イスローさんのアレクサンドリア一人旅

9月28日 ピラミッドは遠かった
そして誰もいなくなった、、、 

 11時に目が覚めてターリクが入れてくれたシャーイを飲む。ガマールが家から朝食を持ってきてくれた。アエイシ、ハム、チーズ、ピクルス、フルーツ、ヨーグルト。この季節ぶどう、梨、マンゴ、グアバが多いが特にマンゴはメチャメチャおいしい。グアバはジュースでは見かけるが、生で食べたのはエジプトが初めてだ。豪華な朝食をみんなで食べて、その後みなさんはハシーシタイム。ピラミッドに行くため「あと15分したら出発しよう」と言われてから1時間以上たって4時過ぎに出発。

 まずカイロタワーに行った。チケット売場で日本人のおじさんに会って久しぶりに日本語を話した。なんだかすごくうれしかった。

 今まで日本の観光地で日本人同士会っても「どこから来ましたか?」なんて声を掛けることはほとんどなかったが今日は声を掛けずにはいられなかった。タワーの頂上まで登るとデート中のカップルで一杯だった。ここでも日本人を見つけては「こんにちは」と話しかけていった。みんなツアーで来ていていろんな観光地を回って来ているようだった。「○○には行かれましたか?」なんて聞かれて、「いえ全然」と言うと不思議そうな顔をされる。でも、いいんだ。今回は観光では決して体験できないことをしてきたんだもん。このタワーからピラミッドが見える。カイロの大都会とピラミッドの向こうの砂漠が妙に不釣り合いだった。私が日本人と話しているのがそんなに楽しそうに見えたのか、マグディが「車に空きがあれば日本人の人も一緒に乗せてあげても良かったんだけどね…」と言ってくれた。

 それからピラミッドに向かったが、なんと5時で閉まっていた。ガクッ。ピラミッドは目前にその姿を見せている。マグディは「ごめんね」と言って「明日また来れるよ」と続けたが、「明日」はもう「ない」というのと同義語だということを私は既に学習している。「いいよ、いいよ。タワーからも見たし近くまで来てこんなに大きく見えたし、また来たときに行くよ」と言い、自分を納得させる。(悲しいのでピラミッドのイメージ写真を入れてみました。しかしエジプトに行ってピラミッドを見なかった人って、、、:大家)

 夕食はシーフードを食べに行った。えび、魚などエジプト最後の夕食を飾るにふさわしい豪華海の幸を満喫した。マグディとターリクはアレキで仕事があるから今夜帰る事になっていた。

 家に帰ってみんなが一服している間、もうこれでみんなに会えなくなると思うとなんだか悲しくてそれが表情に表れていたようだ。「なんでそんな悲しそうな顔するの?みんな君の笑った顔が好きなんだよ。笑って、笑って」と言われた。そうだよ、会おうと思えばまた会えるんだし、最後まで楽しく行こう!

 ターリクは自分の写真をくれる時「妹にあげて。そしてターリクはいい人だよ、って言っといてね」と最後の売り込みをかけた。「明日の仕事は早く終わるから必ず空港まで見送りに行くよ」と約束してマグディ達は帰っていった。「明日…ね」

 ガマールが「明日博物館に連れていくから10時に迎えに来る」と言い残して帰っていったので、私はモハメッドと2人、広―いアパートに残された。

 夜中にモハメッドが部屋のドアの向こうで私の名前を呼んでいるのに気が付いた。何事かとドアを開けると「急に娘の具合が悪くなったと家から電話があったので今からアレクサンドリアに帰る」と言う。なぜかガマールもいる。

「一人になって恐いだろうけど、ごめんね」
「何かあったときはこれで連絡して」

とガマールのケータイを渡される。

「明日来る前に電話するから、それまではチャイムが鳴ってもドアを開けるんじゃないよ」

恐い注意を受ける。アッという間に二人はいなくなり、広い広い家に一人ぼっちで残された。

 そうなるとなんだか恐くて眠れない。眠ったり起きたりを繰り返し朝を迎えた。

前日に戻る 翌日に進む 


ホーム