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創刊号
(2000年9月7日発行)




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開会のことば


弁護士 工藤 昇



 神奈川県警の覚せい剤もみ消し事件以来、全国で噴き出すように明るみにでた一連の「警察不祥事」は、ほんの数ヶ月の間に、国民の警察に対する信頼を根底から打ち砕いてしまいました。犯罪から身を守るために、私たちがもっとも便りにしてきた警察が、どうにも当てにならないことをしているということが明らかになってきた今、警察と市民の関係のあり方が、大きく変わろうとしております。こうした中で「警察見張番」は、市民が自らの手で警察という一種のブラックボックスを監視し、市民のための警察を作っていこうという試みであります。

 総じて言えば、日本の警察は、はやり優秀なのだと思います。弁護士は、警察官、特に現場の刑事さん、お巡りさんたちが、本当にハードな仕事をしておられる様子を、日々目の当たりにしております。一連の「不祥事」が明らかになった後の今でも、警察官の大半は、みな真面目に職務に励み、文字通り命を投げ出してでも市民に奉仕しようとされていることを信じております。多くの市民も同じ思いなのではないかと思っております。

 しかし、一連の「不祥事」は、私たちに、改めてひとつの歴史的事実を痛烈に思い起こさせました。監視されない権力は、必ず腐る、という事実です。このことは、個々の警察官の能力や真面目さとは関係のない、権力機構特有の病であり、歴史の必然であります。「不祥事」が起きると、警察幹部は必ずと言っていいほど、個人の資質の問題だと弁解します。悪いのは、「不祥事」を犯した警察官個人だというわけです。しかし、私たちは、そうは考えません。「不祥事」は、監視されることのなかった警察という組織が陥った病の、ほんの一つの症状にすぎません。「不祥事」にばかり目がいきがちですが、「不祥事」は、まだ目に見えるところに出てきているだけに、市民にはわかりやすいとも言えるでしょう。病根は、もっと根深いところに貼り巡っていて、今なんとかしなければ、大変なことになってしまうのではないでしょうか。

 神奈川県警の覚せい剤もみ消し事件は、聞くところによると、「県警内部の人事に対して不満をもつ人のリークによって明るみに出た可能性がある」ということです。ことの真相は分かりませんが、「不祥事」そのものもさることながら、警察内部の軋轢でもない限り、このような大事件が、我々の目に触れないまま埋もれてしまった可能性があるということの方が、よほど重大だと言えるでしょう。

 言うまでもないことですが、警察官は、公僕であり、警察の主・主人公は、あくまで私たち市民です。とすると、警察の病に対して、私たち市民も、やはり、主人として、ある程度の責任を果たすべきなのではないでしょうか。警察で何が行われているのか、これを知ることが、私たちが果たすべき責任の第一歩ではないでしょうか。

 神奈川県は、すでに警察情報の公開を決めていますし、警察刷新会議は、警察情報公開の必要性を指摘しています。市民が警察の主人になれるかどうか、今が正念場と言えるでしょう。「警察見張番」は、市民のための警察を実現するための、市民による手作りの運動です。多くの方がこの「見張番」に参加していただき、また、「見張番」を利用して、真に私たち市民のための警察を作っていくという思いを共有していただければ幸いです。 

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