5.アラブ料理

アラブ人の主食はホブスと呼ばれている丸くて薄いパンです。高級なホブスは非常に薄く、1枚1枚薄皮を剥がす様にして食べた物もありましたが、普通はピザパイの台のようなものです。ホブスを千切って手に持ち、皿に出される具をそれで掴み取ってサンドイッチ状にして食べます。小さな皿が沢山出てきて、それには野菜を細かく刻んだもの、ひき肉を炒めた物、ナスをすりつぶした物など、10種類位でてきます。これらはハモスと呼ばれ、大抵、酸味が付いていました。

高級なアラブ料理はレバノン料理だということですが、揚げ餃子の様な物や焼肉など、結構おいしく食べました。一般的な大衆料理としては「ケバブ」と言う肉の串焼きがあります。
羊の丸焼きには腹の中に米と刻んだ野菜が入っていて、蒸し焼き状態で、結構美味でした。アラブ人は魚もかなり食べますが、主流は肉で、羊の肉を良く食べます。その他、ヤギの肉、ラクダの肉等を好んで食べます。ラクダは乗用、荷物運びに使うばかりではなく、乳も飲むし肉も食べます。皮も使いますので、アラブ人にとっては無くてはならない動物です。

これらの肉を料理するには香辛料を沢山使うので、アラブ人の体臭は非常に嫌な臭いがします。サウジの空港に着陸して、空港内の連絡バスに乗ると直ぐにこの嫌な臭いがします。アラブ人の車に乗っても家の中に入っても、どこに行ってもこの臭いが付いて回ります。アラブ人独特の臭いです。しかし、1週間もすると嗅覚が麻痺するのか、臭いは気にならなくなります。自分では気付かなかったのですが、帰国して家に入ると直ぐに臭いといわれました。




サウジで最もポピュラーな飲み物は「チャイ」です。これはデミタスカップ程度の大きさの、ガラスのカップに砂糖がたっぷり入った甘い紅茶です。何処に行っても先ず出されるのは熱いチャイでした。サウジの気候に合うのかも知れません。また、黄色い色をしたアラビック・コーヒーはアラブ独特の飾りの付いた真鍮のポットから、お猪口のような小さなカップについでくれますが、それほどおいしいとは思いませんでした。
トルコ・コーヒーは凄く濃くて甘いコーヒーです。これもデミタスカップで飲みますが、粉も一緒に入っているので上澄みだけを飲みます。これと全く同じコーヒーをキプロスやギリシャでも飲みましたが、そちらではグリーク・コーヒーと呼んでいました。(キプロスもギリシャも長いことトルコ帝国に支配されていたのですから、文化的にもメンタリティもアラブと余り変わらないと思いました。)

食事時の飲物はミネラルウォーター、ジュース、コーラ、ノンアルコールのビールなどです。
ノンアルコールのビールは味が良くないので、私は大抵「サウジ・シャンペン」と呼ばれる飲物を注文していました。これはりんごジュースを炭酸水で割ったもので、中々美味でした。色も舌触りもシャンペンそっくりです。

その他、アラブ人はテレビを見ながら乾燥したカボチャの種、松の実などをつまみ、ニッキの棒をしゃぶっています。びっくりしたのは鉛筆ぐらいの太さの棒を歯磨代りに使っている事でした。この棒は先が柔らかくなっていて、それで歯を擦って磨くのです。薬効成分も含まれているのです。私は塩味の付いたカボチャの種が病み付きになり、自分でも買って食べました。1粒1粒噛んで殻を割って中の実を食べますが、手間が掛るので食べ過ぎなくて良いのです。


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