10.服装

アラブの女性は何時もアバーヤ(黒いレース)で全身を覆っています。サウジに向かう飛行機の中では着陸態勢に入るといつの間にかに周りにいた女性たちはアバーヤに身を包み、誰だか判らなくなります。離陸後は逆にアバーヤを脱ぐため、機内が急に華やいできます。飛行機に乗るような女性は、アバーヤの下には最新流行の洋服を着ているのです。

アクセサリーは金製品が主流で、幅の広いブレスレットやネックレス、指輪、ピアス等、ありったけの物を全部身に付けているような感じです。身なりの貧しそうな女性でも金製品を沢山身につけているので、全財産を何時も持ち歩いているようなものです。小さな幼児でも金のピアスをしていました。

サウジの金持ちは持ち物を褒められると、それを欲しがっていると解釈して直ぐに呉れるそうです。従って、奥さんを褒めることは絶対にするなと忠告されましたので、私はアラブ人の持ち物を褒めないようにしていました。

ジェッダやアル・コバール等では外国人が多く、開放的な感じですので顔まで隠している女性は余りいませんでしたし、外国人の女性はアバーヤを被らなくても問題ありませんでしたが、国王のお膝元のリヤドでは事情が違います。外国人でも女性は総てアバーヤで顔まで隠さなければなりません。アバーヤを着けずに外出した白人女性が捕らえられて丸坊主にされたという話を聞きました。

スーダン人のプレイボーイの友人は、ガールハントは実に簡単で、町で歩いている女性を誘えば直ぐに車に乗ってくると言っていました。車に乗せてしまえばアバーヤを被っているので誰だか判らなくなるから何処でも行ける、但し、欧米人や日本人の顔だと直ぐに疑われるから止めておけとの忠告でした。

男性の服装は「ソーブ」と呼ばれる白いワンピースが主流です。ソーブの下はランニングシャツです。日本人はこれを「オバQ」と呼んでいました。頭には白又は赤い市松模様の様なスカーフを被り、直径15 cm位の黒い二重にした輪で押えます。砂嵐の時にはこれで顔を保護し、日中の熱い時は顔の周りに空気層を作って日射の熱を防ぎます。よく見ていると、人によってみんな被り方が違います。それぞれが、いかに格好良く見せるかと考えているようです。アラファト議長も特徴のある被り方をしています。

若い人たちはサウジ人でもジーパンをはいたり、欧米人と同様の格好をしている人も沢山いました。出稼ぎの労働者たちは殆ど例外なく、ジーパンにT−シャツ姿で、事務所で働く人は開襟シャツを着ていました。


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