ブータン難民キャンプ・ルポ

UNHCRの研修で現地に行くことができました


で、なにができるんだろう?

 現地での日々は思ったより早く過ぎた。すっかり馴染んでしまって、ここに残りたいと言い出す者(デリバティブを扱っている外資系銀行員)、毎食のインディカ米・豆スープ・芋のカレー煮に参ってしまい、隠れてコンビーフ(ラベルに牛の絵が描いてあるのでヒンドゥの人たちから隠すのが大変)を涙を流しながら食べている者(私である)、難民キャンプに来ながら太ってしまいアンパンマンそっくりになってしまった女子大生など、各人の適応能力には大きな差が表れたが、皆この研修で得難い経験ができたことを感謝していた。

 難民援助は現場での専門的な知識・経験を要するもので、単純なヒューマニズムやボランティア精神だけでは駄目だということを遠路はるばる行って思い知らされたわけだが、今、そこで生きている数多くの難民と知り合い、短い期間でも共に過ごすことができたのが、何にも代え難い経験であった。もう、他人の振りはできないのである。
 
 それにしても、受け入れのNGOの懐の深さには、とても助けられたし励まされた。

 彼らを見ていて思ったのは、このような所で働くには専門知識・経験も勿論だが、まず明るいこと、人を楽しませられること、芸が達者であること(歌と踊りは必須)のようだ。本質から外れることみたいだが、大切な本質のひとつのような気がした。

 今回の研修ではUNHCR、NGOの人々に返しきれない大きな借りを作ってしまった。しかし、時期を違えて行われた同様の研修を受けた者の中には、国連ボランティアとしてルワンダに赴いたうら若き女性が出たりしている。また、今回の研修からも、カザフスタンで国際的な医療活動に携わっている者もいる。皆それぞれ自分なりの方法で、少しずつ借りを返してゆけることと信じている。お前はどうなんだと問われると、うろたえてしまうのだけれども。

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