Bangkok Post 2020年7月19日
マレーシア 
最大級の有害廃棄物の積み荷を発見


情報源:Bangkok Post 19 JUL 2020
Malaysia uncovers largest shipment of dumped toxic waste
https://www.bangkokpost.com/world/1953992/malaysia-
uncovers-largest-shipment-of-dumped-toxic-waste


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/

掲載日:2020年7月23日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/news/200719_Bangkok_Post_
Malaysia_uncovers_largest_shipment_of_dumped_toxic_waste.html



 【クアラルンプール】マレーシアはルーマニアからインドネシアに向けて送られた有害な重金属入りのコンテナ 110 個を発見した。先月、違法にマレーシアに持ち込まれていたものである。持ち込まれた有害廃棄物の最大規模の事例であると、国営メディアのベルナマ(Bernama)は日曜日(7月19日)に報じた。

 マレーシアは近年、中国がプラスチック廃棄物の輸入を禁止した後、それら廃棄物の世界の主要な持ち込み先となっていた。現在、同国に不法に持ち込まれたプラスチック廃棄物を収容した数百のコンテナーを送り返すために輸出国と交渉中である。

 ベルナマによると、環境・水担当大臣であるトゥアン・イブラヒム・トゥアン・マンは、亜鉛、カドミウム、鉛などの重金属を含む鉄鋼生産の副産物である 1,864トンの電気炉ダスト(EAFD)が南部の州ジョホールのタンジュン・ペレパス港に持ち込まれていることが判明したと述べた 。

 ”マレーシアを通過してインドネシアに向かう電気炉ダスト(EAFD)の発見は、マレーシア史上この種の最大の発見である”とトゥアン・イブラヒムは述べたと伝えられている。

 バーゼル条約の下で有害廃棄物として分類されるこの電気炉ダスト(EAFD)(訳注1)は、通関申告書では濃縮亜鉛としてリストされていたと彼は述べた。

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 彼はまた、”マレーシアのバーゼル条約当局である環境省は、廃棄物のマレーシア通過を承認したことはないし、廃棄物輸出業者から通知を受けたこともない”と述べた。

 マレーシアは、コンテナの本国送還を手配するためにルーマニアのバーゼル条約当局に連絡を取り、さらなる調査を国際刑事警察機構(Interpol)に要請したとベルナマは報じた。

 クアラルンプールのルーマニア大使館は、コメントの要請に即座には応じなかった。


訳注1:電気炉ダスト
  1. 成分:鉄スクラップをリサイクルする電気炉メーカーが排出している電気炉ダストは、約20パーセントの亜鉛、約30パーセントの鉄に加え少量のハロゲン(塩素、フッ素)、有害元素の鉛などを含んでいる・・・。(科学技術振興機構/電気炉ダストから亜鉛と鉄を同時に回収する手法を実証

  2. バーゼル条約 附属書I 規制する廃棄物の分類
    次に掲げる成分を含有する廃棄物 Y1...Y26 カドミウム、カドミウム化合物...Y31 鉛、鉛化合物...Y45 有機ハロゲン化合物

  3. したがって、電気炉ダストは、たとえそれが亜鉛の回収が目的であっても有害廃棄物なのでバーゼル条約の対象となり、2019年12月5日に国際法として発効したバーゼル禁止令に基づき、欧州連合加盟国、経済協力開発機構(OECD)加盟国、及びリヒテンシュタインから全ての他の国への輸出が禁止される(2019年9月6日にバーゼル」禁止令発効)。ルーマニアは欧州連合加盟国である。