challenge.6

幸せが、常に向うから
転がり込んでくるゲームとは?

今月のテキスト
『PLATONIC SEX』飯島愛・小学館/476円
タレント飯島愛が不良時代、ホステス、AV女優時代を赤裸々に綴って少女達を中心に圧倒的な支持を得る。ドラマ化、映画化と未だに話題は尽きない100万部突破の大ベストセラーのゲーム化に挑戦。

 

 

 


 

 

飯田 許せねえと思ったのは、
不良時代やAV時代のかつての仲間たちへの愛情が
ひとかけらもないところ。
“私はセックス(本番)をしていない” って書き方に
「何よそれ!」
ってオレの中のAV女優がすごい怒った。
それは黒木香なんですけど(笑)。

麻野 実はたいして苦労していないんだよね。
彼氏にフられたとか
そういうの誰でも経験していることだし。

飯田 親に折檻されてたわけでもないしね。
しかし、
イジリー岡田のイの字も出てこないのは不愉快だよなあ。

米光 ゲームにしにくい内容。
ゲームってある程度の努力とか知恵をつかって
達成感を得させるものだから。

麻野 常に幸せは向こうから転がり込んでくるという設定で、
努力や知恵はつかっちゃダメ。
常に待ち受け状態であると。
うーん、どうしよう。

飯田 とりあえず
ジョブチェンジシステムは導入しようよ。

麻野 それはいいね。
「シンナー吸い」から始まって
「六本木のホステス」「AV女優」……八個くらいあるか。

米光「シンナ−吸い」! 
いいジョブだなあ。

麻野 そうすると
「すごろく」みたいなのがいいのかなあ。
幸も不幸も同じくらいのインパクトで、
どこに止まっても大差なさそうだし。

米光 すごろくは言い得て妙。
そうなんだよね、
止まって金入った、止まって悲しいことがあった。
ホステスになった。

飯田
 二個戻って男が出来た。
飯島愛の「人生ゲーム」だ。

米光 いいね。
ルーレットを回して進んで
「にわかベストセラ−作家」という上がりをめざす。
TVゲームじゃなくて、
ボードゲームでわいわいやると盛り上がりそう。
面白いんじゃない?

麻野
 ボードの場合は
対象年齢を書かなきゃならないから
、しっかりR-18にして。

飯田 おおー!『バトルロワイヤル』方式だ(笑)。 
売れちゃうんじゃない? 

麻野 ジョブチェンジの枠に止まると
持ちゴマが変わって。

飯田 着せかえ式の服装カードもあって、
ナンパの枠に止まるとイベント発生。
いい服装だとスカウト、ジャージ着てたりすると
上九一色村に連れて行かれて1回休み(笑)。

麻野 彼氏が蒸発して一回休み、
お気に入りの服を質に入れて一回休み。

米光 父親に怒られて
有島武郎の本を1冊写して1回休み。

麻野
 全体にあんまりめげないんだけど、
人生のキーポイントになってる
「石川さん」の御葬式は結構ダメージが大きくて三回休み。
罰ゲームの要素も欲しいね。
ここに止まると、生卵でつくったニセ精液を飲まなきゃならない、
「愛ちん、寂しいよー」って言わなきゃなんないとか。
王様ゲームみたいでオヤジにウケそう。

飯田 カラオケボックスにあるといいね。

米光 酔っぱらいにはちょうどいい。

麻野「サイコロを10個振って進む」
とかバブリーな展開もあると面白い。

飯田 プラスティックじゃなくて、シルバーでね。
あ、ティファニーにデザインしてもらう? 限定で。

麻野 ボードの回りに
フカフカのファーも付いてる(笑)。

飯田 MA-1も付けちゃおう。
なぜか文中に何度も出て来て気になる存在だから。
プレイヤーは必ず着用すること。

米光 いったいいくらで売るんだよ! 
若い子が欲しいんだから
二、三千円にしようよ。

麻野 基本セットは安いんだよ。
ファーもバブリーサイコロもオプションとして売る。
カツラやら整形グッズやら後から後からどんどん出すよー。

飯田 ああ、それだ、小学館から出せばいいのに。
女のコ向け雑誌の付録にしてもいいし。
なんかこのゲームのこと考えてたら
飯島愛のこと好きになってきたな。
オレの中の香はおとなしくなったようです(笑)。

米光 あまりブラックにせず、
いいところに落とせば男女楽しめるいいゲームになるよね。
特に女のコは飯島愛に感情移入できて楽しいだろうし。

麻野 オレ、この本でショックだったのは
飯島愛の弟がエロ本買ってきて「これ……ねえちゃん?」って気付くところ。
じぶんの妹に置き換えて考えたらクラクラした。
家族がエロ本に出てるってのはどうなんだろうか。

飯田 家族から電話があると
飯島愛は「やばい、見つかっちゃった」で一回休みなんだけど、
家族の方はショックで五回くらい休んじゃうよね。

麻野 えーっ、家族の役もあるの!? 
オレは絶対愛ちゃん役がいいな。
おかあさんなんか辛くてやってられないよ。

飯田
 娘が警察に呼ばれて五回休み。
ボードを裏返すと
飯島愛の家族の人生ゲームになっててもいいかもね。

麻野 やりたい放題を極めたら、
家族の気持ちも味わえと。

飯田
 優雅に泳いでる白鳥が
水面下ではものすごいバタバタしてるのと同じように、
愛ちゃんの下で家族は……(笑)

米光
 なっかなか進まないゲームだろうなあ。
しかし、人生ゲーム的割りきりがとてもよく似合う本だよね。

麻野
 いい! オレ、マジでつくりたい。

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『鳩よ!』2001/12月号掲載 

 

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