グリーンピース東南アジア 2007年1月9日
日本国首相への手紙
JTEPAから有害廃棄物の関税削減条項を削除する要求


情報源:Greenpeace Southeast Asia, 9 January 2007
Letter to Mr. Shinzo Abe, Prime Minister of Japan
Call for Removal of Tariff Reduction for Toxic Waste Provisions from JTEPA
FINAL-Lette-to-JPN-PM1.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年1月9日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JTEPA/070109_JTEPA_gp_letter_JP_PM.html


日本国首相 安倍晋三 殿
写し)
外務大臣 麻生太郎 殿
環境大臣 若林正俊 殿
2007年1月9日

件名:JTEPAから有害廃棄物の関税削減条項を削除する要求

拝啓 安倍晋三 殿

 独立系環境団体であるグリンピース東南アジアを代表して、私は現在日本とタイ両国によって署名が検討されている日本タイ経済連携協定(JTEPA)から有害廃棄物のための関税削減条項の削除を要求するためにこの手紙書いています。タイ国外務大臣は最近公式書簡でJTEPAは日本からタイへの輸出のための関税削減物品としての有害廃棄物リストを含んでいることを認めました。これらの廃棄物には、自治体焼却炉からのスラッグ、灰、及び残渣、化学産業等からの残渣、都市ゴミ、下水スラッジ、及びその他の廃棄物が含まれています。日本によるこれらの有害廃棄物の輸出はそれがリサイクル目的であろうと最終処分であろう全く受け入れることはできません。

 タイはすでに自国の有害廃棄物による多くの問題に直面しています。産業廃棄物140.5万トンのうち処分されたのはわずか50%だけであり、家庭からの有害廃棄物の40.3万トンのほとんどは適切に管理されておらず、その結果、有害廃棄物の多くが不法投棄されています。

 さらにタイは、日本を含む先進国から有害廃棄物を受け入れており、もし有害廃棄物の関税削減条項を持ったJTEPAが発効すれば、タイの廃棄物危機をさらに深めることになり、世界中から大量の廃棄物が流れ込む門戸を開くことになります。

 タイも日本も、先進国から開発途上国への有害廃棄物輸出の問題を解決するための国際的な企てであるバーゼル条約の締約国です。しかし、JTEPAはこの条約の意図に全く反するものです。しかしながらバーゼル条約は、リサイクルを目的とした有害廃棄物の輸出入を認めています。したがってリサイクル目的であっても全ての有害廃棄物の輸出を禁止するためにバーゼル禁止修正条項が採択されました。日本だけがこの禁止条項を批准してないのではなく、アメリカ、カナダ、そしてオーストラリアもまた、JTEPAを通じてタイに有害廃棄物を投棄することを合法化しようとする恥も外聞もないやり方で、バーゼル禁止の実施に強く反対しています。

 日本で発生する大量の有害廃棄物を処理する責任をタイに押し付け、タイの環境と人々の健康を脅かす企ては止めて、日本は自国内で有害廃棄物を処理できるようその能力を開発すべきです。

 我々は次のことを要求します。
  1. タイ国家立法会議と日本の議会の双方は、全ての廃棄物のリストが関税削減条項から抹消されるまでこの協定を批准することを拒否すべきである。
  2. 日本とタイは、環境正義と廃棄物自国内処理に関するバーゼル条約の原則を支持するという強いメッセージを送るために、可能な限り早急にバーゼル条約禁止修正条項を批准すべきである。バーゼル条約加盟国によって1995年以来、求められているにもかかわらず両国がバーゼル禁止を批准していないことは大きな間違いである。
  3. 日本及びタイ両国で完全に公平な複数の利害関係者による審議により、JTEPAにそのような条項をどのようにして含めるか決定されるべきである。
  4. 日本とタイは有害物質の使用を削減し過剰な包装と計画的製品廃用化をなくすことにより有害及びその他の廃棄物をその源から防ぐための真剣なプログラムに着手すべきである。
敬具

キティクン・キティアラーム
有害物質キャンペーナー
グリーンピース東南アジア



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