トランプ大統領は軍事費を 540 億ドル(約6兆円)増やし、国内プログラムを削減することにより相殺することを提案している。環境保護庁(EPA)は31%の削減という最大の打撃を受け、1970年代のレベルである職員の4分の1の削減と26億ドル(約2,900億円)の経費節減が求められるであろう。しかし議会は支出を命令し、削減のあるものは超党派の抵抗に直面するであろう。EPA は職員に早期退職を勧奨し始めている。
廃止されるであろうプログラムの例
- 「湿地回復」:サンフランシスコ湾、五大湖、チェサピーク湾、ピュージェットサウンド及びフロリダ州南部の湿地(節減:4億2,700万ドル/約470億円)
- 「成果を出すための科学」: 環境問題に関する大学研究補助金(節減:1,060万ドル/約11億7,000万円)
- 「気候保護プログラム」:電気製品のための自主的エネルギースター効率ラベルを含む(節減:7,000万ドル/約77億円)
- 「米国地球変動研究プログラム」と連携して実施される気候変動研究(節減:1,940万ドル/約21億3,000万円)
- 「海洋汚染プログラム」:有害物質の海洋への投棄を防止する(節減:420万ドル/約4億6,000万円)
- 「国家河口プログラム」:モロ湾とサンフランシスコ湾の生態系劣化への対応を支援(節減:2,050万ドル/22億6,000万円)
- 「ウォーター・センス プログラム」:水を節減するシャワーヘッドやトイレなどの製品に自主的にラベル表示するプログラム(節減:300万ドル/約3億3,000万円)
- 「非点源汚染」:農業廃水に対応するための補助金(1億6,500万ドル/約182億円)
- 「地下貯蔵タンク」補助金:これらのタンク 561,000 基が、飲料水の汚染に最大の脅威となる石油又はその他の危険物質を貯蔵するとEPAは言う。(150万ドル/1億7,000万円)
- 「内分泌かく乱物質プログラム」:野生生物を害し、子どもの成長をかく乱する化学物質を洗い出しテストするプログラム(600万ドル/約6億6,000万円)
- 「EPA 科学諮問委員会」:廃止にはならないが、ピアレビュー数の減少が予測されることを反映して、80%、又は5億4,200万ドル(約596億円)の削減
出典:米国環境保護庁2017年3月21日 2018会計年度大統領予算案:主要な政策と最終財源の決定 (EPA内部メモ) http://bit.ly/2oDjijc
他の省庁の気候科学
トランプ大統領の予算要求はアメリカ航空宇宙局の4つの主要な地球科学ミッションを終了させるであろう。
- 「PACE(Plankton, Aerosol, Cloud, ocean Ecosystem)」:海洋監視プログラム (訳注:NASA/PACE)
- 「軌道上炭素観測衛星 (Orbiting Carbon Observatory-3)」:地球上二酸化炭素の分布を調査するために開発中の衛星 (訳注:NASA/OCO-3)
- 「ディープ・スペース・クライメイト・オブザーバトリー (Deep Space Climate Observatory)」(訳注:1998年、当初は温暖化に関する地球観測の目的で当時のアル・ゴア副大統領の強い働きかけによりアメリカ航空宇宙局(NASA)で衛星が開発された。ウィキペディア)
- 「CLARREO Pathfinder」:大気中の熱を測定(訳注: Climate Absolute Radiance and Refractivity Observatory Nasa/Pathfinder Mission for CLARREO)
備考:トランプ大統領の計画は、海洋補助金プログラムを含んで、沿岸及び海洋の管理と研究を支援するアメリカ海洋大気庁 (NOAA)のプログラムの2億5,000万ドル(約275億円)をゼロにするであろう。
訳注:当研究会が紹介した関連情報
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