challenge.8

ゲーム中でもリアルでも
親孝行をプレイせよ

今月のテキスト
『新「親孝行」術』みうらじゅん 宝島社新書/720円
みうらじゅんが親孝行の正しいスタイルとして「親孝行とはプレイである」と宣言。親の前では自慢話をしろ、父親の行きつけの寿司屋で子供っぽい発言をして大将に怒られろ、旅行には友を連れて行け、など、目からウロコの提言の数々に3人とも心酔の模様。さてゲ−ム化するとどうなる?

 

 

 


 

 

 

飯田 久々に、みうらじゅんって凄いと思った。
「孫を見せるだけで充分とは思ってませんか?」
という問いかけにドキッとしました。
それで充足していた自分が恥ずかしい。

米光「親孝行はプレイである」
という設定を打ち出したことが素晴らしい。

麻野 親孝行界のスーパースターが
えなりかずきというのには笑った。
エナリストになり「親コーラー」になれよと。

米光 写真のセレクトもみうらじゅんらしい。
新書という枠を利用した作りが笑える。

飯田
 帰省すると母親が買っていがちなハイテク家電として
57Pに載ってる電気ポット、ウチにホントにあるんでウケました。
オレがビックカメラで買ったんだけど(笑)。

麻野 関西のオカンってのも、これはホントにおるんですわ。
みうらじゅんのオカンは「わたしも板東英二になれた」
と言ったとありますが、
オレの友だちのオカンは、
フレディ・マーキュリーがテレビに出てるのを見て
「わたしもこんなんになりたかった」(笑)、
腰抜けそうになりました。
この本に出てくる親孝行プレイで、
これはできるなっていうのとこれは無理っていうのなかったですか?

米光 あったっすよ。
親と旅行で、夜中に親の部屋に行って、
川の字に寝るっていうのはできないですね。

麻野 帰省した時に
嫁さんに自分をほめさせるっていうのも相当難しいと思う。
でも、そのために嫁に2万円渡しておくっていうのが凄い。

飯田
 そうそう、ちゃんと適正なギャラが提示されるところがうまい。
ちょっと足すとコートが買える値段という。

米光
 あと、自分の親との旅行に友だちを連れて行くっていうのはできる?
 読むと面白そうだけど。

麻野
 あれはねえ! どっちがイヤですか? 
自分の親の旅行に友だち連れていくのと、
友だちの親の旅行に自分がついていくのと。

飯田 ……ついて行くほうがまだいい。

米光 まだ、プレイとして割り切れるよね。
逆はなあ……。

麻野 オレは人によってはできるかな。

米光 じゃあ、連れてってくれる?(笑)

麻野 うわっ! 米光さんや飯田さんがウチの親といっしょに
…… おたがいまだ知らん部分も多いしなあ。
中学の友だちとかなら、
子供時代の気持ちに戻ってなんとかなるかも知れんけど。

飯田
 本当は、親孝行をプレイとして意識化するというのは、
オレらの世代、せいぜい20代後半から40代前半までにしか
通用しないかもしれませんね。
小さい判型の『宝島』を知ってたり、
『ビックリハウス』を楽しみにしてた世代ならわかる。
自分のほめ代に2万円というのも
「VOW」の投稿みたいな感覚だから。

麻野 
ゲーム感覚だよね。

米光 実は大切な感覚ですよ。
一歩ひいて客観視できないと生まれないものだから。
これがあるおかげで、救われる事態も多いはず。
プレイだと思えば
親孝行でも何でもできるっていうのはまさにそうで。

飯田 思いがけず、ゲーム世代のよさを再確認できた本でもあると。
ゲーム化するのなら、
ルールブックとして内容に沿って素直につくりたいね。

麻野 まあ、ロールプレイングゲームですよね。
帰省したところから始まって、
本にはスキヤキをする場合の席順が示されてるけど、
バーベキューだったらどうだ? とか。
あとレベルがあがると国際結婚の場合の親孝行とか、どんどん複雑になっていく。
いかなる状況でも
精神がプレイであれば正しい親孝行が導けるはずだという信念の下に。

飯田「チャーリーズエンジェル」形式でもおもしろい。

米光「次のミッションは友だちと旅行だ!」。
間違った行動をするとどうなるのかな?

飯田 親孝行学会から破門される。
ゲームを発売する前に、まず親孝行学会をつくったほうがいいですね、
NAMみたいに(笑)。

米光 あ、現実にね。
で、ゲームも親孝行学会から出したらいいんだ。
ハードはどうする? 
みうらじゅん的に、あえてドリキャス?(笑)

麻野 パソコンがいいよ。

飯田 孫と密着プレイできるような
小さいVAIOにゲームをバンドルしましょう。

米光 親孝行VAIOね。
購入するところからプレイは始まっている。
ゲームは自分用だけど、パソコンは親にあげろと。

麻野 買った時点で親孝行学会員になるから、
義務としてリアルな自分の親孝行も学会に報告する。
定期会合もある。

米光
 凄いね、
ゲーム世界と現実世界の二重生活だ。

麻野 
年に一度は表彰式もあって、
みうらじゅん代表からお褒めの言葉と、
賞品として肩たたき券をいただける。
脱会はいつするんだろう?

飯田 レベルが上がって親孝行マスターになれば
卒業っでいいんじゃないですかね?

麻野 同時に講師の資格を得て、
大阪支部とか作ってネズミ講的に展開していく。

飯田 脱税して
「親孝行学会からついに逮捕者!」(笑)。

米光 いいね。
逮捕されると究極のプレイが始まるし。

麻野 そうか、
親しか味方がいないという状況か!

飯田 だから、学会員たちはみんなわざと指弾するんですよ。
「お前なんか人非人だ」。

麻野 全員が敵という中で、
母親だけが差し入れを持ってくる。
まさに人生を棒に振っての親孝行プレイだ。

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『鳩よ!』2002/2月号掲載 

 

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