「タイは日本のゴミ捨て場ではない!」
日本大使館前でグリーンピースが抗議行動
安部首相に有害廃棄物の関税撤廃をやめるよう要求


報告:土井利幸 (タイ・マヒドン大学大学院博士課程在籍)

掲載日:2007年1月12日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JTEPA/070109_JTEPA_gp_Doi.html


「タイは日本のゴミ捨て場ではない!」
日本大使館前で沈黙の抗議行動を行うグリーンピース

安部首相宛書簡を掲げながら訪れた報道陣に語りかけるペレさん
(キティクン・キティアラームさん/グリーンピース)

 2007年1月9日(火)、グリーンピース東南アジアのメンバー約15名がバンコクの日本大使館前で、「タイは日本のゴミ入れではない!」と大書した横断幕を掲げ抗議行動を行いました。

 グリーンピース反有害物質キャンペーン担当のペレさんは、1月中にもタイの立法評議会を通過する見通しのタイ日経済連携協定(JTEPA)が日本からの有害廃棄物の輸入を増大させるとタイ社会に警告し、「JTEPAの関税撤廃品目から有害廃棄物をはずすこと」、「日タイ両政府が浪費をあらため、有害物質に依存しない社会の創造に真剣に取組むこと」など四項目の提案を記した書簡を日本政府(安部首相・麻生外務大臣・若林環境大臣)に提出しました。

 午前10時15分、防護服に身を固めた3名のグリーンピース・メンバーが日本大使館正面入り口前に黄色の横断幕を掲げました。両脇には大きなゴミ入れが置かれ、向かって左側にペレさんが安部首相宛の書簡を入れた封筒を報道陣に示しながら立ち、約10分間、全員で沈黙の抗議行動を行いました。

 その後、取材に訪れたメディア関係者約30名を前にしたペレさんは、「市民の懸念に対してタイ外務省は、『関税撤廃品目に含まれていてもすぐに輸入するとは限らないし、タイには有害物質を規制する法律も存在する』と反論するけれども、2006年だけでもすでに大量の有害廃棄物が日本からタイに輸入されています。
 タイの法律による有害物質規制はまったく不十分で、自分たちが出した産業廃棄物ですら満足に処理できていません。JTEPAが今の内容のままで署名・発効されれば、タイは未来永劫日本の危険ゴミの捨て場になってしまいます。また、JTEPAは工業先進国から途上国への有害廃棄物の還流を防ぐために生まれ、タイ日両政府も批准しているバーゼル条約の精神をも踏みにじっています」と問題の深刻さと非道義性を訴えました。

 日本大使館からは男性職員が現れましたが、ペレさんから書簡を手渡されても一言も発さず、取材陣を避けるかのように足早に大使館の建物の中に駆け戻って行ってしまいました。

 この抗議行動の模様は翌日(1月10日)の現地タイ字・英字紙複数によってタイ国内で広く紹介されています。
安部首相宛書簡ならびにプレスリリースの日本語訳もあわせてご覧下さい。



化学物質問題市民研究会
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