待ち合わせの場所には、集合時間の5分前だというのにワタル以外誰も見当たらなかった。

 「まだ誰も来てないのか?」
 「どうせ集合時間5分後だよ。」
ワタルの答えにおれは頷いた。
 「だよな。そういや今日は誰が来るんだ?おれ聞いてないけど・・・」
 「俺も知らねー。どーせみんな暇してるからかなり来るんじゃない?ところでさ、お前何ごちしてくれるの?」
おれは考え込んだ。おれ、ワタルにおごってやるなんて言ったか?

 「おれ、お前におごるなんて言ったか?」
 「ああ!年末に多額のバイト料が入ったから・・・・」
その時、誰かがおれの首をつかんでいきなり背中に飛び乗った。

 「今日は勇のおごりだぞ!と、メールが着た。」
 「望ちゃん!く、首が絞まる!離せ。おい降りろって!」
 「勇!俺うれしい!がんばっていっぱい食べるぞ。」
 「何言ってんだよ!望ちゃんががんばって食べたら・・・そうじゃなくて!誰だよ?そんなもん送った奴は!」
 「佐々木だよ。おっと!おおい佐々木!こっち!!」
望はおれの背中に乗っかかったままで手を振った。

 「よう!3人とも早いな。勇、今日は全部で11人な。」
佐々木は、おれ達の所までやって来ると言った。
 「11人って・・・家がこっちの奴全員じゃないか!どういうことだよ!」
佐々木はおれの肩にポンと片手を置いた。

 「喜びも苦しみも悲しみも5年も共にしたんだぞ。クラスみんなで分け合うのが義務じゃないか!・・・で!そこにATMあるからさ。俺って気がきくだろう?そこまで考えてここを待ち合わせ場所にした。」
空いてる方の手で指し示しながら佐々木は言った。

 「何言ってんだお前は!おれは義務じゃなくて!権利を主張するからな!」
おれは叫んだ!
 「ああそうだ、残りの奴は3学期でいいってさ。」
 「佐々木!いっとくがおれは絶対に!おごらないからな!おい!聞いてるのか!」
 「おー来た来た。1・2・3・4・5・6・7、ここにいるのが・・・4人。よし!これで全員来たな。じゃあ今日はよろしく頼むな!あっそうだ!予定はこれから何か食べて初詣のあとカラオケな。心配するな。ファミレスとカラオケは予約済みだ。」
佐々木はおれの言葉を無視してそう言った。

 「これ誰が入れた!」「望ちゃん〜おまえだろう?」
 「マイク貸して!俺一人で歌うからさ、ジャマしたら蹴るよ!ほら!そっちのマイクの音消して!」

モニターの画面に映しだされた海の風景をぼんやりと眺めていたおれは不意に声を掛けられた。
 「どうした?勇、お前・・・全然飲んでないじゃん。おーい!オーナーにチューハイ!」
 「あっ!バカ!そんなもん頼むな!!沖〜!この前B組の奴ら飲酒見つかって10日間の停学になったの忘れたか!」
 「あれは飲みすぎ!救急車呼ぶ一歩手前まで飲むからだっつーの。」
 「それに今はまだ松の内。」「松の内って?」「何してもいい日!」「へえー、無駄知識?」「じょーしき!」
 「うぜってー!そんなのどうでもいいじゃん!それより次飲むもん頼もーぜ。」
 「あっおれフィズね。」「おれビール!」「カンパリ。」「オレもそれ!」

 「バカヤロー!山口!止めろ。正月は特別料金なんだぞ!おれはもう金持ってない!自腹だぞ、分かったか!おい!ツバサ!お前もだ!」
 「ドリンクフリー!心配するなって!」
 「おれは払わないからな!絶対だからな!自腹だからな!自腹!分かってるのか!おい!聞いてるのか!」
 「まあまあ、落ち着つけ!!落ち着いたら・・・まずこれを飲め。全部飲んだら話を聞く。ほら!」

木村がおれにチューハイを差し出した。
おれは少しの間それを見て、仕方なく一気に飲むと木村を見た。

 「よし、いいぞ!何でも聞いてやる。勇、言って見ろ。」
 「いいか?さっきファミレスへ行く前にATMで引き出した金は全部使った!財布にはもう交通費しか残ってない。おみくじも引けなかったんだぞ!!ここの支払いは!誰かに借りないと払えないんだ!!だから飲むんなら自腹で・・・」
 「なんだ、そんなこと心配してたのか!」
木村は呆れたように言った。
 「心配するなって!今コンビニのATMで佐々木が現金おろしてるからさ。おまえのキャッシュカードで。」

沖の言葉に、おれは慌てて財布を出して中を見ると・・・キャッシュカードが無い!
・・・いつの間に!佐々木の奴!!!
 「おれのだぞ!」
 「まあいいじゃん。」
 「よくない!」
 「でももう佐々木行っちゃったしおろしちゃったぜ。」
 「おろせるか!暗証番号教えてないから問題なし!」

その時、目の前に1万円札がピラピラと、1・2・3・4・・・4万円?
持ってる人物を見ると、佐々木・・・まさか?

 「お前その金・・・」
 「ダメ、ダメ!問題あーり!」
佐々木はそういいながらおれの前にキャッシュカードを差し出した。

 「どうやって・・・お前何やったんだ!」
 「0826なんて!俺マジムカついたぞ!色々考えてたのに、ダメもとで一番最初に入れたらビンゴだぜ?俺が強盗ならお前一文無しじゃん。」
 「誕生日が一番覚えやすいんだよ!ああ畜生!強盗はお前だろうが!!」
 「ま!そんなもんさ。最近物騒だし?金持って歩いてると強盗にあうから使っちゃうのが一番だ!おーい!会計!山口!これ勇から。ここの支払い、それから俺ビールね!」

 「あっ!おい!それはおれの金!!!」
 「やった!勇、感謝!」
佐々木からおれの金を受け取ると山口はおれに言った。
 「山口!返せ!それはおれの・・・・」

 「おい!マイク貸してくれ!それからちょっと曲止めろ!」
山口は余ってるマイクを受け取ると歌ってる奴に言った。
 「おーい!注目!注目!たった今、大木君からなんと!4万円という多額の寄付がありました。みんな勇に拍手!」
そこらじゅうから拍手と歓声が上がる。

 「おい聞け!おれはもう払わない!その金はおれの・・・・」
拍手と歓声がデカくなる!おれの声なんて聞こえてない。いや聞こえないふりか?ムカつく!こいつら・・・
 「山口!マイク貸せ!」
おれがそういうと山口はうんうんと頷いた。

 「おーい!聞いてくれ!これから勇からみんなに一言挨拶があるそうです!もう一度!本日のオーナーに盛大な拍手!」
拍手と歓声。それからやっと山口はおれにマイクを向けた。
こいつらは、こいつらは・・・・
おれはマイクに向かって叫んだ。

 「警察に通報してやる!この強盗窃盗団が!」

歓声が上がる。
 「今頃気づいたのか?」
 「どうした?お前トロいぞ!冬休みボケ?」
 「でも通報はマズイ!未成年飲酒の罪でお前も一緒に捕まるからな!」
 「そうそう!」
 「転がり込んだ金はみんなで全部!きれいさっぱり強盗窃盗団が使い切ってやる!!」
言わせておけばいい気になりやがって!何が“転がり込んだ”だ!おれは山口からマイクをひったくった。

 「いい加減にしろ!大変だったんだぞ!どれだけおれが・・・・」

どれだけおれが・・・・
違う!おれは大変じゃない。
少しも大変じゃなかった!大変なのは・・・おれじゃない。

「お前、やっぱ振られたな?」

その声は、マイクのエコーがかかって部屋中に響いた。
辺りが静まり返った。

 「望ちゃん・・・お前って奴はもう!」 「どうしてそう単刀直入に・・・」 「それよりマイク取り上げた方がいいんじゃない?」

「はっきり聞いた方がいい!振られたんだろ!」

 「エコー切れ!」 「無駄、無駄!」 「もう、このまま好きにやらせろ。」 「こうなったら誰も止められないって!」

望はおれをまっすぐ見て近づいてきた。
みんな・・・くそ!!何が振られただ!おれの気持ちなんて誰にもわかりゃしないんだ!
おれはマイクに叫んだ。

 「それがどうした!お前らに何の関係がある!」

言った途端、おれは望にボディブローを食らわされた。
それを合図に、そこらじゅうから手が出てきてバシバシと背中も頭もめいっぱい叩かれた。
それらを何とか払いのけておれは叫んだ。

 「止めろ!」

何も知らないくせに!何も分かってないくせに!
 「そんなに楽しいか?そんなに面白いか!!おれが・・・・」
おれがどんなに・・・・

「注目!!俺はこの前、背が低いからヤダって振られちゃいました!もう女なんか!女なんかいらねーよ!」

望ちゃんが叫んだ。
 「よく言った!望ちゃん!」「男の中の男!」「偉いぞ〜」
望ちゃんのマイクを取ると今度はワタルが叫んだ。

「勇!オレなんて彼女いない歴17年だぞ!告るたびに “ごめんなさい” だ!」

 「ワタル!ある意味すごいぞ」 「それでも諦めない!おまえは勇者だ!」
マイクが順番に渡っていく・・・

「勇!俺達がいるぞ!!」

「とにかく!さっさと忘れちまえばいいんだよ!」

「そうそう!」

「お前の良さを分からん奴なんかこちらからフッてやれ!」

「勇、俺達がついてるぞ!」

他の奴も、みんな・・・・
 「ほれ!これ飲め!一気にいこうか、勇!」
 「おれ・・・」
 「ほら!早く!」

木村がおれに声をかけた。
おれはグラスの中身を一気に飲み干した。
歓声が上がる。

 「佐々木がさ、年末会ったんだろう?お前の様子が変だったってさ。それでさ、みんなで騒ごうって!」
山口が言った。
佐々木お前・・・

 「お前さ、スゲー楽しそうに板倉さんから引き受けたバイトしてたじゃん。それが終わってあの様子じゃあな。誰でも分かるぜ?」
佐々木は当然だろう?という風に言ってビールを飲んだ。
 「おれ・・・そんなに楽しそうだった?」

 「ああ!」 「もうバレバレ。」 「初めっからそうだったぜ。」

 「初めから?」
 「お前さあ、分からないとでも思ったか?俺ら5年も一緒に生活してきたんだぞ?」
 「勇は隠すの上手いし、お前をよく知らない人間なら分かんないかもしれないけど!」
 「でも、おれ等は無理でしょう。」

皆口々に言った。
 「おれ、そんなに楽しそうだった?」
皆一斉に頷いた。
おれ、初めからオスカルを・・・おれってほんとに馬鹿だ。どうして・・・

 「勇?おい勇?」
 「・・・・振られる以前。めちゃくちゃ・・・嫌われた。口も聞いて・・・」
そこらじゅうから手が出てきて、またしてもバシバシとそこらじゅう叩かれた。
 「苦しみも悲しみも5年も共にしたんだぞ。嫌な事はクラスみんなで分け合うのが義務だぞ!」
 「勇が世界中の女に嫌われても俺達だけは見捨てないからな!」
 「ほら!それ飲んで歌うぞ!」

おれの前に新しいグラスが差し出された。
おれはグラスの中身を一気に飲み干した。

 「青山!なんかみんなで歌えるやつ入れてくれ!」
 「それじゃスゲーやつ入れるぞ。聞いて驚くなよ。」
青山は番号を入力した。
 「おい!青ちゃん何入れたの?」
 「ハイ・ホー」
 「なんじゃそりゃ?」
 「白雪姫!来月の3年生を送る会でする寸劇の曲!ちょうど小人も白雪姫もそろってる!では!姫!まず前へ!」
おれは前へ連れて行かれた。

 「なあ、これってミスキャストだぜ。やっぱ姫って望ちゃんみたいにかわいくないと・・・・」
 「勇〜俺のどこがかわいいって?今度は殴らずに蹴るよ。」
 「い、いやそれはいい。でもおれじゃ・・・」
 「姫がデカくなきゃ小人が小人じゃなくなる!この役はお前しかいないだろうが?」
 「そうだ勇、お前絶対髪切るなよ。もう少し伸ばせばカツラ無しでいけるぞ!」
 「えー!切るぞもう。ウザいもん。」
 「ゴムで縛っとけよ。分かったな。」
 「はいはい!分かりました。」
 「ほら!始まるぞ」

 「人違いよ!」

冴子の言葉に、3人は顔を見合わせると代表して佐々木が答えた。
 「でも、勇は冴子さんの・・・・」
 「だから言ったでしょう?人違いだって!うちで飲めるのは私だけであとは未成年!しかいないの。だから!あんた達が担いでるその酔っ払いは!うちの子じゃないわよ。分かる?未成年君達。」
今度は木村が答えた。

 「えー、でもですね。もう少ししたら酔っ払いではなくなるので・・・その、入れてもらえませんか?冴子さん。もうちょっと重いし。」
 「あら?それじゃあ酔いが醒めるまでそこら辺に転がしといて頂戴。」
 「いくらなんでも真冬だし、凍死しちゃうかも・・・・」
 「大丈夫よ。眠らないように時々叩き起こしに来てあげるから。」
 「でも、もう眠ってるし、無理じゃないすか。」
 「だから今から叩き起こすのよ!」

 「おばさん!勇を苛めないでやって!」
 「おばさん?」
 「いえ・・・冴子さん、お願いします。その、あなたの息子さんにも色々辛い事がありまして・・・飲まずにいられない事もある、分かってください!」
 「初耳だわ。でも!未成年だから、飲むならやっぱりジュースじゃない?望君。」
 「でも!それくらい辛かったんだよ!だから苛めないで許してやって!おばさん。」
望は冴子に睨まれたので慌てて言い直した。
 「じゃなくて冴子さん。」
 「それじゃあ!まるで私がいつも自分の息子を苛めているみたいに聞こえない?」
 「だってそうでしょ?いつも楽しそうじゃん、お・・・冴子さん。」

 「すみません。こいつまだ子供だからその辺が分からないので。愛ゆえにって事はよくわかりますよ。冴子さん。そりゃもう!」
 「流石、佐々木君は分かってるわねえ。で?なんなの、その辛い事って?」

3人は顔を見合わせてそれから頷いて・・・ここに来るまでにしてきた打ち合わせ通りに言った。
 「こいつ生まれて初めて本当に!失恋したんです。ここは一つ暖かく見守っていただきたいのですが・・・・」

冴子は部屋のドアを開けるとベッドの布団をめくった。
3人はそこに抱えていた勇を寝かせると4人がかりでコートだけ脱がせて、冴子は布団を掛けた。

 「年末に帰って来て様子がおかしかったのは分かったけど・・・まさか失恋とはね。それにしてもあんた達は正月早々!他の子は大丈夫だったの?」
 「ええ、それは大丈夫です。言い訳になるかもしれないけど、勇もむちゃくちゃ飲ませてませんよ。いつも飲む時よりちょっと多かっただけで・・・まあ多分明日は二日酔いだと思うけど、注意はしてましたから。」
佐々木の言葉に冴子は呆れ顔をして言った。

 「佐々木君、あんたねえ・・・いつも飲むよりってなんなのそれは!」
 「嘘ついても仕方ないでしょう?いつもっていっても、年に3回あるかないかですよ。寮生活ではそれ以上は無理ですから。」
佐々木は悪びれる様子もなく答えた。

 「まったく!まあ素直に白状したから・・・今回だけは見逃す事にするわ。でも次はないわよ。すぐに学校に通報よ?いいわね。」
 「ありがとうございます。」
そういって3人は頭を下げた。

 「お説教はここまで。木村君、佐々木君、それと望君、3人とも悪かったわね。ありがとう、勇を連れてきてくれて。重かったでしょう。」
 「いや、俺達3人だから大丈夫だよ、冴子さん。」
 「望ちゃん、お前担いでないだろう?」
 「仕方ないじゃん、俺、背低いし。」
 「とにかく、家へ帰る方向も一緒だからいいですよ。」
 「そうそう!それよりも冴子さん!」
望は冴子を真剣な表情で見つめた。

 「分かってるわよ。それにしてもまあ・・・少しは安心したわ。」
くすりと冴子は笑った。それから彼らに尋ねた。
 「相手がどんな子かぐらいは、私にも教えてくれるわね?」
それを聞いて3人は顔を見合わせると代表で佐々木が答えた。

 「今までとは・・・かなり違いますよ。」
 「ちっちゃくて、かわいい子感じの子ではないのは分かるわよ。でも気は強いわね。」
 「・・・そうみたいです。」
 「会った事ないの?」
不思議そうに冴子は尋ねた。
 「ええ、板倉先輩から頼まれたバイト先のお嬢様だってことしか知らなくて・・・詳しい話は、今日初めて聞きました。」

 「この子なかなか言わないからね・・・それもあって飲ませたのね?」
冴子は苦笑した。
 「ええまあ。いいやり方じゃないけれど年末会った時、思いつめている感じがして・・・ちょっと心配で。」
佐々木は答えた。

 「とにかく!もうめちゃくちゃ好きだったらしくて。でも・・・」
 「告白して振られたのね。それとも他に好きな男の子ができたとか。」
 「いや〜それ以前にケンカして嫌われちゃったみたいで・・・もう二度と会いたくないって言われて、それっきり口も聞いてくれなかったそうです。」
 「その上、やっぱ他に好きな男もいるみたいで、もうどうにもならないって・・・」
 「馬鹿ねえ。めげずに再度アタックすればいいのに・・・・」

 「でも、身分違いですから難しかったかも。いえ、相手はなんといっても大富豪のおじょーさまですから。」
木村の言葉に冴子は思わず苦笑した。
 「やだわ!身分違いなんて。まったく懲りもせずにもう。それにしても大富豪というのはすごいわね。どんな家のお嬢様なの?」
 「板倉さんから聞いたのですが、フランスの貴族の跡取り娘で英国王室の血も引いている正真正銘のお姫様だそうです。」
それを聞いて冴子は驚いて叫んだ。
 「ちょっと待って!それってまさか・・・その子は日本人じゃないの?」
3人は頷いた。

 「俺達も・・・とうとうそう来たか。と、その・・・」
佐々木は言いよどんだ。
 「でも!あそこまで潔くみんなにカミングアウトしたのは、俺偉いと思うな。本当は振られた子みたいな外人じゃないと少しも・・・」
木村が慌てて続けた。
 「混じりっけ無し!100%外人さんです!背が高くて、フランス人で金髪の青い目の気の強そうなスゲー美少女だそうです!」
冴子はそれを聞いて思わず額に手をやった。

 「いつかそっちへ走るだろうとは思ってたけど。ああ、まったくもう、この子は!」
冴子はベットで眠る息子を呆れたように見つめた。
 「勇の外人好きは・・・その様子からするとなんとなく分かっていたようですね。」
佐々木は言った。

 「ええ、よーく分かっていたわよ。“フランス人で金髪の青い目の気の強そうな美少女”なんて!やはり少しでも似ている方がいいのね。もうここまで来ると執念ね。こりゃもう笑うしかないわね!」
不思議そうな3人に冴子は声を掛けた。
 「さて!酔っ払いは放っておいて・・・3人ともお腹空いてない?おせちも、他にも色々あるから食べていってね。」