イスローさんのアレクサンドリア一人旅

9月19日 アレクサンドリアへ一人で移動(しくしく)
ハシシに興じるエジプト人たち 

 6時半に目が覚める。ここのトイレには便座の横に「ミニシャワー」みたいなものが付いている。「何、これ?」そっかー、これで洗うわけだ。試してみよっと。

 朝食を食べに行く途中の階段で若い男の子とすれ違いざまに「おしん!」って言われた。

 「わー、話に聞いたとおりだよ!」って予想通りの展開にちょっとうれしかった。

 アレクサンドリア(以下アレキ)に電話してみたけど、早朝のためやっぱり電話に出ない。アレキまで電車で2時間半かかるから今から行っても着くのはお昼。その頃には居るでしょ。「えーい、もう行ってしまえ!」そう決めたらそそくさと荷物をまとめ、駅へ向かった。
 
 昨夜は夜中だったから実感がなかったけど、ここはカイロなのだ。車の運転の荒さとクラクションの嵐に早くも辟易しながら、車線があるようなないような道路を車は進んで行った。駅に着いてウロウロしていると、ポーターのオヤジが近づいてきて「アレクサンドリア行きはあと2分で出るよ」って言う。ホントかウソか知らないけど「次は11時半」とか言うので一緒に走ってとりあえず電車に飛び乗る。チップを1ポンドあげたら「たった1ポンド?」って不満そうだったけど追加する暇もなくドアが閉まっちゃった。

 ごめんね、オヤジ。

 電車は一等車で、アレキまで24ポンド。2時間半乗ってる割には安いなあー。

 途中列車のトイレに行ったら車掌がズボンを上げながら出てきてビックリ。中に入ったらう○こが2切残っていたのにもまたビックリ。でも、すっごい汚いトイレを想像してたので思ったよりトイレは汚くなかった。

 アレキの駅は人で溢れかえっていた。着いてすぐテレカを買ってマグディの店に電話するが、店員のおじさんが出て「マグディはまだ店に来てない」という。

 ここに来る前にアラビア語を勉強しといて良かった。店の人、英語を話せないみたい…。

 駅でしばらく時間を潰す。ちょうど昼の礼拝の時間だった。駅のホームには大きな敷物が敷かれていてそこが礼拝所になっているみたいだった。敷物からはみ出さんばかりのたくさんの男性が地面にひれ伏して一心に神に祈る様子は私にとって初めての光景だった。しかもクルアーン(コーラン)の大音響。「間違いなく異国にいる。しかも遠い遠い異国だ。」日本人は一人もいない。みんなが私のことをジロジロ見ている。特に子供は露骨で通り過ぎてもなお振り返って見ている。でも、基本的にみんな親切。もう一度店に電話しようとしていると、さっき電車の中で会った英語の話せる男性が「何か困ってるの?」と声を掛けてくれた。事情を話すと代わりにアラビア語で電話をかけてくれて、結局店員が駅まで迎えに来てくれることになった。さらに「困ったことがあったらいつでも電話して。」と言ってケータイの番号を教えてくれた。気さくで優しい人が多いなー…。

 しばらくすると店のおじさんが来てタクシーで店まで連れて行ってくれた。駅のすぐそばの車の部品や工具などを売る店が建ち並ぶ一角にある小さな店だった。

しばらくおじさんと2人きりになる。名前はファルー。60歳。近くに住んでる。
つたないアラビア語で会話してみた。でも間が持たず、すぐにシーンとしてしまう。おじさんも気まずいのか、近くのカフェからシャーイ(紅茶)やジュースを次々持ってこさせてはご馳走してくれる。マムラというビスケットもご馳走になった。その後いろんな人が入れ替わり立ち替わり来ておしゃべりしては去っていく。相変わらずマグディは来ない。

 水分の取りすぎでトイレに行きたくなり店のトイレを借りた。しかし入った途端エジプトに来て初めてのトイレショックに見舞われた。「汚い!」でも、事態は切迫している。

 覚悟を決めた。でも、便座に座るのはイヤだ。そこで、人間椅子のように少しだけ腰を浮かせた状態で実施。なんとか危機は脱した。

 午後4時過ぎ。遂にマグディが友達と共に現れた。「どうして昨日迎えに来てくれなかったのよー?」と責める私に「だって連絡なかったもん」って…。したよ、ちゃんと。

 「しかも、なんでこんなに遅いのよ。」となおもまくし立てると、「君が泊まるアパートを探してたんだよ。」と言うので、それ以上何も言えなくなってしまった。

 でも、アパート探すってどういうこと?マグディ、自分の持ってるアパートに泊めてやるって言ってなかったっけ?と不思議に思っていると、そのうちみんなたばこを分解し始めた。何してんの?しかも、焦げ茶色の爪の大きさの固形物を粉状にしてたばこの葉に混ぜてるよ。これってもしかしてハシーシ? 

マグディが「これ何か知ってる?」って聞いた。
 

「ハシーシ?」
「そう。」
「高いの?」
「人差し指くらいで100ポンド」
「ふーん」
「試す?」
「いや、やめとく。タバコ吸えないし」


 その後、みんなハシーシタイムに突入。見てる限り様子はあまり変わらない。目がちょっとトロッとしてくる位で…。私たちがお酒を飲んだときと同じ様な感覚だろうか。

 そしてやっとアパートへ。アパートはGleemという所(Glymかな?トラムが近くに走ってた?:大家)にあって、前には公園、その向こうには地中海が広がっている。ハワイで言えば「オーシャンフロント」だ。

部屋はベッドルーム3つ!リビング・キッチン・バスルームとバルコニーも付いている。

「うわー、広いー!すごいー!」私は歓喜の声をあげた。

「ここは今日から君の部屋だから好きにしていいよ。近くにスーパーもあるし、カフェもあるし…。で、悪いけど今からオレはミーティングがあるから1時間半後にまた来る。」と言い残しマグディは出ていった。

 でも、2時間待っても3時間待っても帰って来なかった。

 私は夕食を食べてなかったが、出掛けてる間に帰ってきたら困るし…。と思って結局12時過ぎまで待ったが来ないので諦めて寝た。忙しいならいいんだけど、できない約束はするなー!と相変わらずいいかげんな彼にちょっと立腹。(エジプシャンにそんなこと言っても、、、:大家)

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