ちょうど10時に朝食を持ってガマールが迎えに来た。今日はタクシーをチャーターしたようで友達の運転手も部屋に来てシャーイを飲んだ。なぜか一緒にバワーブのおやじも来て、ガマールにもらったリンゴを食べながら何やらまくし立てていた。バワーブというのはアパートに住みこんで住人の雑務をする人らしい。田舎の方から出てきた人が多いらしくこのおやじもグレーのガラベイヤを着ている。このガラベイヤおやじはなにかにつけ「バクシーシ」「バクシーシ」とうるさい。何にもしてくれてないのに私にも「バクシーシ」と言ったのでガマールが怒った。でもアパートを出るとき10ポンドあげてた。(あげすぎー!!!:大家)まあ、スーツケースをタクシーまで運んだからね…。
博物館の入り口はもう行列が出来ていた。でもガマールはずんずん前の方に行って平気な顔をして割り込んだ。「はやく、こっち来て」とか言いながら。私は列に割り込んだりするのが大嫌いだ。「でも列になってるから」と言ったが、「いいの、いいの」と言って手を引っ張って行った。とても恥ずかしい思いをした。
ここの料金はエジプト人2ポンド。外人は20ポンド。10倍!! カイロタワーはエジプト人8ポンド。外人30ポンド。こんな事って…許されるの?(ニセの国際学生証を作れば、学割で観光できるよ:大家)
博物館は思ったより大きかったが中は人でごった返していた。展示品は保存の仕方などが「こんなんでいいの?」っていう位いい加減だったりする。ここにある物が本当に4千年、5千年前の物かと思うと気が遠くなる。お目当てのツタンカーメンの黄金マスクも見ることが出来て十分満足した。途中ガマールが私の時計が1時間進んでいると言い出した。周囲の人に聞くとやっぱり私のだけ進んでいた。知らない間にサマータイムが終わっていたらしい。とにかく時計を1時間戻しなんだか得した気分。
博物館を出て空港に向かう。空港ビルの入り口にセキュリティー検査がありそこから先に入ったら戻れない。それを知らなかったのでずんずん入って行き、戻ろうとしたら「ダメだ」と言われた。知ってたら入らずにガマールにお別れを言うまで待ってたのに…。
結局、中と外を隔てるガラスをはさんでお別れを言った。とその時、ガマールのケータイにマグディから電話が入った。空港に来てるみたいだけど違うターミナルに行ってしまったみたいで結局会えなかった。「明日」の約束をした割にはちゃんと来たんだ…。
こうして12日間のエジプト訪問は幕を閉じた。いろいろありすぎた!さすがに疲れた。帰りの飛行機では熟睡して日本へ到着した。日本に着いたとき街がなんと小ぎれいに見えたことか!そして何より道路を走る車のなんとおとなしいことか!
でも、不思議なことに数日経つとあの街の喧噪が恋しくなっている。
もしかすると私もエジプト中毒を発病したのだろうか。
おわり