国際化学物質事務局(ChemSec) ニュース
2005年12月13日 EU閣僚理事会 REACH 取引で合意到達
情報源:The International Chemical Secretariat http://www.chemsec.org/
December 13th 2005 / Council of Ministers reach deal on REACH

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2005年12月19日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/ChemSec/News/chemsec_05_12_13_council.html


2005年12月13日、閣僚理事会はREACHについて合意した。最も重要な論点を下記に示す。

■登録

 閣僚理事会版登録は、議会の第一読会で採択されたものに極めて近い。年間生産量1〜10トンの範囲の化学物質に対して、非常に限定されたテストだけが義務付けられた。この範囲以上の化学物質については、会社はより広い範囲のテスト(付属書 V にリストされている)が必要かどうか、(欧州委員会が定める)基準に従って決定する。
 議会の採決とは異なり、閣僚理事会は1トン以上の全ての化学物質に化学物質安全評価を要求することには同意しなかった。
 高生産量化学物質に対して、議会と同様にあるテストの免除が導入された。ある条件下ではあるテストは回避できるが、会社はその省略の正当性を説明しなくてはならない。REACH発効後18か月以内に欧州委員会は省略の受容の判断基準を作成する。

■認可

 欧州議会の投票とは異なり、閣僚理事会は、閾値のある発がん性・変異原性・生殖毒性物質(CMRs)及び内分泌かく乱物質(EDCs)に関し”適切な管理”の証拠だけで、(たとえより安全な代替物質が存在しても)認可付与のために十分な根拠であるということを支持した。このことは、発がん性物質や生殖系に有毒な化学物質(例えばフタル酸エステル DEHP)、内分泌かく乱化学物質(ビスフェノールAなど)は、たとえより安全な代替物質が存在しても市場に残ることを意味する。
 PBT(残留性・生体蓄積性・有毒性物質)及びvPvB(高残留性・高生体蓄積性物質)などの閾値のない化学物質に対しては、代替要求は強化された。これらの物質の認可は、社会経済的便益がリスクに勝り、適切な代替物が存在しない場合にのみ授与される。
 欧州議会とは異なり、閣僚理事会は認可の期限を規定せず、ケースバイケースによるとした。

■消費者への情報

 欧州議会は成形品中にどのような化学物質が存在するのかについて消費者が知る権利を導入した。しかし、加盟国は、この情報に関する権利を支持せず、オリジナルのREACH文案を改善しなかった。

■一般注意義務

 議会は適切な一般注意義務を導入したにもかかわらず、閣僚理事会は、全ての化学物質製造者に対する法的拘束力のある義務を導入しなかった。

■次の段階

 閣僚理事会の共通見解(Common Position)の正式な採択は、多分オーストリア議長国の下に2006年4月下旬に行われる。共通見解が欧州議会に提出された後、欧州議会は3か月間で第二読会を行う。その後、閣僚理事会はさらに3か月審議し、その後必要があれば6週間、議会と閣僚理事会の調停が行われる。従って、REACH は2006年の末に発効ということになる。


訳注(参照):2005年11月17日 欧州議会 REACH 第一読会での投票 採択された修正案のリスト



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