イスローさんのアレクサンドリア一人旅

9月22日 モハメッド家へ潜入
男女は部屋が別 男はハシシ 

 8時半に目が覚める。シャワーを浴びて外に朝食を買いに行く。昨日行った商店街まで今日は裏道を通って行ってみた。果物屋でバナナ、マンゴ、梨を購入。少しずつしか買わなかったのに9ポンドもした。ぼられたかなあ…。(多分、ちょっとね。でもマンゴは高いよ:大家)

 24時間ぶりに食べ物を口にする。マンゴは最高においしかった。さすが店員が「メイヤメイヤ(最高)」と言っただけはある。食事をしたらどうしてもコーヒーが飲みたくなったので、今日はアパートの前にあるカフェに出掛けた。

 海に面した席に座ると今日も釣りをしている少年達がたくさん見える。ここは車の音より波の音の方がよく聞こえ、何より風が気持ちいいので長居するのには最適だ。

 コーヒーを注文するとドロッとした粉っぽいコーヒーが出てきた。これはあのトルココーヒーか?? とても粉っぽくて好きではない。次にシャーイを注文。どこでもやたら甘いのが出てくる。次からは「お砂糖少な目にね」と言おう…。

 お昼過ぎになるとアザーンとクルアーンが聞こえてくる。しかし、どこにいても聞こえるなあ。これを聞くとたちまち「異国にいる」という気持ちで一杯になる。

 今日はなんか貧血気味なのかフラフラする。こっちに来てからあまり食事をしてないせいか?そういえば野菜を全然食べてない。野菜ジュースを持ってくればよかった…。

 昨日マグディが「明日は動物園に行こう」って言ってたけど、あの人達の「明日」って一体いつのことを指すんだろう。今日聞いてもきっと覚えてないことだろう。全く行き当たりばったりな一日だ。

 相変わらずマグディと連絡がつかないのでドアに張り紙をして散歩に出掛ける。裏通りを歩いていくといろんな人から声を掛けられる。特に子供は「ハロー」「サンキュー」と知っている限りの英語を並べる。5、6人の子供に囲まれ握手責めにあって、あげくに一緒にビーチに行こうと手を引っ張られ、束の間人気者になったような気分であった。路地を歩くと生活の臭いがし、何より静かなのがいい。

 ある時後ろから20歳くらいの男の子に声を掛けられた。きれいな英語で「一緒に歩いてもいいですか?」と聞かれた。別に断る理由もないので「どうぞ」と言い、歩きながらいろんな話をした。彼はアフマドといい、工場で働いている。英語は学校で習った。もうすぐオーストラリアに住む叔父を頼って働きに行く。などど話してくれた。

 このアフマド君は、道を歩くときは必ず自分が車道側を歩き、段差のあるところでは手を添えてくれるなど、なかなかの紳士であった。その度に私が「ありがとう」というと「ありがとうは言わなくていい。だって君と僕は友達だから」って。なんかみんな似たようなこと言うよなあ、エジプト人男性って。彼もハシーシが好きだと言ってたなあ。

 結局1時間以上歩き回って「もし何かあったらいつでも電話していいよ」とケータイの番号をくれた。

 家に帰るとドアの張り紙がなくなっていた。歩き疲れたのでしばし昼寝してチャイムの音で目が覚めるとマグディだった。「昨日は来れなくてゴメンね。荷物のコンテナの到着でトラブルがあって、朝の7時に家に帰ったんだ」と言っていた。いずれにしても来るのか来ないのか分からないと私も困る、と苦情申し立てをしたので、次からの改善に期待。

 それからご飯を食べに出た。コシャリフェティーラというものを食べた。こっちに来て初めてのエジプト料理だ。コシャリは見た目マズそうだけど、食べると意外においしい。

 でも、マカロニ、スパゲッティ、お米と炭水化物ばっかりなので、こればっかりたべてると太ること間違いなしだろう。フェティーラはイタリアで言うフォカッチャ(包みピザ)のようなもので、店頭で好みの具を入れてもらい窯で焼いてもらう。これも美味。

 ご飯を食べてるとモハメッドからマグディに電話が入り、私を連れて家に遊びにおいでという事だったので行くことにする。エル・ハドラという所にアパートはあって、夫婦と子供4人で住んでいる。その日はおばあちゃんも来ていて、私が行くとみんな大歓迎してくれた。長女のイマーンは12歳。学校で習い始めたので少し英語が話せる。他の家族は英語は全く話せず私はアラビア語が話せない。それでもみんな強引にアラビア語で話しかけてくる。イマーンが通訳代わりになってくれるけど、なにぶん語彙が少ないのでいちいち話に詰まってしまう。私も持っている語彙を総動員しアラビア語のテキストをめくりながらなんとかコミュニケーションをしようと努める。今日一日に覚えた単語の数だけでも相当なものだ。使わなくてはならない状況になると覚えてしまうものなんだなあ。

 マグディとモハメッドはリビングでハシーシタイムに突入している。おもしろいのは、例えばこういう風に男性達がリビングにいるとそこには女性は同席しない。みんな別の部屋にずっといるのだ。だから私も子供達とおばあちゃんとモハメッドの奥さんハナーンと一緒に別室にいた。これってどうしてなんだろう?エジプトのしきたり?イスラムの教え?男性の集まりには女性は同席してはいけないのだろうか…。

 「明日も来てね」と子供達にせがまれながらモハメッド家を後にした。それからターリクと合流し、お腹が空いたと言ってサンドウィッチを食べ、カフェに友達がいるからと言ってみんなで出掛けた。ユーセフハッサンという人がいて、みんなで仕事の話をしているようだった。彼らも貿易の仕事をしているそうで、こんどはブルガリアに仕事に行くとか言ってた。しかし、みんなよくしゃべる。絶え間なくしゃべっている。
 
 

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