ECHA プレスリリース 2008年10月9日
ECHA 加盟国委員会
14 高懸念物質に合意


情報源:ECHA Press Release, Helsinki, 9 October 2008
ECHA MEMBER STATE COMMITTEE AGREES
ON THE IDENTIFICATION OF 14 SUBSTANCES OF VERY HIGH CONCERN
http://echa.europa.eu/doc/press/pr_08_34_msc_indentification_svhc_20081009.pdf

訳:安間 武 /化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年10月14日
更新日:2008年11月19日

このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/ECHA/081009_ECHA_Press_SVHC.html


 2008年10月7〜8日、ヘルシンキでの会議において、ECHA 加盟国委員会は満場一致で、認可対象となるかもしれない14の非常に懸念の高い物質(以下、高懸念物質又はSVHC)に合意した。もうひとつの物質は、パブリック・コンサルテーションの期間中にコメントが出なかったので加盟国委員会の協議対象とはならず、SVHCとして既に特定されていた。これらの15(1+14)物質は、10月下旬にECHAのウェブサイトに”候補リスト”として記載される。

 ECHAのエグゼクティブ・ディレクターであるギールト・ダンセットは、”これらの15物質は公式プロセスを経て特定される高懸念物質の最初のものである”ことを強調した。”EU加盟国とECHAは新たな提案を準備中であり、したがって候補リストは更新されるであろう”。下記物質について合意が得られた。

物質名CAS No.EC No.SVHC の根拠
アントラセン
Anthracene
120-12-7204-371-1PBT
4,4’-メチレンジアニリン
4,4'- Diaminodiphenylmethane
101-77-9202-974-4発がん性 2
フタル酸ジ−n−ブチル
Dibutyl phthalate
(DBP)
84-74-2201-557-4生殖毒性 2
塩化コバルト
Cobalt dichloride
7646-79-9231-589-4発がん性 2
五酸化二ヒ素
Diarsenic pentaoxide
1303-28-2215-116-9発がん性 1
三酸化二ヒ素
Diarsenic trioxide
1327-53-3215-481-4発がん性 1
二クロム酸二ナトリウム
Sodium dichromate
7789-12-0
10588-01-9
234-190-3発がん性 2
変異原性 2
生殖毒性 2
ムスクキシレン
5-tert-butyl-2,4,6-trinitro-m-xylene
(musk xylene)
81-15-2201-329-4vPvB
フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)
Bis (2-ethyl(hexyl)phthalate)
(DEHP)
117-81-7204-211-0生殖毒性 2
ヘキサブロモシクロドデカン(異性体混合物)
Hexabromocyclododecane
(HBCDD)
25637-99-4
及び
3194-55-6
(134237-51-7,
134237-50-6,
134237-52-8)
247-148-4
及び
221-695-9
PBT
短鎖型塩化パラフィン
Alkanes, C10-13, chloro
(Short Chain Chlorinated Paraffins)
85535-84-8287-476-5PBT, vPvB
トリブチルスズオキシド
Bis(tributyltin)oxide
56-35-9200-268-0PBT
ヒ酸鉛
Lead hydrogen arsenate
7784-40-9232-064-2発がん性 1
生殖毒性 1
フタル酸ブチルベンジル
Benzyl butyl phthalate
(BBP)
85-68-7201-622-7生殖毒性 2
加盟国の関与なしで特定
ヒ酸トリエチル
Triethyl arsenate
15606-95-8427-700-2発がん性 1

 ”候補”リストに含まれるべき16物質の提案は、2008年6月に加盟7カ国によって付属書 XV 一式書類の形で提出された。この提案はパブリック・コンサルテーション(2008年7月〜8月)のために公開された(訳注1)。加盟国委員会(MSC)は、15物質に関して議論し、様々な利害関係者や加盟国から受けたコメントを考慮し、認可対象となるかもしれない14物質をSVHCsとして特定することに同意した。提案のひとつ、シクロドデカンに関しては、第57条に規定される要件を満たすための十分な科学的データがないということについて、加盟国委員会(MSC)は満場一致で合意した。

 16番目の物質、ヒ酸トリエチルはコンサルテーション・プロセス中にコメントがなかったので、加盟国委員会(MSC)の討議対象とならず、SVHCとして既に特定されていた。

 10月の下旬に、ECHAは公式決定の手続きに従い、SVHCsとして特定された15物質を候補リスト(Candidate List)に含め、ウェブサイトにリストを発表する。

背景:”候補リスト”から”認可リスト”と認可へ

 候補リストにひとつの物質を含めることは、REACH第57条で規定されているように、その物質の固有の有害性(ハザード特性)に専ら基づいている。このリストは定期的に更新される。ECHAは、EU加盟国が、又は欧州委員会の要請によりECHAが、付属書 XV の一式書類を準備した物質を示しつつ、その意図(下記参照)の登録をECHAのウェブサイトに公開する。このことは、後のプロセスで関心ある当事者がコメントするときに時宜を得た準備を可能とする。

 これらの物質の固有の特性の評価、その使用による潜在的な暴露、及び市場に出る量に基づき、ECHAは認可対象物質リスト(REACH付属書 XIV)に含まれるべき優先物質の提案を起草することになる。さらなる評価とパブリック・コンサルテーションの後に、加盟国委員会はこのドラフト提案に対する意見を出す。ECHAは、付属書 XIV (認可リスト)に記載されるべきと考える最初の物質を欧州委員会に2009年6月1日までに提案する。このリストにある物質を含めることに関する決定は欧州委員会によってなされる。

 認可リストに含められる物質は、会社が特定の用途のための認可を得ていなければ、欧州委員会によって規定される特定の期日からEUで製造すること又はEUに輸入することができなくなる。この認可は、リスクは管理できる又は社会経済的便益がリスクに勝る場合に授与される。

 認可の目的は、高懸念物質によるリスクが適切に管理され、またこれらの物質が代替物質又は代替技術により漸次、代替されることを確実にすることである。

プレス担当窓口:press@echa.europa.eu
リンク:
候補リスト(10月後半に発表):http://echa.europa.eu/chem_data_en.asp
意図登録:http://echa.europa.eu/chem_data/reg_intentions_en.asp
REACHについて:http://echa.europa.eu/reach_en.asp

European Chemicals Agency Annankatu 18, P.O. Box 400, FI-00121 Helsinki, Finland
Tel.: +358 9 6861 80 | Fax +358 9 6861 8210 | http://echa.europa.eu | press@echa.europa.eu


訳注1
ECHA ウェブページ 2008年7月10日更新 高懸念物質(SVHC) 関心ある団体によりコメントされるべき付属書 XV レポート



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