EurActiv 2009年8月27日
EU の化学物質法 REACH
動物テストとコスト 急増


情報源:EurActiv, 27 August 2009
EU chemicals law 'spells surge in animal testing', costs
http://www.euractiv.com/en/environment/eu-chemicals-law-spells-surge-animal-testing-costs/article-184873#

訳:安間 武 /化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年8月28日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/euractiv/090827_REACH_animal_testing_cost.html


 車のシートから顔クリークまで何にでも使用されている数万の化学物質に関する欧州の遠大な化学物質安全規則(REACH)は、動物テストの急増をもたらすので、早急に見直されるべきであると26日(水)に科学者らが述べた。

 REACHを実施するためには、今後10年間に5,400万の動物と95億ユーロ(約1兆3,000億円)−以前に予測されていたものより20倍の動物数と6倍のコスト−がかかると、彼らは『ネイチャー』誌で報告した。

 欧州連合のREACH(化学物質の登録、評価、及び認可)は2年前に発効しており、義務的テストが求められていなかった時代の化学物質を含めて、その毒性を評価することを求めている。

 ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ校公衆衛生学部の研究者らによる新たな分析は、産業により REACH 予備登録された化学物質の数は予測数を大幅に超え、テストの量が膨大になることを示した。著者らによれば、この上昇は主に欧州連合の拡大により、化学物質の生産量が18%増大したことによる。

 ”当初、27,000社が29,000物質に関し180,000件の事前登録をするであろうと予測されていた”と研究の著者トーマス・アルトゥングは述べた。”しかし実際には、約65,000社が140,000 物質以上について2,700,000件の事前登録を行った”。

 アルトゥングと共著者コンスタンザ・ロビダは、101,000 化学物質がREACHによってカバーされるであろうが、それは当初予測の3倍以上多いと述べた。

 その結果、REACHの目的は、従来の毒性テスト方法を用いては”達成できないであろう”とアルトゥングは主張する。”毒性学者は、これらの期待を満たす適切なツール、すなわち高速な処理方法又は動物テストの代替として受け入れられる方法、を持っていない”と彼は述べた。

 ”毒性学者として、私はREACHの目的を支持する。それはかつてない消費者の安全に対する最大の投資である”とアルトゥングは述べた。”しかし、私はこの仕事の規模を過小評価していたのではないかと懸念する。REACHの目標に合致する代替研究手法を開発することに投資することが緊急に求められる”。

 研究で述べられている5,400万の追加的動物テストは、”最悪のシナリオ”なので問題にならないと欧州化学産業を代表する業界団体でブリュッセルを拠点とする欧州化学工業協会(Cefic)は切り捨てた。

 ”我々は、実際に登録される化学物質の数はもっと少ないので、記事の中の状況は起こりえないと確信している”と、同協会の化学物質政策のディレクター、アーウイン・アニスは『ネイチャー』に引用されている。

 REACH規則はコストを押し上げる恐れがあるとするいくつかの製造者や、動物保護団体とすでに物議をかもしているとして、今月、彼は欧州規制当局に不必要な動物テストを抑制するよう求める書簡を送った。


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訳注:関連情報
訳注:EDF リチャード・デニスンによる批判


化学物質問題市民研究会
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