JPEPAの発効を阻止する連合(MJJC) 2007年9月15日
フィリピン上院は日比経済連携協定(JPEPA)を拒絶すべき

情報源:Magkaisa Junk JPEPA Coalition (MJJC), 15 September 2007
THE PHILIPPINE SENATE SHOULD REJECT
THE JAPAN-PHILIPPINES ECONOMIC PARTNERSHIP AGREEMENT (JPEPA)
http://junkjpepa.blogspot.com/2007_09_01_archive.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年9月15日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/JPEA/MJJC_070915.html


  1. JPEPAの締結の過程における秘密、非公開、議員を含む利害関係者の排除は、フィリピン憲法の公益事項への人々の参加に違反している。アクバヤン代表及び懸念するグループは、JPEPAの本文と付属書の全てのコピーを得るために最高裁に提訴しなくてはならなかった。

  2. 明確な国内法及び国際的約束があるにもかかわらず、有毒で有害な廃棄物が関税撤廃の対象になっていた。その後、問題を鎮めるために覚書が発行されたが(訳注1)、同覚書は有害廃棄物を対象とするだけであった。医療廃棄物及び都市ごみはそのままである。

  3. 繰り返されたメディア声明とは逆に、JPEPAの実際の本文は日本の投資家がフィリピンのパートナーを支援するために技術移転する義務を、フィリピンが免除したことを明らかにした。フィリピンはまた、日本の投資家に一定のフィリピン人を雇用することを求める権利を放棄した。この自主的な権利の放棄はマレーシア、インドネシア、及びタイでは行われていない。

  4. JPEPAの第4条は、上院及び下院議員の両手を縛りあげ、”もし、国内法及び規制の採択時の状況または目的がもはや存在しないなら、又はもしそのような状況や目的が貿易制限を少なくするやり方で実現されるなら、同協定の実施または運営に関連する又は影響する国内法及び規制を改正する又は廃止する可能性を検討すること”を求めている。このような条項は日本とマレーシア、インドネシア、及びタイとの経済連携協定には存在しない。

  5. 看護士や介護士のためにフィリピン行政府によって描かれた楽観的な展望に反して、JPEPAはフィリピンの看護師/介護福祉士の入国と雇用のために極めて厳しい要求を課し、そのことは彼らが日本の市場に参入することを不可能にしている。

  6. 市場参入とい観点から、JPEPAは明らかに日本の農産物と工業製品に有利なように偏っている。フィリピンはコメ(関税分類5品目 5 tariff lines)と塩を除いて、農産物への関税を劇的に撤廃する。一方日本は、広範な水産物、野菜、果物、海草、砂糖及びその関連品、及び履物類を含む238品目(tariff lines)を除外することができた。交渉担当者によって提起された市場参入の要求について多くの疑義がある。海草について、日本が関税撤廃を約束したある種の海草はフィリピンでは育たないか全く栽培していない。

  7. JPEPA第27条は、中古の4輪駆動自動車に関連する協力を述べているが、これは、このことを禁止する大統領令(Executive Order: EO)第156号に明らかに違反している(訳注2)。これは同法の有効性を支持した最高裁判断を明らかに無視するものである。交渉担当者は様々な討論の場で国内法は尊重されると繰り返し述べていたが、JPEPAのAnnex 1 は、”両国のどちらかの要求で両国は中古自動車に関する市場参入条件のような問題を交渉しなくてはならないと明確に規定している”。さらに、第27条は日本とマレーシア、インドネシア、及びタイとの経済連携協定には存在しない。この約束は自動車産業の77,000 人の労働者に対する深刻な脅威である。

  8. JPEPAは経済成長に拍車をかけ貧困を緩和するという行政府の主張とは逆に、日本人に有利な偏向した条項があり、フィリピ人のための明確な国家の開発計画がないので、JPEPAはフィリピンの製造業と農業の終焉を急がせ、国民の多くをより深い貧困に沈めるかもしれない。

  9. JPEPAは地方政府の自治権、立法権、及び課税権を制限するであろう。

  10. 協定の運営は、JPEPAの下で得られるかもしれないわずかばかりの経済的な利益など、かき消してしまうであろう官僚的及び財政的悪夢を生み出すであろう。

  11. JPEPAは、フィリピンによって現在交渉が行われている一連の自由貿易と経済協力協定の最初のものであり、将来の他国との貿易と投資の協定に先鞭をつけるものである。もし我々がこの協定で我々の利益を戦略的に守ることができなければ、我々はフィリピンの人々にどのような将来を約束することができるのであろうか?

  12. 他のアジア諸国が”同様な”経済連携協定を日本と結ぼうとしているのだからフィリピンは”船に乗り遅れる”ことはできないので、JPEPAは同意されるべきであるとする行政府の主張は正確ではない。JPEPAの実際の文書とフィリピン産業の保護に対する厳しい制限は、交渉担当者がすでにフィリピン人を船に乗り遅れさせたということを示している。間違いなくフィリピン人はもっとよい船に乗る価値がある。
これは我々の生活に、命にかかわることである。
我々は上院議員らを信頼している。

ガラクタJPEPAを捨てろ。
(JUNK JPEPA.)
訳注1
インフォショップ・ニュース 2007年5月27日/JPEPAの有害廃棄物条項に関する外交文書は十分ではないとグリーン・ピース(当研究会訳)

訳注2
フィリピン向け中古車輸出の際の現地輸入規則および留意点について/JETRO

訳注3(関連記事)
JPEPAの発効を阻止する連合(MJJC) 2007年9月14日/JPEPAに関する第1回上院聴聞会 多くの大衆が結集(当研究会訳)



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