BAN プレスリリース 2016年9月15日
あなたの古い電子廃棄物が
発展途上国に輸出されていることを
秘密の追跡プロジェクトが明らかにする


情報源:BAN Press Release, September 15, 2016
Secret Tracking Project Finds that Your Old Electronic Waste Gets Exported to Developing Countries
http://myemail.constantcontact.com/Secret-Tracking-Project-Finds-that-Your-Old-Electronic-Waste
-Gets-Exported-to-Developing-Countries.html?soid=1114999858498&aid=MECAiXIhS2s


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年10月2日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/
160915_Secret_Tracking_Project_Old_E_Waste_to_Developing_Countries.html

 リサイクル業者に渡った電子廃棄物( e-Waste)の40%が海外の汚染リサイクル操業にむけて不法に輸出されている。
 【2016年9月15日シアトル、ワシントン州】 ハイテク廃棄物を追跡するためにハイテク手法を用いて環境監視団体バーゼル・アクション・ネットッワーク(BAN)は、彼らの電子ゴミ透明プロジェクト(e-Trash Transparency Project)の一部として、The Body Shop Foundation の資金援助の下に、205台の古いプリンターやモニターに GPS トラッカー(追跡装置)を埋め込んだ後、慈善団体及びリサイクル業者に引き渡した。『詐欺リサイクル:米リサイクル業者によるアジアへの廃電子機器投棄(Scam Recycling: e-Dumping on Asia by US Recyclers)』と題する新たな報告書が、アメリカの電子廃棄物リサイクル業者に引き渡されたもののうち、40%が客により期待されたようにはアメリカでリサイクルされず、汚染と危険をもたらすリサイクルのために、発展途上国、その多くがアジア、に輸出されたことが明らかにした。

 ”アメリカ国民は、’リサイクル業者’として自社をグリーンウォッシング(訳注1)する不道徳な会社によって騙され続けている”と BAN の代表ジム・パケット述べた。

 ”香港の廃電子機器解体場で我々の古い電子機器から排出される有害化学物質は、現地の労働者や地域社会を害するだけでなく、立ち返って我々をも害することになる。我々はこの問題を無視する世界で唯一の先進国である。もういいかげんにしよう。そのようなことを止めるべき時だ”。

 報告書に示すように、BAN は特に次のことを見つけた。
  • アメリカのリサイクル業者に引き渡された152の電子機器のうち40%が海外、大部分が中国に行った。
  • 輸出されたもののうち 96%が国際法又はアメリカ国内法に違反している。
  • アメリカの電子廃棄物輸出の93%が発展途上国に向けられている。
  • 75の会社が電子廃棄物の輸出の取引に関わっている。
  • 輸出に関わった多くのリサイクル業者がウェブ上では輸出をしていないと主張している。
  • ”R2”認証(訳注2)されたリサイクル業者は平均より高い割合で輸出をしており、e-Stewards 認証(訳注3)リサイクル業者は平均よりも低い割合で輸出をした。
  • 香港の廃電子機器解体場は労働者や環境を水銀のような有害物質に暴露させている。
 追跡された電子機器は、香港(37)、中国本土(11)、台湾(5)、パキスタン(4)、メキシコ(3)、タイ(2)、カナダ(2)、そしてアラブ首長国連邦、トーゴ、ケニア、カンボジア及びドミニカに各1、運ばれた。マサチューセッツ工科大学(MIT)の Sensable City Labs は 205の追跡装置の全ての経路を示す双方向オンライン地図を生成するためにBAN と共同作業を行った。

 BAN の追跡装置のほとんどは、船及びトラックにより新界(New Territories)と呼ばれる香港の半農村地域の 48 の異なる場所に運ばれたことが判明した。BAN は実際に香港に行き、追跡装置が到達した正確な場所を訪れた。彼らは、隠された解体場で、大量のモニター、プリンター、その他の電子機器が毎日、手により解体されており、容易に放出されるプリンターのトナーと水銀蛍光体を防具も防衣もつけない労働者が吸入しているのを見た。

 BAN はまた、リサイクル管理を改善するよう設計された電子機器認証プログラムを調べた。 ”R2”認証プログラムは EPA が主催するマルチステークホールダー・プロセスの結果として作り出された。 この”R2”認証プログラムは、もっと厳格な BAN のイースチュワード(e-Stewards)プログラムより約 5倍の認証リサイクル業者を持っているが、”R2”メンバーは認証されていないリサイクル業者よりさえも高い割合で輸出に関わっていた。BAN のイースチュワード(e-Stewards)標準に認証されたリサイクル業者は最も低い割合で輸出していた。イースチュワード(e-Stewards)標準は、産業界指導者らと一緒に BAN により作り出されたもので、完全に国際法と一貫性を持たせるよう設計されており、標準への準拠を確認するために追跡技術を用いている唯一の電子機器リサイクルプログラムである。

 BAN の報告書は次の重要な勧告をしている。
  • 世界の環境汚染を守ることについて懸念あるすべての消費者とビジネスは、e-Stewards 認証のリサイクル業者だけを使用すべきである。
  • オバマ大統領は、米政府が電子廃棄物を海外に輸出することを防止する行政命令に署名すべきである。他のだれでもこの要請に署名できる
  • 製造者、政府及びリサイクル業者は、彼らの有害な電子廃棄物の全てをどこに送ったのかについて完全な透明性を約束すべきである。
 香港政府は、有害電子廃棄物の全ての輸入を禁止し、新界(New Territories)の非公式な解体場を閉鎖すべきである。

 報告書は下記からダウンロードできる。


訳注1: グリーンウォッシング
訳注2: R2 認証
Responsible Recycling (R2) Certification

訳注3: e-Stewards 認証
バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)イースチュワード(e-Stewards)認証

訳注:関連情報
BAN プレスリリース 2016年5月9日 グッドウィルとデルはアメリカの有害電子廃棄物を発展途上国に輸出していることを明らかにされる


化学物質問題市民研究会
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