繊維を含んで、いくつかの注目に値する例外を含んでいる。法案 A.B. 2998 はまた、電子機器修理・家財道具・断熱管理局(以下”管理局”)に対して準拠性テストのために規制されている製品から”選択したサンプル”をカリフォルニア州有害物質管理局(DTSC)に提供するよう命じている。同管理局は、DTSC のテストを通じて 1,000 ppm の閾値を超えた指定難燃剤を含んでいることが発見された製品の製造者(及び若干の小売業者及び流通業者)に対して罰則を課する権限を与えられている。

 加えて、同法案 A.B. 2998 は国際寝具協会(ISPA)に対して、新たな制限を実施後、マットレス産業の難燃剤の使用を監視するよう求めている。ISPA はマットレス製造者の基礎調査を実施し、2020年1月31日までに調査された製造者のマットレス及びマットレス構成要素中の難燃剤の使用に関する調査報告書を管理局に提出することを求められている。ISPA は新たな調査を実施し、3年毎に結果を添えて調査報告書を管理局に提出しなくてはならず、管理局はその報告書を管理局のウェブサイトに提示することを求められている。

 同法案 A.B. 2998 は、州レベルで法律となる最新の化学物質制限法案である。 Beveridge & Diamond が以前に報告したように、全米にわたる州議会が様々な製品中の化学物質の使用を制限する法律を積極的に導入し、制定している。禁止対象となる規制製品の範囲は包含される化学物質の幅とあいまって広いので、法案 A.B. 2998 はおそらく今日、最も制限的な州レベルの難燃剤法のひとつである。

 カリフォルニア州内で、法案 A.B. 2998 は、消費者製品中の有害化学物質を削減する方向に向けられる法律と規制の継ぎ当て(a patchwork of laws and regulations)に加わる。これとは別に、カリフォルニア州はまた、その野心的な消費者製品プログラムを通じて製品を規制している。

 州内では、法案 A.B. 2998 は、サンフランシスコ市及び郡による同様な最近の取り組みを補完している。先買権の問題に関する言葉の明確化なしに製造者にとっての潜在的な法令順守問題を引き起こす。2017年11月3日、サンフランシスコ市及び郡は、”布(皮)張り家具及び子ども向け製品中の難燃剤条例”を制定した(訳注1)。法案 A.B. 2998 とサンフランシスコ条例は同様な構造であり、同等な目的を持っているが、それらはいくつかの本質的な点で異なっている。中でも注目すべきは州法では子ども用製品の電子部品及び家具を適用外としているが、サンフランシスコ条例では規制していることである。

 ある難燃剤、特に、他の多くの州で特に標的にされている有機ハロゲン系難燃剤を使用し続ける生産者及び製造者は、ローカルレベルの取り組みはもとより、各州の独自の要求の流れについていく必要がある。

 Beveridge & Diamond の化学物質、製品、及びナノテクノロジー実施グループは、戦略的、ビジネスに特化した助言を世界の化学物質産業に提供する。我々は、基礎及び特定化学物質、医薬品、電子機器、作物保護、食品接触材料及び添加物、木製品、並びに消費者製品を含む産業の大小の化学会社とともに働いており、我々は、その製品と活動が有害物質規制法(TSCA)及び州の化学物質制限の下に EPA の広範な化学物質規制権限の対象となる顧客の代理となる十分な経験を有している。


訳注1:サンフランシスコ難燃剤条例
訳注:カリフォルニア州可燃性基準と難燃剤規制の経緯



化学物質問題市民研究会
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