ECHA ウェブページ 2008年7月10日更新
高懸念物質(SVHC)
関心ある団体によりコメントされるべき
付属書 XV レポート


情報源:ECHA Web Page Last update 10/7/2008 21:24 (EET)
Substances of Very High Concern: Annex XV reports to be commented by Interested Parties
http://echa.europa.eu/consultations/authorisation/svhc/svhc_cons_en.asp

訳:安間 武 /化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年7月23日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/ECHA/ECHA_SVHC_List.html


認可プロセスの枠組みの中で、加盟国当局又は欧州化学物質庁(ECHA)は、欧州委員会の要請に基づき、高懸念物質(SVHC)を特定することになっており、そのレポートの様式はREACH規則 付属書 XV で規定されている。

 高懸念物質は規則(EC)No.1907/2006(REACH規則)第57条で定義されており、下記のような特性を持つ物質を含む:
  • 指令67/548/EEC(訳注1)に従うカテゴリー1又は2(訳注2)の基準を満たす、発がん性、変異原性、又は生殖毒性(CMR)
  • REACH規則 付属書 XIII の基準による難分解性、生体蓄積性、毒性(PBT)又は極めて難分解性で高い生体蓄積性(vPvB)
  • 上記と同程度のヒト健康又は環境に深刻な影響を引き起こす可能性を示す科学的証拠により、ケース・バ・ケースで特定される(例えば内分泌かく乱物質)
 加盟国又は欧州化学物質庁(ECHA)によって準備された付属書 XV レポートは、関心ある団体に知らせるために、下記表の中で入手できる。関心ある団体は、この発表から45日以内に高懸念物質の特定に関する科学的コメント及び、暴露、代替物質、リスクに関する情報を欧州化学物質庁(ECHA)に送ることができる。それらを英語でいただければコメントの評価プロセスに便利である。

 関心ある団体は、欧州化学物質庁(ECHA)が公開することができる非機密版の情報を提供することを求められている。非機密版の情報を支持するための機密詳細情報を提出する機会がある(下記の詳細指示を参照のこと)。情報が機密であることを説明するために提出団体によって正当性が示されなくてはならない。そのような機密情報はECHA及びその委員会によってのみ使用される。

 コメントを提出することを望む場合には、示されている締め切り期限前にテーブル中で与えられる提出フォームへのリンクを使用していただきたい。

訳者による注記
 1:加盟国当局によりECHAに提出された提案へのリンク:省略
 2:提出フォームへのリンク:省略
 3:発表2008年6月30日/締め切り2008年8月14日

物質提案国提案理由訳者による注記(訳注
(主な用途、取り扱い(日本、EU)など)
物質名CAS No.
アントラセン
Anthracene
120-12-7ドイツPBT木材の保存剤や殺虫剤、塗料、カーボンブラック
JapanチャレンジプログラムOECD評価予定
日本の年間取扱量オーダー1,000トン
EUの2001年の製造量1,350トンの99%が日本とチェコに輸出されている。
4,4’-メチレンジアニリン
4,4'- Diaminodiphenylmethane
101-77-9ドイツCMRポリウレタン中間体の原料
JapanチャレンジプログラムOECD評価済み
化審法第2種監視化学物質
日本の年間取扱量オーダー1,000トン
EU製造者は代替を支持
フタル酸ジ−n−ブチル
Dibutyl phthalate
(DBP)
84-74-2オーストリアCMR塩化ビニル、酢酸ビニル、ニトロセルロース、メタクリル酸等の樹脂の可塑剤。
化審法既存点検対象物質(生態影響)
日本ではほとんど使われていない
シクロドデカン
Cyclododecane
294-62-2フランスPBT化学物質原料
化審法第一種監視化学物質
塩化コバルト
Cobalt dichloride
7646-79-9フランスCMR塗料、めっき、インキ乾燥剤用原料
化審法既存化学物質
EUでは危険物質の分類・包装・表示に関する指令(EU指令67/548/EEC)と危険物質及び調剤の上市と使用の制限に関する指令EU指令(2003/34/EC)で規制
五酸化二ヒ素
Diarsenic pentaoxide
1303-28-2フランスCMRヒ素化合物製剤、木材防腐・防蟻剤
化審法データベースにない
三酸化二ヒ素
Diarsenic trioxide
1327-53-3フランスCMR金属ヒ素の原料、液晶ガラスや鉛ガラス製造時の清澄剤
化審法既存化学物質
二クロム酸二ナトリウム・二水和物
Sodium dichromate, dihydrate
7789-12-0フランスCMR無機クロム顔料、金属表面処理(腐食防止)
化審法での扱い不明
ムスクキシレン
5-tert-butyl-2,4,6-trinitro-m-xylene
(musk xylene)
81-15-2オランダvPvB香水、セッケンをはじめ多くの調合香料
化審法第一種監視化学物質
提案では毒性(T)の境界上としている
フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)
Bis (2-ethyl(hexyl)phthalate)
(DEHP)
117-81-7スウェーデンCMR塩化ビニル、ニトロセルロース、メタクリル酸等の樹脂、塩化ゴム等の可塑剤。 塗料、顔料、接着剤、潤滑油の添加剤。
国内では塩ビに使われる可塑剤の約6割
日本の年間取扱量オーダー100,000トン
JapanチャレンジプログラムOECD評価済み
ヘキサブロモシクロドデカン(異性体混合物)
Hexabromocyclododecane
(HBCDD)
25637-99-4スウェーデンPBT難燃剤
臭素系難燃剤の代替品として日本などで使用量が増えている
化審法既存化学物質
短鎖型塩化パラフィン
Alkanes, C10-13, chloro
(Short Chain Chlorinated Paraffins)
85535-84-8イギリスPBT難燃剤、可塑剤
化審法データベースにない
トリブチルスズオキシド
Bis(tributyltin)oxide
56-35-9ノルウェーPBT殺菌・防黴剤、船底塗料添加剤
化審法第一種特定化学物質
ヒ酸鉛
Lead hydrogen arsenate
7784-40-9ノルウェーCMR農薬(日本では失効)
化審法既存化学物質
ヒ酸トリエチル
Triethyl arsenate
15606-95-8ノルウェーCMR化審法データベースにない
提案によれば発がん性カテゴリー1、水生生物に非常に有毒
フタル酸ブチルベンジル
Benzyl butyl phthalate
(BBP)
85-68-7オーストリアCMR塩化ビニル及びニトロセルロース樹脂の可塑剤。
日本ではほとんど使われていない。
化審法既存点検対象物質:生態影響


訳注
1. 化審法/Japanチャレンジ関連情報は化審法データベース(J-CHECK) による。
2.参考リンク(塩ビ工業・環境協会)
 http://www.vec.gr.jp/topics/reach_list.pdf
 http://www.vec.gr.jp/topics/new106.htm



訳注1
指令67/548/EECによるClassification & Labelling
Search Classlab Database
http://ecb.jrc.it/classification-labelling/search-classlab/

ウィキペディア(Wikipedia)による解説
  • リスクフレーズ
     危険指示、物質に起因する危険有害性リスクを示す。(R1〜R68)
  • セーフティフレーズ
     有害性化学物質の安全な取扱いを表す。(S1〜S64)

    訳注2
    CMRのカテゴリー分類
    Commission Directive 2001/59/EC of 6 August 2001 classification, packaging and labelling of dangerous substances

    4.2.1. Carcinogenic substances
     Category 1:ヒトへの発がん性が知られている物質
     Category 2:ヒトへの発がん性があるとみなされるべき物質で、十分なデータがある
     Category 3:ヒトへの発ガン性の懸念がある物質であるが、データが十分ではない
    4.2.2. Mutagenic substances
     Category 1:ヒトへの変異原性が知られている物質
     Category 2:ヒトへの変異原性があるとみなされるべき物質で、十分なデータがある
     Category 3:ヒトへの変異原性の懸念がある物質であるが、データが十分ではない
    4.2.3. Substances toxic to reproduction
     Category 1:ヒトへの生殖能力を損なうことが知られている物質
     Category 2:ヒトへの生殖能力を損なうことがあるとみなされるべき物質で、十分なデータがある
     Category 3:ヒトへの生殖能力を損なうことの懸念がある物質であるが、データが十分ではない

    訳注3
    有用な化学物質データベース




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