4.買物

私は自炊していたので毎週木曜日の夜にはスーパーマーケット、金曜日の休日の朝には郊外のスーク(市場)に買物に行くのが習慣でした。スーパーマーケットは欧米人や出稼ぎの労働者も大勢来ており、周辺にはスナックや電気製品、衣料品等も売っているショッピングモールで、かなり賑わっていました。低所得の出稼ぎ労働者には殆ど娯楽施設が無いのでショッピングモールで息抜きをしているようでした。欧米からの輸入品や日本からの輸入品が多く並んでいて、殆ど何でも最新の物が売られていました。ラジカセ、テレビなどは出稼ぎ労働者も結構買っていましたが、これらは自分で使うというよりは帰国するときの土産として買っているのです。サウジでは関税がかからないので、物価は非常に安かったと思います。

日本食の材料も結構売っていましたが、値段は日本の3倍位していました。豚肉は全く売っていないので、ソーセージやハムとしては七面鳥の肉で作ったハムをよく買いました。

野菜や果物は郊外の広場に日除けのテントを張った市場に買いに行きました。ここは一つの店が1坪位のスペースで、ずらっと並んだ野菜や果物専用のマーケットです。欧米人や日本人は殆ど行かず、買物客は現地人が大部分でした。野菜なども勿論輸入品でしたが、買うときはこちらから「キュウリ0.5キロ」等と目方を指定して計り買いします。買う前にはまず値段を聞いて、値切り交渉をします。大抵は値引きしてくれますので、オーケーといって買いますが、値引きしてくれない時は他の店に行きます。この値引き交渉は、安く買うという目的もありますが、値引きの掛け合いが楽しくてレクリエーションも兼ねていました。 売り手はアラブ人で英語などはしゃべれないので、値切るときは「バクシーシ、バクシーシ」と叫びます。「バクシーシ」とは「お布施」のことですが、「おまけ」の意味もあるのです。市場の中には10歳位の子供が台車を持ってたむろしており、客が買った品物を車まで運ぶアルバイトをしていました。

サウジで売っているキュウリはズッキーニと同じくらいの大きさで、ナスも米ナスで日本の物よりはかなり大きいものでした。ナスは灰汁が強く、味噌汁に入れると舌がピリピリする程でしたが、油で炒めたり天婦羅にすると問題ありませんでした。
オクラを売っているのを見つけたときは、こんな物まで売っているかと思いましたが、フィリピン人などもスープに他の野菜と一緒に煮込んだりしていました。現地人も結構買って行きましたし、ヨーロッパでも売っていましたので日本だけの特産物ではありません。サウジでもヨーロッパでも「オクラ」と呼んでいます。オクラは納豆の代わりによく買いました。スイカは楕円体の形をしていましたが、味は日本と変りませんでした。自炊していると殆ど費用がかからないので、特に節約しなくても1日あたり、500円位で生活できたのは大いに助かりました。

ガソリンはリッター約12円で、飲料のミネラルウオーターはその5倍位の値段でした。その他、海水を蒸留して作った、飲用にもなる水がウオーターステーション(ガソリンスタンドのような所)で売られていました。これも毎週20リッター入のポリタンクを持って買いに行き、料理用に使っていました。水道水は豊富に幾らでも出ていましたが、水道水を飲む気にはなりませんでした。

サウジで最も有名なスーク(市場)は金スークです。ジェッダの中心部にあるスークでは、間口が1間くらいのガラス張りの店が50m位の長さの通路の両側にずらっと並び、これが全部金製品を売っているのです。ウインドウには腕輪、ネックレス、ペンダント、指輪などが隙間無く並べられ、それらが燦然と輝き、本当にまばゆいばかりです。このような通路が2列ありました。金製品を買うときはデジタル式の量りで重さをグラム単位で量り、それにその日の相場の価格を乗じて値段を出します。したがって、値段札はついていませんし、デザインも値段には関係ないようです。
誇り高いサウジ政府は金の品質管理には厳しい規制があり、金製品には総て金の含有量を示す刻印が付いていますが、これらを時々抜き打ちでチェックし、違反があると総て没収してしまうという話が新聞に出ていました。












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