ブータン難民キャンプ・ルポ

UNHCRの研修で現地に行くことができました
  


ブータン全人口の5分の1が難民に

 しかし、ブータン国民の約5分の1にあたる12万人の南部に住むネパール系ブータン人を、強硬な同化政策や人権抑圧で国外(ネパール、インド等)に追いやったブータン政府の態度は、理不尽で依然頑なである。事実上の宗主国であるインドの態度も煮え切らない。現在行われているブータン・ネパールの2国間交渉も、進展のないまま時間だけが過ぎている。多くの難民は、なんの仕事もなく将来の展望もないまま、密集したキャンプの中で1991年以来、過ごしていることになる。(写真のように、大人はなにもする事がなく、ゲームで時間をつぶしている)

 また、キャンプ内では政治的な本やパンフレットを読むことは自由だが、議論したり、集会を開くといった政治的活動は禁止されている。難民のなかには、「ブータンでは発言の自由はなかったが、ここでもそれは変わらない」と漏らす者もいた。これでは、私たちにでも「どうにかしてくれ」と訴える他どうしようもないではないか?8万6千人の難民たちの焦りは行き場がないのだ。

 キャンプを離れる数日前に、アフラブータン(アフラジャパンの現地カウンターパート)の事務所に招待された。みなで、ラタン・ガズメルさんにも再会することができた。たくさんの難民がキャンプから事務所に毎日通ってきていた。彼らと食事をしながら話をすることができた。「あなたがたは、UNHCRの職員ではなく、国に帰れば自由に発言できるはずだ。私たちのために力になって欲しい。」と訴えられた。

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