第10回バーゼル条約締約国会議
2011年10月17-21日 参加NGOメモ 情報源:第10回バーゼル条約締約国会議 参加NGO 紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2011年10月19日 更新日:2011年10月24日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/COP10/COP10_NGO_memo.html 10月17日(月)から10月21日(金)まで、コロンビアのカルタヘナにおいて、バーゼル条約第10回締約国会議(COP10)が開催されました。 参照: 環境省報道発表資料平成23年10月14日 「バーゼル条約第10回締約国会議(COP10)の開催について(お知らせ)」 この会議には、多くのNGOが参加しましたが、重要な論点であるバーゼル禁止修正条項及び水銀廃棄物に関するテクニカル・ガイドライン(TG)について簡単な報告が参加NGOからありましたので、下記に紹介します。 ■バーゼル禁止修正条項(報告:2011年10月19日)
■締約国会議 バーゼル禁止修正条項の発効条件に同意(報告::2011年10月21日) カルタヘナから最良のお知らせ! 私たちが10年以上バーゼル条約に取り組んできた中で最も実り多い会合でした。下記のプレスリリースをご覧ください。 BAN プレスリリース 2011年10月21日 バーゼル条約第10回締約国会議 178か国が有害廃棄物の途上国への輸出禁止の法制化に同意 訳注:今まで、発効条件として、禁止修正条項の早期発効に反対する日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどが、締約国数(現在は178か国)の4分の3以上の批准を主張して発効を遅らせてきましたが、今回、締約国会議は、1995年の採択時の締約国数90か国のうち68か国(4分の3)が批准したときに発効するということで合意しました。国際NGOは、この発効条件の決定(68か国の批准)で、締約国の発効に向けての勢いが促進されるとしており、現在、51か国が批准しているので、残りは17か国となり、2〜3年で実現することが期待されるとしています。 ■水銀廃棄物テクニカル・ガイドライン(注)(報告:2011年10月24日) 注:正式名称 元素水銀からなる廃棄物及び水銀を含む又は水銀で汚染された廃棄物の環境的に適切な管理のためのテクニカル・ガイドライン草案 Draft technical guidelines for the environmentally sound management of wastes consisting of elemental mercury and wastes containing or contaminated with mercury http://archive.basel.int/meetings/cop/cop10/documents/06a2e.pdf 上記「元素水銀からなる廃棄物及び水銀を含む又は水銀で汚染された廃棄物の環境的に適切な管理のためのバーゼル水銀テクニカル・ガイドライン(TG)/2011年7月28日版」の最終版(2011年10月19日版)が決定しました。(訳注:UNEPのウェブに掲載され次第、リンクを張ります。) ZMWGは、この問題について初めからフォローしており、このTGの7回の主要な改訂に取り組みました。このTGをより良く、バランスがとれたものにし、さらに重要なことは、開発途上国内のメンバーの主要な懸念に目を向けることに貢献されたメンバーの方々に感謝します。 本ガイドラインには、いくつかの主要な論点が反映されています。
バーゼル条約禁止修正条項の問題点の概要
化学物質問題市民研究会ウェブページ「バーゼル条約について」)より 1989年に採択されたバーゼル条約も実際には、多くの人々が犯罪行為であると感じていたことを禁止するものではなく、むしろ有害廃棄物の合法的取引に資するものであると非難された。アフリカ諸国、その他の発展途上国、グリーンピースなどがこの条約を糾弾し、この条約の枠組みの中で禁止を実現することに向けて精力的に活動を繰り広げた。 最終的には1994年に、発展途上国、東ヨーロパ、西ヨーロッパ諸国、グリーンピースからなるユニークな連合が働きかけ、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、カナダ、日本、イギリスなどの強い反対があったにもかかわらず、後に”バーゼル禁止令(Basel Ban)”として知られるようになった合意が採択された。 バーゼル禁止令は、経済協力開発機構(OECD)加盟の先進国が全ての非OECD諸国にいかなる有害廃棄物も輸出することを禁止するという、バーゼル条約の改正案(amendment)である。 (注):日本は1993年9月17日にバーゼル条約を批准、OECD加盟国としてバーゼル禁止令(Decision II/12)には合意したが、1995年、82カ国によって採択された(Decision III/1)には合意しなかった。 この禁止令に対し反対勢力は、1994年の決定はバーゼル条約が改定されない限り法的拘束力はないと主張したので禁止令の決定は再び争われることとなり、1995年に、アメリカ、韓国、オーストラリア、カナダなどの諸国や、声高な産業界の強い反対があったにもかかわらず再び採決され、条約改定のための2回目の決定がバーゼル条約加盟国の賛同を得て可決された。 発効については二つの解釈があった。ひとつは1995年の採択時に実際にそこにいた国(82カ国)の4分の3以上の批准で発効するとし62の批准で十分であり早期発効すべしとするものである。欧州連合、アフリカグループ、アラブグループ、ラテンアメリカグループ、ノルウェー、スイス、多くに東ヨーロッパ諸国、中国、その他アジア諸国などが早期発効を支持していた。 もうひとつの解釈は現在のバーゼル条約の加盟国数(168)の4分の3、すなわち128カ国の批准が必要であるとするもので、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージランドなどが JUSCANZ グループとして禁止修正に反対してこの解釈を主張し、禁止令の発効を妨害し、遅らせていた。 今回、発行のための条件が、1995年の採択時の締約国数90か国のうち68か国(4分の3)が批准したときに発効するということで合意した。 |